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現代の職人 質を極める生き方、働き方
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第十一章 高千穂神楽面(宮崎県)

『現代の職人 質を極める生き方、働き方』
[著]早坂隆 [発行]PHP研究所


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夜神楽の舞い


 目の前で神々が舞っている。


 ()(ぢから)(おの)(みこと)は天上界の(たか)(まが)(はら)で一番の力持ち。この手力雄命が、太陽神である(あま)(てらす)(おお)(みかみ)の隠れた(あまの)(いわ)()の場所を探し出そうとする。やがて岩戸の位置を探り当てた手力雄命は、耳をそばだてて内部の様子をうかがう。その動きは荘厳であると共に、どこかユーモラスでさえある。


 続いて舞台に登場するのは(あめの)(うず)(めの)(みこと)。岩戸の中にいる天照大神を外に誘い出すため、()()しみ溢れる舞いを披露する。天鈿女命は「芸能の女神」とも言われる。


 耳に優しく響くのは、どこか懐かしい太鼓と神楽(かぐら)(ぶえ)の音。神話に具体性がもたらされ、物語と現実との融合が感じられる。記紀神話が、より身近なものとして迫る。


 その後、再び登場した手力雄命が岩戸を力強く取り除き、天照大神を迎え出す。こうしてめでたく、世界に光が戻る。


 繊細な感性と、大らかな情感に充ちた豊かな物語。


 (たか)()()神楽(かぐら)の演目は全部で三三番あるが、以上がその佳境とも言える「岩戸開き」の一場面である。


 高千穂神楽は毎年、秋の収穫が終わった十一月中旬から始まり、翌年の二月上旬まで、里ごとに夜通しで行われる。


 意味としては秋の実りへの感謝と、翌年の()(こく)(ほう)(じよう)を祈るものとされ、現在では国の重要無形民俗文化財にも指定されている。里山に深く根付いた生活信仰の象徴とも言えよう。

(てん)(そん)(こう)(りん)」の地として伝承される高千穂町は、宮崎県の最北端に位置する。諸説あるが、天照大神の孫である()()(ぎの)(みこと)は、高天原からこの地に降臨したとされる。天岩戸の他にも、(あまの)(やす)()(わら)(ふた)(がみ)(やま)など、『古事記』や『日本書紀』に登場する場所が多く点在する。


 まさに八百万(やおよろず)の神々の里である。

神楽面の世界へ


 起伏に富んだ山々に雲が棚引き、その斜面には棚田が整然と拓けている。高千穂という地名は「収穫祭の祭場に高々と積み上げた稲穂」を意味するという。


 そんな日本の原風景とも言える景観の中に混ざり合うようにして工房を構える工藤(ひろ)(あき)さんは、()(ぐら)(めん)を制作する職人である。

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