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(2021/11/26 追記)

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人類の歴史とAIの未来
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人文・科学
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はじめに

『人類の歴史とAIの未来』
[著]バイロン・リース [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


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 1920世紀が他の時代と際立って違う点は、そのあいだに途方もなく大きな変化が起きたことだ。私たちの暮らしは、数々の技術革新によって劇的に変わった。自動車、飛行機、テレビ、パソコン、インターネット、携帯電話。変化はあらゆるところで起こった。私たちは原子を操り、宇宙に飛び出し、抗生物質を発明し、天然痘を撲滅し、ゲノムを解読した。


 しかし、人類史という大きな枠組みの中でとらえると、実は過去5000年の間に変わったことはそう多くない。5000年前に生きていた人間と同様、私たちにも父や母や子があり、学校や政府、宗教や戦争や平和がある。出産を祝い、死を悼む習慣も変わっていない。スポーツ、結婚式、踊り、宝石、入れ墨、ファッション、ゴシップ、社会の階層、そして恐怖や愛、喜び、幸福、歓喜はあらゆる文化で普遍的にみられるし、永遠に私たちと共にある。こういった見方をすれば、人類は昔からさほど変わっていないというわけだ。私たちは相変わらず朝になれば仕事に行く。単に、職場まで行く方法が変わっただけだ。古代アッシリアの子どもも、車輪がついた小さな木馬のおもちゃをひもで引いて遊んでいた。古代ギリシャの少年たちも、綱引きをしていた。古代エジプトは化粧品で有名だったし、数千年前のペルシアでは、誕生日になればパーティーを開き、プレゼントを渡して特別なデザートを食べる、つまり今とほぼ同じ方法で祝っていた。



 そう、私たちの時代について注目すべきことは、すでに起こった変化ではなく起こらなかった変化のほうなのだ。本当に驚くべきなのは、私たちが祖先にそっくりなことだ。古代ローマの剣闘士は広告塔であって、スポンサーである有力者から金をもらい、戦いの前にスポンサーの宣伝文句を唱えていた。「アンティノオスの剣は最高だ。いくら金を出してもこれよりいい剣は手に入らない」と。それから、愚かな破壊行動に走る人間はいつの時代にも存在した。紀元前356年7月21日にはヘロスタトスという男が、なにかでかい事をして有名になり、自分の名を後世に残そうと考え、世界七不思議の1つ、エフェソスにあるアルテミス神殿に放火し全焼させた。これを受けて彼の思い通りにはさせまいと、ヘロスタトスの名を口にすることは犯罪だとする法律が可決されたが、明らかに彼の願いは叶ったようだ。


 それから、例えばあなたが古代の友人宅に遊びに行ったなら、その家のドアには客がノックして来訪を告げるための、輪っかを咥えた真鍮製のライオンの顔がついていただろう。あなたが5000年前の結婚式に参列したら、新婚カップルに向けて幸運を願い、ライスシャワーを浴びせただろう。今日、考古学者が「捕ってみろ」と刻まれた古代のスリングショットの弾を発掘したことがニュースになれば、現代に生きる私たちにもその冗談は通じる。


 古代の人々は、本当に私達とそっくりだったのだ。人間の中身が不変であることを実感したければ、ギリシャのテオプラストスが2300年前に著した『人さまざま』(森進一訳、岩波文庫)という本を読んでみればよい。その中でテオプラストスは皮肉たっぷりに、人の性格を「へつらい」、「粗野」、「おしゃべり」などのタイプに分類している。食事の写真を撮ってはSNSに投稿してばかりいるあなたの知り合いは、テオプラストスの時代の「まずは自分の妻をほめちぎり、昨晩自分が見た夢について語り、夕飯に何を食べたかを逐一説明」し、「今の私たちは過去の私たちとはまるで違う」とか言い出す、「無駄口」にそっくりではないか? テオプラストスはまた、「上の空」という性質について、「劇場で芝居を見ると、自分一人だけが居眠りをしながら居残っている。また、夕食をとりすぎ、夜中に起きて戸外の便所へゆこうとして、隣家の犬にかみつかれる」と述べている。


 時代背景は変われど、私たちはごくわずかしか変化していない。それどころか、私は真の変化は人類史の中でたった3度しか起きなかったと考えている。どれも、技術がもたらした変化だ。1つの技術ではなく、互いに関連する技術の集まりが、根本的かつ恒久的に、そして生物学的にさえも、私たちを変えた。たった3つの大きな変化。それが全てだ。


 そしてこの本は、4つ目の変化についての話だ。

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