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世界を変えた暦の歴史
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歴史
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序章 地球が丸いことは紀元前には常識だった

『世界を変えた暦の歴史』
[著]谷岡一郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:24分
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一年は冬至からスタートする


 メキシコ東北部のユカタン半島には、古代マヤ文明の遺跡が多く残っている。その一つ、チチェンイツァの階段状ピラミッド(エルカスティーヨ、次の写真参照)は、春分の日と秋分の日に、光と影の造形によって蛇(ククルカン)の胴体が出現したかのような模様が浮かびあがる。




 その模様や造形と、ピラミッド下部にある蛇の頭部分とが融合し、あたかも天から蛇が降臨したかのようなイメージをつくるのである。


 現地の説明文によると、古代マヤ文明は驚異的な天文知識を有し、暦に関連する多くの仕掛けや工夫が存在したという。方角の正確さや、暦と時間に関する知識は、現代人でも驚くほど高レベルだと聞かされると、「へえ~、すごい」と思う人がほとんどだろうが、それは現代人には、その種の知識を生活の一部として活用する習慣がなくなって久しいからにすぎない。


 筆者の感覚からすれば、昔の人びとがそれらの知識を知らなかったはずがないのであり、それを「すごい」と感じるほど、現代人は暦の常識から遠ざかっているだけのことなのである。チチェンイツァは古いといっても、いまからせいぜい千~千三百年ほど前のものにすぎない。


 それより、アイルランド東部の街ミースにあるニューグレンジ(次の写真参照)という遺跡をご存じだろうか。いまから五千年以上も前の新石器時代の遺跡だが、その入り口の一部は、毎年、冬至の日のわずかな時間だけ奥の部屋に日光が届くようにつくられている。




 冬至は太陽がもっとも低く、昼のいちばん短い日であり、これから昼が長くなっていくことを同時に知ることのできる日である。だから、冬至は、この日から何日後に種をまくとか、特定の儀式・視察を行うといった重要な区切りとして計測する必要があったのだろう。


 実際、多くの国や地域で、冬至は暦上の一年間のスタート時点として設定されている。


 古代の人びとが暦にすぐれた知見をもっていたという例は枚挙にいとまがないため、代表的なものをあげておこう。


 まず、イギリス南部にある巨石遺跡として有名なストーンヘンジ(次の写真参照)。これは紀元前二六〇〇~二三〇〇年ごろにつくられたもので、類似のストーンサークルがイギリスのみならずヨーロッパじゅうに点在している。




 ストーンヘンジは暦用の太陽観測(夏至の観測を中心とする)に使用されたとするのが通説であるが、のちに儀式用の増改築(宗教的な意味の変化による付加)が加えられている点に注意を払わないと、その本質──当初の暦上の目的──を見失う可能性がある。


 エジプト南部のスーダンに近いヌビアのアブシンベル神殿(次の写真参照)は、ラムセス2世(BC1302ごろ~BC1212)が建てた巨大建造物である。アスワンダム工事によって移動させられたため、現在はそのような現象は起こらないが、ニューグレンジ同様、特定の日に奥の部屋の二体の像に朝日が射すようになっていた。あとの章でふれるが、エジプトは天文観測に優れ、もっとも早くから太陽暦を採用していた文明として有名である。




 文明化に向けてのスタートが比較的遅れていた中南米(メソアメリカ=スペインに征服される前のマヤ文明やアステカ文明に代表される文明)でも、たとえばペルーにあるマチュピチュ遺跡15世紀)やチャンキロ遺跡(BC4世紀)など、比較的新しいものから古いものまで、多くの遺跡から太陽観測(および天文観測)の場所が見つかっている。


 また、前述のメキシコでも、テオティワカン遺跡(BC2世紀~6世紀)は、天文学と暦に関する多くの工夫がなされている点で有名である。


 ほかの地域、たとえば中国やアジア諸国でも、おしなべて太陽の動きを観測し、一年の周期を決定するための指針として利用していた形跡が残っている。これらはいわば、文明化の中心に天文観測があったわけで、決して暦が先にあったわけではない点に注意してほしい。

天空の定点観測でわかったこと


 太陽のみならず、月や星を観測する方法は、定点観測と呼ばれる方法が一般的である。


 通常は、丘の上や建物の屋上などの一定の場所に視点を固定し、目盛のついた器具で天空の変化を記録するやり方で、太陽の上る位置と時間、月の形、天空の星々の動きなどを毎日観察していたようだ。




 日中の日時計のようなものも含め、器具はいろいろな種類が工夫され、改良されていっただろう。

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