『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか(大和出版) 女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド』
[著]チェコ好き(和田真里奈)
[発行]PHP研究所
恋愛と結婚が接続された時代
「結婚するとかしないとか、それよりもただ、愛してる」
結婚情報誌『ゼクシィ』のこのCMコピーは、結婚しない人生を否定せず、それでいて、目の前の愛する人との結婚を肯定するというポジティブさから、多くの人に歓迎されたようである。
が、疑問は残る。本当に「ただ愛してる」だけならば、それはなぜ、結婚という形をとったのだろうか。
「ただ愛してるだけなので、婚姻届を出さず同棲し続ける」「ただ愛してるだけなので、恋人関係を続ける」というのでも、別に日本語としておかしくはない。
「愛」と「結婚」はもともと、接続関係にはない。
それは近代以前の結婚が、当人たちの意志を無視したイエとイエによる女の交換に過ぎなかったことからも明らかだ。
現代においては、「イエ」なんて意識しない人が大半だろう。