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生きがいの創造III 世界標準の科学的スピリチュアル・ケアを目指して
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生き方・教養
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第四章 科学的スピリチュアル・ケアの有効性

『生きがいの創造III 世界標準の科学的スピリチュアル・ケアを目指して』
[著]飯田史彦 [発行]PHP研究所


読了目安時間:1時間7分
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第一節

生きがい感とスピリチュアルな概念の関係





 前章までに述べたような、科学的スピリチュアル・ケアは、世のため人のために、どれほど役立つものなのでしょうか。そのような問題意識を、科学的方法によって、確認することはできるのでしょうか。


 そこで、大石和男(専修大学教授)、安川道雄(専修大学教授)、濁川孝志(立教大学教授)、飯田史彦(福島大学教授)は、「大学生における生きがい感と死生観の関係」と題して、二大学(専修大学・立教大学)一一三七名の大学生を対象に、調査を行ってみました。まず、大学生たちに問うたのは、次のような質問項目と選択肢でした。


Q1 人間は死んだ後、どうなると思いますか。

1 完全に無となる 2 ほぼ無となる 3 無となるかもしれない 4 よくわからない  5 魂のようなものは少し残る 6 魂は何らかのかたちで残る 7 魂は永遠に存在する


Q2 我々の魂は、死後、あの世でそれまでの人生を振り返り反省し、新たな人生プランを立ててこの世を再訪する。我々の魂は、「生まれ変わり」を繰り返している、という仮説を信じますか。

1 絶対に信じない 2 ほとんど信じない 3 あまり信じない 4 どちらでもない  5 少しだけ信じる 6 ある程度信じる 7 全面的に信じる


Q3 人生は、死・病気・人間関係など様々な試練や経験を通じて学び、成長するための修行の場であり、自分自身で計画したものである。人生は魂を成長させるための場、学校であるという仮説を信じますか。

1 絶対に信じない 2 ほとんど信じない 3 あまり信じない 4 どちらでもない  5 少しだけ信じる 6 ある程度信じる 7 全面的に信じる


Q4 現在出会っている夫婦、家族、友人、ライバルなどは、お互いの成長に必要であり、未来の人生でもきっと出会うソウルメイトであるという仮説を信じますか。

1 絶対に信じない 2 ほとんど信じない 3 あまり信じない 4 どちらでもない

5 少しだけ信じる 6 ある程度信じる 7 全面的に信じる


Q5 自分が愛に満ちた行為を行えば、その愛はやがて自分にも与えられ、罪のある行為や道徳に反する行為を行えば、やがてそれもかえってくる。宇宙には因果関係の法則が働いているという仮説を信じますか。

1 絶対に信じない 2 ほとんど信じない 3 あまり信じない 4 どちらでもない  5 少しだけ信じる 6 ある程度信じる 7 全面的に信じる



 その結果、次のような回答を得ることができました。




 同時に、大石・安川・濁川・飯田は、人の「生きがい感」を測定するアンケート調査として知られている「PILテスト」を、これらの大学生たちに対して行ってみました。PILテストについては、田中弘子先生(新潟大学名誉教授)と斎藤俊一先生(新潟大学教授)が、次のような優れた紹介文を発表していますので、引用させていただきます。



 自分が生きていることの意味や目的がはっきりしないと、人は退屈や(くう)(きよ)感を味わう。また、試練に()っても、平静なこころで対処したり、あるいは、しなやかにそれを乗り越えることがむずかしい。「いっそのこと死んだ方がましだ」とさえ考えるようになる。さらに、こうした(ばく)(ぜん)とした空虚感にさいなまれ続けることによって、ある種の神経症( お)(ちい)ることも珍しいことではない。


 人がどのような意味・目的意識をもち、こころ豊かに生活に張りをもって暮らしているかを測定するために、あるいはその反対に、どの程度、(むな)しさや(けん)(たい)(かん)を経験しているのかを測定するために、PILテスト(Purpose in Life Test)はフランクル(Victor Frankl)の考えに基づいて、アメリカのクランバウ(Crumbaugh,J.C.)らによって刊行された。一九六四年のことである。


 フランクルは、人間の動機づけの基本は「意味への意志」であると言う。人生の意味と目的は、自分の人生に独自性の感覚をもたらす。これを見出せないとき、人は退屈、(けん)(たい)あるいは(むな)しさを覚える。これを、フランクルは実存的(くう)(きよ)と呼んだ。実存的空虚そのものは、単なる一つの心理状態であって、それ自体は病的でも異常でもない。フランクルは、この実存的空虚を、主体的に生きることから人を()(がい)しがちな現代という時代の産物であると考えた。しかし、実存的空虚が持続すると、人は実存的欲求不満に(おちい)る。さらに、実存的欲求不満が(こう)じると、精神因性神経症に陥ることもある。フランクルは、これを実存神経症と呼んだ。フランクルのこうした考えに基づいて、クランバウらが実存的欲求不満を数量的に測定する目的で作成したのがPILテストなのである。


(岡堂哲雄監修・PIL研究会編『生きがい』河出書房新社、一九九三年、二五〜二六頁)



 このようなPILテストの特徴は、次の調査シートに、よく現れています。一九六四年に刊行されて以来、各国で多くの人々が答えてきましたが、現在でも、その質問項目の多くは、一定水準の妥当性を維持していると評価されています。



 PILテスト Part


 それぞれの文について、あなたにとって最もぴったりすると思う数字を○で囲んでください。


1.私はふだん

① 退屈しきっている-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 非常に元気一杯ではりきっている

2.私にとって生きることは

⑦ いつも面白くてわくわくする-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-①全くつまらない

3.生きていくうえで私には

① なんの目標も計画もない-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 非常にはっきりした目標や計画がある

4.私という人間は

① 目的のない全く無意味な存在だ-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 目標をもった非常に意味のある存在だ

5.毎日が

⑦ いつも新鮮で変化に富んでいる-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 全く変わりばえがしない

6.もし出来ることなら

① 生まれてこない方がよかった-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦この生き方を何度でも繰り返したい

7.定年退職後(老後)、私は

⑦ 前からやりたいと思ってきたことをしたい-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 毎日をただ何となく過ごすだろう

8.私は人生の目標の実現に向かって

① 全く何もやっていない-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 着々と進んできている

9.私の人生には

① 虚しさと絶望しかない-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ わくわくするようなことが一杯ある

10.もし今日死ぬとしたら、私の人生は

⑦ 非常に価値ある人生だったと思う-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 全く価値のないものだったと思う

11.私の人生について考えると

① しばしば自分がなぜ生きているのかがわからなくなる-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 今ここにこうして生きている理由が、いつもはっきりしている

12.私の生き方から言えば、世の中は

① どう生きたらいいのか全くわからない-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 非常にしっくりくる

13.私は

① 無責任な人間である-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 責任のある人間である

14.どんな生き方を選ぶかということについて

⑦ 遺伝や環境の影響にもかかわらず全く自由な選択ができる-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 遺伝や環境に完全に縛られ、全く選択の自由がないと思う

15.死に対して私は

⑦ 十分に心の準備が出来ており、こわくはない-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 心の準備がなく、恐ろしい

16.私は自殺を

① 逃げ道として本気で考えたことがある-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ 本気で考えたことはない

17.私には人生の意義・目的・使命を見出す能力が

⑦ 十分にある-⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① ほとんどないと思う

18.私の人生は

⑦ 自分の力で十分やっていける─ ⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 全く私の力の及ばない外部の力で動かされている

19.毎日の生活(仕事や勉強など)に私は

⑦ 大きな喜びを見出し、また満足している─ ⑥-⑤-④ どちらでもない-③-②-① 非常に苦痛を感じ、また退屈している

20.私は人生に

① なんの使命も目的も見出せない-②-③-④ どちらでもない-⑤-⑥-⑦ はっきりとした使命と目的を見出している


(岡堂哲雄監修・PIL研究会編『生きがい』河出書房新社一九九三年に付録する「PILテスト日本版」より引用)



 このような質問項目によって、それぞれ七段階で回答を選択し、専門業者に送付すると、「生きがい度」を判定してくれます。この「生きがい度」については、PILテストの第一人者でいらっしゃる前出の田中先生と斎藤先生が、次のような指針を示してくださっています。



 生きがい度が「低」判定であった人へ


 あなたは自分の人生に「生きがい」を見出せないようです。もしあなたが若い人でしたら、生きがい度が低いのは人生経験が少ないためかもしれません。これから、まだまだ将来があります。どんな小さいものでも、あるいは身近なものでもいいですから、自分に希望をもって生きて下さい。あなたが中高年に達しているなら、さまざまな失敗や時には強い挫折を体験していると思います。偉大な人生の「先輩」たちも、同じような経験をしているのです。彼らから「生き方」を学ぶのも、意味・目的発見のひとつの方法です。なお、「生きがい」を見出せないことで、あなた自身の日常生活が非常に()(しよう)をきたしている場合は、専門家に相談することをおすすめします。



 生きがい度が「中」判定であった人へ


 あなたは自分の人生に「生きがい」を見出せないわけではありませんが、かといって強い「生きがい」をもっているとも言えません。あなたがもし若い人でしたら、現状に満足せず、何事にもチャレンジしていくことが大切だと思います。また、あなたが一定の人生経験をもった人なら、現在の生活をひきうけ、見直してみると、別の新しい生き方が見えてくるかもしれません。また、現在の状態が不変のものとは限りません。むしろ、社会的にも(たとえば定年)、個人的にも(たとえば老化)変わるのが必然です。これからは現在の生活領域だけでなく、もっと幅広い生き方があってもいいと思います。



 生きがい度が「高」判定であった人へ


 あなたは自分の人生に「生きがい」を見出して生きていると言えます。現在の生活の意味を、この機会にもう一度考えてみるのもよいでしょう。とくに、ある目的のために手段とした現在の生活そのものが目的となっていないかを検討してみたり、これまでの(これからの)日々の生活があなた自身にとって、そしてまた、ほかの人や社会にとって本当に意味のあるものかどうかを考えてみるのもよいでしょう。なお、「高」判定の人の中には活動しすぎの傾向の人もいますので、健康面の注意が必要かもしれません。


(岡堂哲雄監修・PIL研究会編『生きがい』河出書房新社、一九九三年、四〇〜四二頁)



 このような実践的考察が行われているPILテストと、大石・安川・濁川・飯田による死生観調査とを、二大学一一三七名の大学生たちに対して行い、両者の関係を分析してみたところ、興味深い結果を得ることができました。


 その内容は、学術論文として、健康心理学会の学術誌に掲載いただけることになりましたので、次に、その原稿から、調査分析の部分を引用してご紹介いたします。(原著論文は、大石・安川・濁川・飯田「大学生における生きがい感と死生観の関係」として、健康心理学会『健康心理学研究』に、二〇〇七年末に収録)



 方 法


1.調査対象


 調査対象は首都圏の大学生一一三七名(男性六三五名、女性五〇二名)であった。彼らの平均年齢および標準偏差はそれぞれ一九・二±一・六歳、一九・〇±一・七歳であった。被験者に対して実施前に調査の趣旨を十分に説明した後、下記の調査を無記名方式で実施した。

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