読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/9/29 UP)

犬耳書店は、姉妹店のRenta!(レンタ)へ統合いたします。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-2
kiji
0
0
1277150
0
若い読者のための考古学史
2
0
0
0
0
0
0
歴史
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
Chapter13「未知の世界への一歩」

『若い読者のための考古学史』
[著]ブライアン・フェイガン [訳]広瀬恭子 [発行]すばる舎


読了目安時間:13分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 1883年4月、アリゾナのアパッチ(とりで)の戦士たちは、ラバの背に乗った旅行者がたったひとりで砦にのりつけたのを見て仰天した。アパッチ族と入植者の戦争のまっただなかを旅するなどとんでもないことだった。


 この旅人はスイス生まれのアドルフ・フランシス・アルフォンス・バンデリア(1840~1914)。砂漠の(へん)()な場所にある先住民の土地をひとりで訪ね歩き、コロンブスのはるか昔にこの地に生きた人々が築いた「滅びた都市」を調査していた。


 バンデリアが旅していたのは、アメリカ南西部のまさに未知の大地だった。それまでにもスペインの探検隊が何度かメキシコからやってきて、ホピ族やズニ族といったプエブロ・インディアンの村で黄金探しをしたことはあったが、手ぶらで帰っていった。「プエブロ」と呼ばれる多層構造の先住民の集合住宅があることは知られていたが、くわしいことはわかっていなかった。


 古代のプエブロについてまとまった記述がはじめて世にでたのは1849年のことだった。この年、アメリカ陸軍のジェームズ・ヘンリー・シンプソン中尉〔1813~1883〕と画家のリチャード・カーンが、ニューメキシコのチャコ・キャニオン(ここではプエブロ・ボニート〔1987年にアステカ遺跡とともに世界文化遺産に登録〕の大遺構を含む10か所の古代プエブロ集落について書き記している)と、アリゾナ北東部のキャニオン・ド・シェイでナヴァホ族のプエブロ集落を訪れたのだ。


 1869年に大陸横断鉄道が開通すると、西へ向かう入植者がそれまでになく増え、この地を訪れるよそものの数も急増した。言うなれば広大な環境演習室であるこの地域の地図作成と探査のため、アメリカ政府は公式調査隊を何度も派遣した。彼らの仕事は、地質調査とプエブロ・インディアン諸部族やその集落についての情報収集だった。


 政府調査隊はたいてい、先住民族の集合住宅より地質や鉱脈を探ることに力を入れた。みすぼらしいラバに乗ったアドルフ・バンデリアの関心は、それとはまったく別のところにあった。ニューヨーク北部の小さな町の銀行家から炭鉱の責任者になった彼は物静かな学者肌の人物で、世間が西部に心を奪われているこの時代に、ひまさえあればスペイン人が残したメキシコやアメリカ南西部に関する記録を研究していた。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:5296文字/本文:6264文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次