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世界を変えた暦の歴史
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歴史
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第I章 人類が閏(うるう)年を手にしたのは紀元前だった

『世界を変えた暦の歴史』
[著]谷岡一郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:23分
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人類はアフリカから全世界へ移動を始めた


 ネアンデルタール人、そしてホモサピエンス(1)という直立二足歩行種族が、世界のいろいろな場所で集団生活を始めたのがいつごろかは、ラフな推測の域を出ない。遅くとも百万年くらい前には、ほかの動物と一線を画する、知恵を活用するタイプの文明をもちはじめ、道具や火を使いこなしていたらしい。


 おそらくアフリカ中部でスタートし、世界じゅうで狩猟採集生活をしていた小集団(一〇~三〇人程度)は、危険から身を守るシェルター(洞窟のような場所)や、水や食料を得やすい場所に、生活基盤をもっていたと考えられる。


 人口が一定以上になると、必然的に次のシェルターが必要となる。グループが分離する原因は、けんかや平和的なものなどいろいろありうるが、いずれにせよ分離独立したグループ(新部族)は次のシェルターを求めて未開の地に挑むことになる。


 あまり寒くならない赤道付近において、シェルターと水、食料を得やすい場所には数と量に制限がある。集団が分かれていくに従って、少々寒い地域に住まざるをえなくなったグループのうちのいくつかは、冬を越すことができなかった可能性もある。


 たとえば、赤道付近からは北へ行っても南へ行っても似たような気候であるが、最終的にほかの大陸へ移動したのは、主として北へ向かったグループであったと考えられている。南へ進むと大海につきあたる。


 われわれ日本人にとっては、北へ向かうほうが寒い方向へ行くという感覚であるため、(どちらでもよいのであるが)分離したグループが北へ向かったものとして話を進めよう。


 アフリカから、ヨーロッパ、中東、そしてアジアへ向かったものという前提である。氷河期には陸(少なくとも氷の道)が続いていたため、一万四千年くらい前には、アメリカ大陸を含めて世界じゅうに進出していただろう。

月の満ち欠けが太陰太陽暦を生み出した


 人類が最初に感じた時間的サイクルは、昼と夜が交互にくることであろうが、それは記録しなくてもだいたいわかる。そのうち、天空の月の満ち欠けに一定のサイクルがあることに気がついたはずだ。当時、夜歩けるほど明るいか否かは、食料の確保や安全面で、非常に重要なことであったろう。


 リーダー格の誰かは、一日のどこかのタイミングで動物の骨に印をつけるなどして記録をつけ、そのサイクルの長さを知ろうとしたにちがいない。指の数より多くの数を認識した始まりは、何かを数え、記録することだったのかもしれない。


 次の図は約三万年前の(おそらく人類初の)メモであるが、どうやら月齢を記録したらしい。この種の数える目的の印は、ほかにもいくつか発見されている(2)




 月の観測を続けると、同じ形の月は似たような時間に一定方角に見えることがしだいにわかってくる。この知識はのちに、夜間の狩りの計画や、夜に備えて安全のために火を絶やさないように準備する日を知るなど、近い将来への計画に利用されたはずである。


 一族の長老──といっても寿命がそれほど長かったはずはないので、おそらく四十~五十歳くらいだろう──は月の満ち欠けの知識をもち、メンバーに行動計画を出すにあたって、月の明るさを重要視したことだろう。


 たとえば、「三日月が沈んだら作業をやめてシェルターに引き返す」とか、若者たちを比較的遠いところへ食料の採集や探検に出かけさせる日は、帰りが困らないように「半月のあと二~三日経った天気のよい日にする」といった具合である(むろん想像にすぎない)


 北へ向かったグループの何割かは、はじめての冬を越せなかったかもしれないと述べたが、いいシェルターを選んだいくばくかの幸運な人びとは、春を迎えることができたであろう。生き残れる必要条件は、安全なシェルターがあり、近くの自然環境のなかに、水や食べることのできるものがあることである。


 たとえば、果実やきのこ、貝や海藻などを採集できること。冬も食料を採集できる状況か、食料の保存方法を発見すること。寒さへの対策ができること、などである。加えて、外敵──凶暴な動物やほかの戦闘グループ、(しつ)(ぺい)など──から守られていることも必要である。どこにでも見つかる地理的条件ではない。

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