『最新版 読むだけでヤル気がみなぎる 元気セラピー(KKロングセラーズ)』
[著]大谷由里子
[発行]PHP研究所
二二歳で吉本興業に入社。二五歳で結婚退社し、わたしは、二七歳で企画会社を立ち上げた。
吉本興業時代のわたしは、タレントを売るためのプロデューサーでありマネージャーだった。
そして、モチベーションもそれなりに高かった。
「売りたいマネージャーと、売れたいタレント」
共通の目標と目的があった。
毎日、「こんな仕掛けしたい」「こんなことしてみたらどうか」と、前向きな話をして、未来を見つめて生きていた。
ところが、結婚して専業主婦になったわたしは、子育てに追われて、評価されない生活にたちまち行き詰まった。
「このまま年を取るのだろうか」
「わたしって何なんだろう」
急に不安になって、じっと家にいるのが嫌で友人と企画会社を作ったものの、ただ現実から逃げたかっただけで、ビジョンも目的もあったわけじゃなかった。それでもバブルの絶頂期。
いつのまにかお客さんに恵まれて、会社がだんだん大きくなった。すると、いつのまにか人と仕事とお金に振り回されることになった。
世の中を分かっていなかったわたしは、すべての社員にわたしになることを求めた。
「なんで分からないの」
「なんでできないの」
「こんな仕事の仕方でどうするの」
と、他人を責めた。自分は、正しいと思っていた。
すると、いろんな事件が起きた。社員に会社を辞められたり、社員を鬱にしてしまいそうになったこともあった。目の前で、「わたしを大谷さんにするのをやめてください」と、部下の女性に泣かれたこともあった。
そんなある日、阪神・淡路大震災を体験した。
部下の無事を確認した後、連絡がつかないお客さんを尋ねて神戸まで歩いて行った。その時見た光景は、たった一メートルの境が人の生死を分けた姿。
あの日、初めて気づかされた。
「昨日は、今日を保証するものでもなければ、今日は、明日を保証するものでない」ということを。
持って死ねるものなんて何も無い。残せるものは何なのか。
残せるものは生き方とか生き様かもしれない。
ならば、わたしは、どんな生き方や生き様をしたいのか。
考えて、考えて、考えた時に行きついたのが、「ココロの元気」だった。
自分の心が元気じゃないのに本気で人の幸せなんて考えられないし、人の幸せを喜べるわけなんてない。だったら、とことん、「心の元気」にこだわってみたい。そう思った。
まずは、自分の心の元気にこだわり、次に、どうすれば人の心を元気にできるかにこだわった。
人の心を元気にする技術を学んだ。そして実践。人の心を元気にする考え方も学んだ。またまた実践。
誰でもスグに取りかかれて、結果につながる行動を中心に、手応えのあった手法や考え方が、この本には盛り込まれている。
また、出版から一〇年を経て、時代に合うようKKロングセラーズの真船様、富田様の力をお借りし、今回、新しいタッチでリニューアルすることができた。
この本が、これからも読者のみなさんの「心の元気」のお役に立てると嬉しい。
「こんなこともできる」
「まだまだやれることがあった」
そんな気づきを持ってくださると、とっても嬉しい。
大谷由里子