『未来世療法 運命は変えられる』
[著]ブライアン・L・ワイス
[訳]山川紘矢
[訳] 山川亜希子
[発行]PHP研究所
仏教には、「川を押してはいけない。川はそれ自身の速さで流れていく」という言葉があります。
霊的進化のためには、時間を川だと思うと理解しやすいでしょう。もっとも、時間は現在、私たちがしているように時系列で測られるべきではなく、永遠の命への途中で、どれだけ学んできたかで測られるべきです。だから、時間の川を押すのはやめましょう。無駄にしぶきをはね散らかすだけです。つまり、あなたは流れに逆らうことも、一緒にゆったりと流れていくこともできるのです。短気は喜びや平和や幸福を、私たちから奪います。私たちは欲しいものが欲しくて、それも今すぐに欲しがります。二十一世紀のアメリカほど、このことを証明しているところは、他にありません。しかし、宇宙はそのように設計されてはいません。私たちに用意ができた時に、物事はやって来るのです。生まれる前に、私たちはこれから始まる人生の全体像を見極めますが、生まれるとすぐにそれを忘れてしまいます。私たちはいつも急ぎ、今、どうにかすることだけを心配しています。でも今の人生で大人である私たちは、正しい時と誤った時があることに、気づくべきです。たとえば、キャサリンはなぜ、二年前でも二年後でもないあの年に、私の人生に現れたのでしょうか? そして、私が彼女に未来について聞いた時、なぜ「今はまだだめです」と言ったのでしょうか?
ソウルメイトについて書いた私の本、『魂の伴侶』が出版されてから、私は一人の女性から次のような手紙を受け取りました。
「私はソウルメイトに出会いましたが、すでに結婚しています。そして、三人の子供がいます。彼も結婚していて、二人子供がいます。なぜ、十代の頃に私たちは出会わなかったのでしょうか?」
それは神が別の計画を持っていたからです。彼らは遅くなってから出会うようになっていたのです。私たちが学ばなければならないレッスンにかかわる様々な理由によって、人は私たちの人生に、ある特定の時期に現れます。まだ夫も子供もいなかった若い頃に二人が出会わなかったのは、偶然ではありません。遅くなってから人々が互いに出会う理由は、愛について、そして愛と責任や仕事をどのようにバランスを持たせるかについて、様々な異なる方法で学ぶためだと思います。二人は別の転生で再び出会うでしょう。もっと忍耐強くなければならないのです。
ある女性の患者は、前世で自殺しました。第一次世界大戦時の軍曹だった夫が戦闘中に行方不明になったと知らされて、彼女は彼が死んでしまったと思ったからです。実は、彼は捕虜になり、戦争終結後、アメリカに戻って来ました。そして妻の自殺を知りました。この人生か、または次の人生で、もしこの過去世での学びを覚えていれば、彼女は忍耐を学ぶことでしょう。
私の友人たちは高校時代、恋人同士でしたが、別々の道を行って二人とも不幸な結婚をしました。四十年後に再び彼らが出会った時、二人は関係を持ち、それぞれの配偶者と離婚して結婚しました。時間など、まったくたっていないかのようでした。以前と同じ思いが、同じ強さで存在していたのです。私は二人を退行させましたが、彼らは過去世でも一緒でした。過去世で一緒だった人たちが、人生の後半でまた一緒になる例はよくあります。
身体的な忍耐よりも、心理的な忍耐が大切です。私たちが測る時間は、速くなったり遅くなったりします。アメリカン・フットボールチームのニューイングランド・ペイトリオッツに所属するトム・ブレイディ選手は、勝利点を取るためには一分間あれば十分すぎるほどだ、と考えています。交通渋滞に巻き込まれると、それが永遠のように感じられます。でも、時間を終わりのない川のようなものだと思うと、イライラも消えます。「私はまだ死にたくありません」と患者が私に言いました。「まだ、やらなければならないことが山ほどあるからです」。その通りです。でも、彼にはそのための時間は無限にあるのです。
忍耐は理解と関係があります。人や状況や体験、そして自分自身を理解すればするほど、あなたは自動的な反応をしなくなり、自分や人を傷つける行動を取らなくなります。たとえば、あなたの夫が帰宅して、些細なことであなたを怒鳴りつけたとします。犬を散歩させるのを忘れた、ミルクを買ってない、といったことです。短気な反応は、怒鳴り返すことです。でも、少し待って下さい。相手を理解してあげましょう。たぶん、あなたに向けた怒りは、実はあなたとは全然関係なく、オフィスで嫌な思いをしたとか、風邪を引きかけている、頭痛がする、アレルギーがある、またはただ単に機嫌が悪いなど別の原因があるのでしょう。