読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1288613
0
教養としての「フランス史」の読み方
2
0
0
0
0
0
0
歴史
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
おわりに

『教養としての「フランス史」の読み方』
[著]福井憲彦 [発行]PHP研究所


読了目安時間:3分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 二〇〇〇年以上にわたるロングスパンでの「フランス史」の記述は、何をとりあげ、どのように語るのか、要素が多いだけに難問です。


 専門的な研究という観点からすれば、問いの範囲をもっと絞り込んで明確に立てないと、扱うことは困難です。いきおい専門研究は、どのような分野でも、細かな事象を扱うことが多くなる傾向を示します。それはそれで、歴史理解のための基礎作業として重要です。


 しかしまた、歴史学という分野を専門としてきた私どもは、そうした仕事のみで満足するわけにもいきません。実は、個別の問題をいくら積み重ねても、全体的な歴史像、ないしは時代像の再構築には直結しません。個別の問題は、他の諸問題との関係においてしか、その歴史的位置づけを明確にすることはできないからです。問題の連関、要素連関を問うこと、解釈することが、大切なのです。


 ですから、多様な個別の要素を含みこみ、ある期間を通して現実化していた歴史を大きく捉え、描いてみることも、欠けてはならないことです。時代の全体的な状態を描けなければ、その中に個別の問題をおいてみることもできないでしょう。


 これまでに多くの歴史家、ないし研究者によってなされてきた、さまざまな研究の蓄積を踏まえて、相当に長い時間の幅で歴史を描くこと、いわゆる概説を提起して書いてみることですが、これも歴史家にとっては重要な仕事です。実は若い頃から私は、そう考えてきました。明瞭な概説書の公刊は、研究のプロではない市民たちに対して、プロの研究者が負っている「責務」の一つではないのか、と。

「はじめに」で私は、「語る」という表現を何度も使っています。実はこの本は、私が語ることから出発しています。元はといえば、歴史学の専門とは縁遠い三人の方、プロのライターである板垣晴己さん、進行のコーディネーター齊藤睦子さん、そして編集担当の鈴木隆さんからの質問を受けて、それに私が答える形で「フランス史」を語り下ろす、という、私自身これまで想定したこともなかった方式で進みました。板垣さんがそのテープを聞きながら、かつ関連した本でデータを補いながら文章化してくださり、それを今度は私が確認しながら修正していく、という手続きをとりました。私の話は始まるとあちらこちらへ広がったり、転じたりしますので、編集しつつ最初の文章化をしてくださった板垣さんの力仕事は、大変な能力だと感心します。


 事実関係や年号の確認などでは当然、多くの内外の歴史事典や概説書、研究書を参照しています。本書の性格からして注記はしていませんが、一部日本語で手に取りやすいものを参考文献に挙げてあります。参考文献には、また参考文献がついていることが一般ですので、どうぞ芋づる式に関心を広げていただければ、と思います。



 二〇一九年八月吉日

福井憲彦 

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:1159文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次