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朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作
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歴史
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第十章 左右の全体主義と戦った日本社会党

『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』
[著]江崎道朗 [発行]PHP研究所


読了目安時間:27分
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 日本社会党は一九七〇年代以降、北朝鮮を支配している朝鮮労働党と友党関係を築いてきた。いまでは、朝鮮戦争が北朝鮮による奇襲攻撃だったことが様々な史料で明らかになっているが、一九七六年に刊行された社会党の公式党史『日本社会党の三十年』(一三四頁)はこう記している。


《六月二五日、韓国軍が三八度線を越境交戦、反撃に転じた朝鮮軍が逆に三八度線をこえて南下しはじめた。こうして朝鮮戦争がはじまった》



 侵略したのは韓国側だという、ソ連や北朝鮮のプロパガンダを公式党史に掲載しているのだ。


 一九九六年に社会民主党と改称してからも北朝鮮との友好関係は変わらなかった。


 日本人拉致事件についても社民党が北朝鮮を擁護しつづけてきたことはよく知られている。社民党の機関誌『月刊社会民主』に、横田めぐみさんらの日本人「拉致疑惑事件は、日本政府に北朝鮮への食糧支援をさせないことを狙いとして、最近になって考え出された事件なのである」と主張する論文を載せていたほどだ


 しかし一九五〇年六月、朝鮮戦争開戦当時の日本社会党はまったく違っていた。日本社会党も、開戦直後に結成された、社会党の巨大な支持基盤である労働組合の集合体である「総評」も、北朝鮮の侵略をはっきりと批判していたのである。


 開戦から十日後の一九五〇年七月五日、日本社会党中央執行委員会は「朝鮮問題と社会党の態度」という態度決定を行い、こう明言している。


《朝鮮動乱の「直接の原因は北朝鮮人民共和国が武力に訴えて朝鮮統一を敢行せんとしたところにある」》



 七月十一日に結成大会を開いたばかりの総評も、七月二十五日に第一回緊急評議会を開催し、「朝鮮戦争に対する態度と闘争方針」のなかで次のように決議している。


《1.今度の朝鮮事件は、北朝鮮の計画的、侵略的行為からおこっている。われわれは朝鮮の南北統一はあくまで平和的、民主的手段によって完成さるべきである、との見地から北鮮軍の武力侵略に反対する。

2.三八度線の復元と、安全保障を目的とする国連の基本方針と行動は世界平和の維持と民主主義の立場と一致することを確認する》



 つまり総評は、北朝鮮の侵略を非難し、アメリカを中心とした国連軍による朝鮮戦争参戦を支持していたのである。


 そもそも総評の設立の目的は次の四つで、労働者の権利を守るという観点から社会主義を支持していたものの、ソ連を中心とする共産主義には明確に反対であったのだ。


(1) 政府、経営者など大部からの支配、干渉を排除すること

(2) 破壊的極左労働運動は容認しないこと

(3) 平和的民主的な社会主義政党と協力すること

(4) 反共をつらぬき、国際自由労連と連携すること



 国際自由労連(国際自由労働組合総連盟)というのは、一九四九年にマーシャル・プラン支持と反共政策を掲げて結成された世界的な労働組合の連合組織である。設立時の総評には、世界各国の労組と反共で手をつなぐという構想があった。


 反共姿勢は主に社会党「右派」の路線だったが、朝鮮戦争を北朝鮮の侵略であるとする見方は社会党「左派」も共有していた。


 左派の代表格の鈴木()(さぶ)(ろう)は一九五〇年七月五日と十日の『日本社会新聞』(当時の社会党機関紙)において朝鮮戦争を「北鮮の不法進入」とみなし、アメリカの軍事介入を肯定している


 ソ連軍が北海道に侵略してくるのではないかという外からの脅威と、ソ連の手先となってテロを続発させる日本共産党による、国内の脅威を受けていた日本にとって、社会党とその支持基盤である総評が中ソに同調せず、北朝鮮の侵略を批判した意味は大きかった。



 社会党の外交・安全保障政策は一九五〇年代以降、左派の影響力が強くなるにつれて、「非武装中立」「安保条約反対」「憲法改正反対」という非現実的なものになっていったが、右派はその後もまっとうな憲法観・国防観を維持した。


 代表例として、西村眞悟元衆議院議員の父・西村栄一の国防論と憲法論を紹介しよう。


 西村は「民主社会主義の立場とその自衛態勢」と題した講演録を、朝鮮戦争から三年後、日本が独立を回復した翌年の一九五三年十二月二十六日付で発表している


 講演録のなかで西村は、「一切の国際紛争を武力によらず、また武力を背景とせずに解決しようという」日本国憲法が、国連が有効に働くことを前提としていると分析したうえで、国連の安全保障機構が有効に働くためには少なくとも以下の条件が満たされなければならないと指摘する。


(1) 侵略が起こった場合、安全保障機構は即急に実力発動のできる仕組みになっていなければならない。

(2) 安全保障機構側が侵略国に対して圧倒的な勢力をもっていなければならない。

(3) 協力する国が、侵略された国の安全を、心から自国の安全と同一に見、自国の利害を常に安全保障機構の最高目標に従属させる心構えがなければならない。

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