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プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機
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政治・社会
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はじめに

『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』
[著]グレンコ・アンドリー [発行]PHP研究所


読了目安時間:4分
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 日本人の皆さん。


 一つ、お聞きしたいことがあります。もしかして、コサックはロシア人だと思っていませんか?


 違います。


 コサックはウクライナ人です。


 コサックというのは、十五世紀のウクライナ南部に、農民や落ちぶれた貴族が集まって生まれた共同体のこと。世界で知られているロシア帝国の「コサック軍」ができたのは、十八世紀よりあとの話です。


 もう一つ、お聞きしたいことがあります。


 もしかして、ボルシチはロシア料理だと思っていませんか?


 これも違います。


 ボルシチはウクライナ発祥の料理です。現在、ボルシチはロシアや他のスラブ諸民族の伝統料理となっていますが、ウクライナ料理です。


 この程度の誤解であれば、生きていくのに困らないでしょう。しかし、一般人であっても勘違いしてはいけないこともあります。とくに国家の運命について誤解していると、自分達の生活が脅かされます。


 現に私達ウクライナ国民は、その経験をしました。二〇一四年にクリミアという私達の大事な土地を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によって略奪されたのです。日本の安倍首相がいま仲良くしようとしているプーチンに、です。


 安倍首相から一般人に至るまで、日本人の「プーチン幻想」は目に余ります。日本ですでに六年間過ごした私の目には、「これほど現実と違う認識を持っている人が多いのか」と映って仰天します。日本人の皆さんは気付かないかもしれないですが。

「なぜウクライナ人である私が、他国である日本とロシアについて論じるのか」と思われるかもしれません。じつはウクライナ人だからこそ、ロシアを語る意味があるのです。隣国であるウクライナにしか分からない知識や感覚があるからです。それは、ウクライナ人が日本と中国の抱える問題について感覚や知識が乏しいのと同じでしょう。


 逆の例を挙げれば、分かりやすいのではないかと思います。たとえば、ヨーロッパの人の多くは何となく東アジアを一括りにする傾向があります。ヨーロッパ人は「中国も日本も、同じ文化圏だから仲良くすればいいじゃないか」と思いがちです。それに対して、違和感を覚える日本人も多いでしょう。


 一方、ヨーロッパ人が中国と経済的、文化的な交流をしようとするときに、日本人から「中国人と関われば酷い目に遭うよ」と警告されることがあります。


 ではなぜ、日本人の多くは平均的なヨーロッパ人より中国のことが分かっている、と感じるのでしょうか。それは日本が中国と近いからです。日中の関係史は約千五百年続いており、現在でも、多くの日本人が中国と深く関わっています。


 長年、様々な面で中国と関わっていれば、中国や中国人の本質がよく見えてきます。中国人と関わる際、どの点に注意しなければならないのか、その関わりにはどのような危険性が潜んでいるのか、日本人が最もよく分かっています。だからヨーロッパ人に対して、中国との付き合い方について、最も的確なアドバイスを与えられるのは日本人だといえます。


 同じように、ロシアやロシア人の本質を最もよく理解し、ロシアとの付き合い方について最も的確なアドバイスを与えられるのはウクライナ人です。なぜなら、ロシアとウクライナの関わりは日中の関わりよりもっと深いからです。ウクライナ人のほとんどはロシア語が分かります。だから多くの日本人に見えないもの、感じられないものが、ウクライナ人には分かります。


 そこで、私は本書でウクライナ人として持っている知識や自然の感覚から、日本人のロシア幻想、プーチン幻想を解きたいと思います。強調したいのは、この程度のロシアの理解はウクライナの一般人にとっては常識である、ということです。少なくとも、本書で書かれたロシアの本質を知らなければ、日本の皆さんがロシアやプーチンとの付き合い方を誤ってしまい、酷い目に遭う恐れが十分ある、ということです。


 私は日本を愛するウクライナ人の一人として、心から日本の発展と繁栄を望んでいます。本書が少しでも日本の皆さんに役立てば、幸いです。なお、本書の出典のほとんどはロシア語表記のため、記載を割愛しました。


二〇一九年二月二十五日  グレンコ・アンドリー

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