『理想の人生をつくる習慣化大全』
[著]古川武士
[発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン
人は習慣的な物の見方の中で行き詰まってしまいます。
よく慣れている状況であればあるほど、別の見方をするのが難しいのです。
─クリスティーナ・ホール博士
自分に自信が持てない、失敗を恐れて行動できない、批判されると自己嫌悪に陥るなど、マイナスに考えると精神的に辛くなります。
序章の「幸福の公式」でご紹介したとおり、幸福度の40%は「規定値」、つまり物の考え方や捉え方に左右されます。
事実と解釈は異なるものです。私たちは自分が解釈した世界で生きています。事実は変えられませんが、解釈は変えられます。解釈には自由度があるのです。
次ページの図をご覧ください。
私たちは同じ事実を見ても捉え方で反応が異なってきます。
コップに水が半分入っているという事実について、「半分しかない」と捉えるか、「半分もある」と解釈するのかで、気持ちは上がったり下がったりします。
また、牢屋にいる囚人は鉄格子から、下を見ると泥だらけですし、上を見ると綺麗な月が見えます。
同じ外の世界を見るにしてもどちらを見るかで気持ちは変わります。
もっと具体的な例をいうと、営業部の朝礼で同期が大きな新規受注をしたことを上司から褒められ表彰されたとします。
これを見て、「あー、自分はダメだなぁ」と思う人もいれば、「よし、自分もがんばろう!」と思う人もいますし、「いや、あいつは運が良かっただけだ」と思う人もいます。
同じ事実でも、捉え方は無限であり、どんな解釈をするかによって行動が変わるということです。
自分をうまく乗せられる人は、あまり良くない事実だとしても、考え方や捉え方をコントロールして、ポジティブな感情にもっていくことができるのです。
モノの考え方や捉え方は、思考の習慣です。
これを変えれば状況は同じでも人生は変わります。
私が主宰する習慣化の学校で1年間、自己改造に取り組まれた女性のケースをご紹介しましょう。
この女性は会社の降格人事でひどく傷つき、そんな状態から脱したいということで習慣化の学校に参加されました。彼女は1年後、どうなったでしょうか?
当初は転職や独立も選択肢として検討しましたが、やっぱり今の会社で一生懸命貢献したいと「置かれた場所で咲く」ことを決意されました。
自分ではどうしようもできない人事のことを嘆くのではなく、コントロール可能な自分の目標や課題解決にフォーカスするという思考習慣を1年かけて身につけました。そして、このひどい降格人事も学びやキャリアの糧にしようと意味づけをしました。
また毎日、感謝日記を書くことを続けました。すると次第に会社や人間関係へのありがたみが湧いてきて、不満よりも感謝の気持ちで満たされていったのです。
状況はほぼなにも変わっていませんが、幸福度や前向きさは飛躍的に向上しました。
マイナス思考から抜け出すには、自分の考え方をうまく乗せる思考の習慣を身につけましょう。
本章で18の方法をご紹介しますので、その中から自分の思考に寄り添い、自然に自分の気持ちが乗る考え方を採用してみてください。
また、ここでは、考え方の習慣を中心に書きます。
ここで習得した考え方を習慣化するためには、日記を書く習慣を身につけることをお勧めします。
起きた出来事とそれに対する現状の解釈、そして新しい解釈にどう置き換えるのか書くことで思考は無意識の習慣になっていきます。