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1980年代から見た日本の未来 2030年代を予測する視点
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人文・科学
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第八章 柔らかい全体主義

『1980年代から見た日本の未来 2030年代を予測する視点』
[著]三浦展 [発行]イースト・プレス


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一九八〇年代に高まった「日本志向」


 平成時代は、ひとことでいえば不景気と右傾化の時代であった。右傾化といって悪ければ、「日本ブーム」の時代である。


 もちろん日本が好きだという気分は一九八〇年代から高まっていた。


 NHK放送文化研究所の「「日本人の意識」調査」によると、「日本に生まれてよかった」という者が国民全体では一九七三年の九一%から一九八三年に九六%となり、以後二〇一八年まで九六%前後である(図表8‐1)。




 特に若い世代で「日本に生まれてよかった」という傾向が高まった。一九七三年の一六~二四歳(一九四九~一九五八年生まれ)は「日本に生まれてよかった」という者が八二%ほどだったが、一九八三年以降の同世代はずっと九割以上であり、二〇一三年の一六~二四歳(一九八九〜一九九三年生まれ)は全体平均と同じくらいかそれ以上の九八%ほどある。物心ついたときにすでに「ジャパン・アズ・ナンバーワン」だった世代は、少年時代からずっと日本が好きなのだ。


 こうして見ると、一九八〇年代初頭の日本の経済力が日本への自信につながったことはいうまでもない。


 また、「日本の古い寺や民家をみると、非常に親しみを感じる」人は、一九八三年の一六~一九歳(一九六四〜一九六八年生まれ)は七割ほどだが、二〇〇三年の同世代以降増加し、二〇一三年の一六~二四歳では八割近い。若者が古い民家に親しみを感じる背景には宮﨑アニメの「となりのトトロ」の影響もあるかもしれないが。

「「日本人の意識」調査」によれば、日本に対する国民の自信は一九七三年から一九八三年にかけて増大し、その後減少する。


 たとえば「日本人は、他の国民に比べて、きわめてすぐれた素質を持っている」と考える人は一九七三年の六〇%から一九八三年は七一%に増加したが、一九九八年は五一%に減少。「日本は一流国だ」という人は一九七三年の四一%から一九八三年は五七%に増えたが、一九九八年は三八%に減少した(図表8‐2)。




 いわずと知れたことだが、一九七三年から一九八三年は日本の工業製品が世界を席巻し、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた時代。一九九七年は(やま)(いち)(しよう)(けん)破綻などに象徴されるようにバブル時代の完全な終わりの年である。


 これだけ見ると、日本のピークは一九八三年ということになる。だが、二〇〇三年を底にして日本人は自信回復し、二〇一三年には「日本人は、他の国民に比べて、きわめてすぐれた素質をもっている」が六八%、「日本は一流国だ」が五四%と、一九八三年並みに増加している。


 だが、この三五年間に日本人が自信回復するような経済現象があったとは思えない。あったとすればソフトパワーである。マンガ、アニメ、ゲーム、スポーツ、映画、音楽などの分野における活躍であろう。これらのソフトパワーが国威発揚に大いに貢献した。


 高度経済成長期は、工業製品によってジャパン・アズ・ナンバーワンを達成し、豊かな日本社会を築き上げた上に、一九八〇年代の若い世代は、いわば「遊び」の分野に注力した。まさに放蕩したのだ。


 その遊びの経験が、平成時代、特にその後半である二〇〇三年以降に花開いたともいえる。一九八〇年代には、日本から工業製品は輸出されてくるが、日本人の顔が見えないと欧米諸国からいわれた。だが、ソフトパワーの興隆は、日本人の顔を見えるようにしたといえるだろう。

『アクロス』は書いている。



 昭和50年代は、日本人が欧米コンプレックスから完全に解放され、独自の文化を育んだことが大きな特徴のひとつである。


 欧米コンプレックスからの解放の背景には、経済的躍進と、それに付随する「洋」の空気化の動きがあることは言うまでもない。

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