『未来世療法 運命は変えられる』
[著]ブライアン・L・ワイス
[訳]山川紘矢
[訳] 山川亜希子
[発行]PHP研究所
私たちはみな、不滅の存在です。
これは単に、私たちの遺伝子や考え方やくせや感じ方が私たちの子供たちに受け継がれ、それらをさらに私たちの子供が彼らの子供たちに伝えていく、ということを意味しているだけではありません。私たちが成しとげたこと、たとえば、芸術作品や靴の新しい作り方、革新的な思想、ブルーベリーパイの作り方などが、あとの世代に伝えられていくということだけでもありません。私が言おうとしているのは、私たちの最も大切な部分、つまり私たちの魂が永遠に生き続けるということです。
心理学者のフロイトは、心(マインド)は様々なレベルで活動していると言っています。その一つに、彼が無意識レベルと呼んでいるものがあります。これは私たちが気づいていない意識と定義されていますが、私たちの体験したすべての物事を貯えていて、私たちの行動、思考、反応、感じ方を支配しています。この無意識に到達することによってのみ、私たちは自分が誰であるかを学ぶことができ、それを知ることによって癒すことができるのだと、フロイトは考えました。フロイトが言う無意識とは魂のことである、と言う人もいます。そして、人々を過去世に退行させ、また最近では未来に行かせて、彼らが自らを癒す手助けをしているうちに、私もまた、永遠の魂が存在し、それが働いているのだということを確信するようになりました。
私たちは肉体が死んだあとも存在し、より高い次元へと到達しようと努力を続けます。そのために、何回も何回も違う肉体の中へと戻ってくる魂を持っているのです。
よくある質問に、「世界が始まった時に比べると、今はこんなに沢山の人間がいるけれど、一体、魂はどこからやって来るのですか?」というものがあります。この質問を私は沢山の患者に問いかけてみましたが、その答えはいつも同じでした。
「ここは魂が存在する唯一の場所ではありません。魂は多くの次元、多くの意識レベルに存在しています。なぜ、自分たちのいるところが唯一の場所だと思うのですか? エネルギーは無限です。ここは沢山ある学校の一つにすぎません」
また、数人の患者が話してくれたことですが、魂は分裂して、同時にいくつかの体験をすることもできるということです。
このことについては、実証的な証拠は何一つありません。魂はDNAを持っていません。少なくとも、ノーベル賞受賞者のジェームス・ワトソンやフランシス・クリックが説明しているような物理的な根拠はないのです。でも、物語的な証拠はびっくりするほど沢山あります。そして、私はそれで十分に結論づけられると思っています。キャサリンが私を、紀元前一八六三年のアラビアから紀元一七五六年のスペインに至るまで、彼女の様々な過去世へと連れていってくれた時以来、私はほとんど毎日、その事実を見てきました。
たとえば、『魂の伴侶』で描いたエリザベスとペドロがいます。二人は過去世で恋人であり、今生、結ばれるために生まれてきました。『前世療法2』に出てくるリンダは、スコットランドでギロチンにかけられ、それから数世紀たったイタリアで今生での祖父と結婚し、その後、オランダで彼女の愛に満ちた大家族に囲まれて余生を送りました。『魂の療法』には、ダン、ローラ、ホープなどが出てきます。そして、それ以外にも、四千人もの人々の魂が、過去世への旅を体験しています。その中には、今生では一度も聞いたことも習ったこともない外国語をしゃべることができる患者が数名いました。これはゼノグロッシー(異言能力)と呼ばれる現象ですが、彼らの報告が真実であるという何よりの証拠です。
患者が他の転生での自分を思い出すと、私に診察を受けにきたそもそもの理由である彼らのトラウマが軽減されたり、ある場合には治ってしまったりします。このように癒しへと向かうことこそ、魂の大切な目的の一つなのです。
もし、このような例を見たのが私一人だけだとしたら、私が幻覚を見ているとか、気がおかしくなったのではないかと思われても仕方がありません。しかし、何千年もの間、仏教やヒンズー教では、過去世の情報を蓄積しています。輪廻転生はコンスタンチヌス帝の時代にローマ帝国が修正を加えるまでは、新約聖書にも書かれていたのです。