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「色彩セラピー」入門 心を元気にする色のはなし
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生き方・教養
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はじめに

『「色彩セラピー」入門 心を元気にする色のはなし』
[著]末永蒼生 [発行]PHP研究所


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「色彩はますます強い効果を及ぼす。ある種の青はあなたの魂に入り込み、ある種の赤はあなたの血圧に作用する。ある種の色調は元気を与えてくれる。それは濃縮された音色なのである」

アンリ・マチス



 宇宙船の窓ごしに青い地球を描いた、一枚の絵。これは、おそらく地球以外の場所で描かれた最初の絵だろう。作者は、一九九七年に日本人初の宇宙遊泳を行った宇宙飛行士の土井隆雄さんだ。この絵は、「幼い頃から絵は非常に好きだった」というコメントと共に当時新聞などで紹介された。土井さんはクレヨンを(たずさ)えて宇宙に向かったのだ。


 第一線で活躍する人たちの中で絵を描くことを楽しんでいる人は意外に多い。かつてジャズ・トランペッターとして世界中のジャズ・ファンを(とりこ)にしたマイルス・デイビスも絵を描いていた。特に晩年はかなり熱中していたようで「トランペットを吹いているか、絵を描いているか、どっちかだ」と語っている。そして、絵のインスピレーションは色そのものから浮かんでくる、とも言っている。


 彼らはなぜ絵を楽しむのだろうか。案外、色を使うということが仕事上の気分転換やイメージトレーニングにも役立っているのではないかと私は見ている。

色と心”。これが、私が長年取り組んできたテーマである。一九八八年に出版した『色彩自由自在』(晶文社)は、「色彩心理」の入門書的な役割を果たし、多くの読者から感想のお手紙を頂いた。それがきっかけでスタートした講座「色彩学校」も、二〇〇七年現在、すでに約三千人の卒業生を数えている。この間、受講生たちの関心は「流行色」や「カラーコーディネイト」といったことから一歩踏み込んで、色彩の持つ心理作用を暮らしや仕事に活かしたいという方向に進んできた。私自身もこの数年は色彩をメンタルケアに活かす実践活動に取り組んできた。子どもの情操、一般人のリラクセーション、病人の心のケア、また高齢者の精神面でのリハビリなど、応用分野は広い。


 最近は、学校やオフィス、医療施設などの公共施設における内装の色彩について、その心理的な効果を相談される機会も少なくない。“心の時代”といわれて久しいが、色と心のつながりについても世の中の関心が深まってきたことを感じさせられる。


 本書では、色が心に与える不思議な作用を赤から紫、無彩色に至るまで、エピソードを交えながら色別に紹介した。登場人物の設定は多少変えてあるが、いずれも私が出会ったケースだ。また、最近でこそ“セラピー”という言葉が一般的になったが、実は“色彩セラピー”の源流は古代のエジプトや中国にまで(さかのぼ)ることができる。近年、民族文化への関心が高いが、人間が古くから色の力を信仰してきた背景、さらに近代の研究者たちが「色彩療法」をどのように位置づけてきたかなどの歴史にも多少触れることができた。このテーマは、なぜこの世に色があるのかという人間と自然を結ぶ謎に読者の関心を向けるだろう。


 これまで、「色彩心理」についての研究は心理学や医療、またビジネス分野などさまざまな角度から行われてきた。私の場合、画家として出発し、子どもの絵の調査から色彩研究に入ったことが幸運だった。というのも、色を使う立場から実感をもって色彩と心理的なもののつながりを知ることができただけではなく、実践的な方法を次々に試みることができたからだ。このため、子どもの絵と画家の作品という、人間がピュアな状態で色に感情を反映させる例を数多く研究してきた。この本でもその一部が紹介してあり、類書とは違った特徴になっている。美術が好きな人にとっても、新しい絵の見方を付け加えられるのではないだろうか。


 暮らしの中にあふれる色の作用に気づき、心身のコンディションに合わせて使ってみること。この何気ない楽しみからでも精神は(みず)(みず)しく再生する。生き生きとした日々を発見するヒントとして本書を活かしてもらえれば幸いである。

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