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寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか(大和出版) 女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド
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生き方・教養
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はじめに

『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか(大和出版) 女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド』
[著]チェコ好き(和田真里奈) [発行]PHP研究所


読了目安時間:7分
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ずっと本に囲まれてきたからこそ得られたもの



私は“持たざる者”だけれど


 この本のタイトルを見て、あなたはどのように感じただろうか。

「今の自分の状態や気持ちそのものだ」と思って手にとってくれた人が、けっこう多いんじゃないかな、なんて予想している。


 かく言う私も同じだ。そして──


 32歳、独身、彼氏なし、非正規雇用。


 これが、現在の私のプロフィールである。人によっては、「こうはなりたくない」あるいは「こうならなくてよかった」と思ってしまう要素が、いっぱい詰まっているのではないだろうか。


 私自身も、自分のここまでの人生を振り返って、「気がついたら“ないない尽くし”の人間になってしまったなあ」と思ったことは数知れず。


 それでも、絶望だけはせず、今に至る。


 たしかに、お金も仕事もパートナーも、他人から羨ましがられるようなわかりやすい「幸せの指標」を、私は現時点で何ひとつ手にできていない。


 だから何も幸せを感じずに生きているかというと、そうでもない。


 もしかしたら同世代の、私よりたくさんの「幸せの指標」を手にしているはずの女性よりも自由に、のんびりと、楽しく暮らしているのでは、と感じるときもある。



 その理由のひとつは、間違いなく、私が幼い頃からたくさんの「本」に囲まれた暮らしをしてきたことだと言える。


 内向的な性格で、昔から人がたくさん集まる場所が苦手だった。今でも、4人以上が集まる飲み会や食事会などでは、会話についていけなくて口数が減る。そんな私の話し相手は、基本的にはずっと、「本」しかいなかった。


 本が生身の人間と違うのは、「今」と「ここ」にとらわれないで済むところだ。


 別の国、別の時代、別の階級、別の性。本の中でなら私は、現実よりも多様な環境に、自由にアクセスすることができる。そして、じっくりと考えることができる。誰かに認めてもらうための「幸せの指標」などではなく、私が本当にほしいものは、本当に必要な環境は、本当に望む社会は、いったいどんなものであるのかを。


書くことでつかみとってきた


 本と、あとは映画好きが高じて、大学院で映画を学んだあとに「チェコ好きの日記」というブログを開設したのは2012年のことだ。


 ハンドルネームにもした「チェコ好き」は、大学院で、1960年代のチェコ映画を研究していたことがもとになっている。


 当時はあくまで、持てあましていた暇な時間を使って、読書記録や映画鑑賞記録をつけようと思っていただけだった。それが徐々に、世にはびこる「正しい」論理が矛盾していることなど、社会に対する不満を漏らすようになっていった。


 そして、大好きな作家である村上春樹の作品批評の記事がたくさんの人に読まれたことが大きなきっかけとなり、会社に所属しつつ、ウェブ媒体を中心にコラムを寄稿する生活が始まった。本書のもとになっている恋愛サイト「AM(アム)」での連載も、その中のひとつだ。


 話すことは苦手だけど、書くことはまあまあ得意だったから(要するに、典型的なネット弁慶なのである)、内向的な性格にもかかわらず、ブログがたくさんの仕事や友人を連れてきてくれた。


 繰り返しになるが、私は人が羨むような「幸せの指標」を、今のところひとつも手にできていない。


 だけど、本や映画に囲まれて暮らすこと、文章を書いて生活の糧を得ること、働き方を自分でコントロールできること、好きなときに長期の休みをとって海外旅行に行けること、多くはないが友人がいること。また、そのために必要な生活費、資金──こうした「本当にほしかったもの」だけは、きちんとつかみとることができていると思う。そしてそれは、これまで読んできた本のおかげだと言い切っていいだろう。


 もちろん、私も自分の人生にまったく迷いがないわけではない。独身であることや、(文筆業との両立のためとはいえ)非正規雇用であることに対して、「今はいいけど、年をとると大変だよ」などと言われると、「そうかもなあ……」なんて思い切り振り回されたりする。


「あたりまえを疑う」ということ


 この本では、私と同じようなアラサー、アラフォー女性の不安や迷い──つまり、仕事や恋愛、家族など、「全然思うようにならないこと」へのモヤモヤ──に寄り添ってくれそうな本を、35冊紹介している。

「寄り添う」と書いたが、中には私がけっこう挑戦的な物言いをしているところもある。


 例えば、独身であることに不安や寂しさを感じているのなら、パートナーを見つけて結婚すればいい──それはたしかに、ひとつの真っ当な答えだ。


 だけどそもそも、なぜ独身であることが不安なのか、寂しいのか。パートナーを得ることによって、その不安や孤独は本当に解消されるのか。解消されるとしたら、それはなぜか。問題は、実は「私(あなた)」の中だけではなく、そう思わせてしまう「社会」のほうにもあるのではないか。「私(あなた)」を努力によって変えていくことは素晴らしいけれど、同時に、「社会」にも変えていくべきところがあるのではないか。


 ……なんて感じで、自分の本音をとことん掘り下げたり、周囲の無理解や体制の未成熟さに怒ったりしている。


 そして、それぞれの悩みや問題について、解決のヒントをくれる本、まったく別の視点や新しい世界を教えてくれる本、あるいは「わかる~!! そうなんだよ!!」と留飲を下げてくれる本などを挙げた。その内容はもちろん、私自身がそれをどう解釈して「その後」につなげたかも書いている。


 私が本を読むときの一貫した姿勢、そして本を通して必ずするのが、世の中で“あたりまえ”とされていることや前提を疑うことだ。本書にも少なからず、その姿勢が反映されていると思う。


どうしようもないことから、「本」があなたを救う


 こんなふうに書くと、もしかしたら私を「人生のすべてを自分の意志によって選び、決断してきた強い女」みたいに感じた方もいるかもしれない。


 だけど、それは全然違う。


 詳しいことは本文の中で触れるけれど、私にもこれまで、強く望んだにもかかわらず、どうしてもつかめなかったものがもちろんある。


 逆に、強く望んでいなかったのに運とタイミングのおかげで偶然手にできたものもある。例えば、極端な話になるかもしれないけど、戦争のない国に生まれ、その国籍を何の苦労もなく獲得することができた。──これは、生まれる前の私が強く望み、努力した結果ではない。このように、誰の人生にも、コントロールが可能な部分と、不可能な部分があって、それは、みんな一緒なのだ。



 寂しさ、孤独、心の中のモヤモヤ。独身女性の内面に関わる多くのことは、自己肯定感だとか、努力の有無だとか、「あなた」を中心に語られがちだ。「あなた」とはつまり、自分の意志でコントロールが可能な部分である。


 と同時に、あなたも私も、「社会」の中で生きている。先ほども述べたけれど、社会の中には、あなたや私が個人でどれだけ頑張っても、決して超えられない壁──コントロールが不可能な部分がある。歴史、経済、政治、差別や偏見や格差など……。


 私は、「あなた」自身について深く考えると同時に、私たちが生きているこの社会についても、少し疑問を持ってみていいはずだと思っている。別の国、別の時代、別の階級、別の性に自由にアクセスできる「本」は、そのための材料を、きっと無限にくれる。


 だからこの本には、「あなた」自身について考えるための本だけではなく、「社会」について考えるきっかけになるような本も混ぜた。

「あなた」と「社会」。複雑に感じたとしても、その複雑さが逆に、あなたを「今」と「ここ」から解放し、新しい視点を与え、あなたを救うことさえあるはずだから。



 紹介した35冊には、軽い気持ちで手にとれる本から古典文学まである。


 どれも、私と同じような境遇の独身女性を想像しながら選んだ本だ(でも、結婚して子供がいる女性にも、そして男性にも、「面白い」と思ってもらえる普遍的な要素はたくさんあると自負している)


 目次を見て気になるワードがあったら、ぜひ読み進めてほしい。


 そしてそれが、あなたにとっての「何か」になったとしたら、とても嬉しい。


チェコ好き(和田真里奈)

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