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宝塚歌劇 柚希礼音論(東京堂出版) レオンと9人のトップスターたち
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ルポ・エッセイ
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7章 真矢みき 2人目の武道館リサイタル 〜退団前年〜

『宝塚歌劇 柚希礼音論(東京堂出版) レオンと9人のトップスターたち』
[著]松島奈巳 [発行]PHP研究所


読了目安時間:27分
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「昔は良かった」はホント?


 柚希礼音以前と以後では、宝塚歌劇のステージが変容している。ステージだけではない。宝塚歌劇団という集団のテイスト自体が変容している。


 漠然と抱いていた印象であるが、案外、的を射ていると思えるようになっている。歌舞伎でも、プロ野球でも相撲でも、オールドファンは昔を懐かしがる。今とときめくスターがいても、


 「いやぁ、やっぱり女形は中村歌右衛門にとどめを刺すね」


 「言っちゃなんだが、いまの巨人の四番と王・長嶋を比べちゃうと」


 「白鵬と北の湖、やっぱり北の湖の方が強いだろ」


 宝塚も、しかり。どんなトップスターが誕生しても、


昭和ベルばら世代  「ツレちゃん、ターコさんって……ハァ~(ため息)」(※1)

オールド月組ファン 「マオとショーコを超えるコンビは、いないわ」(※2)

バブル世代     「ナツメさん、カナメちゃんって、ホント素敵だった」(※3)

ミレニアム世代   「四天王の時代は、きらびやかだったわね」(※4)


※1 鳳蘭と麻実れい

※2 大地真央と黒木瞳。ゴールデン・コンビと称された

※3 大浦みずきと涼風真世

※4 愛華みれ、真琴つばさ、轟悠、稔幸の71



 ダルビッシュと王貞治を勝負させるわけにはいかないし、古代エジプトの古文書には「最近の若者はなっとらん」と記されていたそうだから、「昔は良かった」症候群は今に始まったことではない。この現象を筆者はグっとくだいて「メモワール萌え」と命名している。


世にも恐ろしいジェンヌ・ロス症候群


 宝塚の場合、よく言い習わされているのが、「トップスターに魅力がなくなった」説だ。結論からいえば、これはまったくの迷信に過ぎない。


 ご贔屓のスターが退団すると、誰しもが「ジェンヌ・ロス症候群」に陥る。


 症状といたしましては、


→ 茫然とする

→ 観劇の回数が減る。極端な場合、劇場に足を運ばなくなる

→ 専門誌『歌劇』『宝塚GRAPH』を眺める時間もなくなる

→ 最新の情報についていけなくなる

→ 知らないジェンヌが増える

→ 知らないから、「魅力がない」と映る

→ なんとか次の贔屓を見つけ出そうとする

→ でも、やっぱり「モトカレ(モトカノ?)」が忘れられない

→ 「最近のジェンヌは魅力が乏しい」と確信する



 この点を踏まえた上でとなるが、この20年ほどで、明らかに変わったと感じる部分もある。


(1)組のカラーがなくなった

(2)名物ジェンヌがいなくなった

(3)トークの面白いスターがいなくなった。


懐かしの名物ジェンヌたち


 (1)については前章までに、言及してきた。


 (2)は、まずトップスターに顕著だ。(1)にも関連するが、特定の組を象徴するような存在がいなくなった。大浦みずきといえば「花組のレジェンド」であるし、大地真央・涼風真世はどこから見ても「アイドル系の月組」そのもの。


 トップスター以外にも、各組にはいわば「(ぬし)」のような名物ジェンヌが点在していた。専科の()()のえるは、大地真央と同期(59期)で花組の組長も経験したベテラン男役。ミュージカル・ショー・日本物・ストレートプレイとジャンルを問わず、圧倒的な演技力で名脇役として客演していた。さまざまなイベントでの名司会ぶりなど、トークも一級。足かけ40年の宝塚生活に別れを告げて、2012年に退団した。


 (じゅ)()(さき)()76期)も、得がたい人材だった。月組・宙組で男役スターとして活躍しながら、座談の名手として、宝塚歌劇専門チャンネルで自分の名を冠した『JURIの“それってどうなの!?”』などの番組の司会をつとめた。


 花組には(きし)()(おり)45期。2012年に死去。享年73)、月組には()(やま)()()72期)といったバイプレイヤーがいた。岸は、80周年大運動会で解説役をつとめている。るんぱ(「ルパン」ではなく)の愛称で親しまれた真山は、チョイ役ながらステージに現れるだけで観客席がプチ沸きするほどの個性派だった。


 そして(3)である。


 2014年4月に、歴代スターが一堂に会した100周年記念『時を奏でるスミレの花たち』が開催された。この記念イベントで司会の大役をつとめたのが、真矢みきだった。


真矢みきの本当の凄さ


 真矢みき(現・ミキ)は、67期。いまや「上司にしたい芸能人」アンケートの常連で、ステージからもトークからもサッパリとした性格がうかがえる。


 歌にもダンスにも飛びぬけた才はないが、アクの強い歌唱・オーバーアクション気味な身ぶりは一度味わったらクセになる。ファン同士の宝塚カラオケで盛りあがること必至なのが、真矢のモノマネ。ラ行をすべてL音で発声し、ソファ席を横目で見下しながら、肩をそびやかせ手足を小刻みに振るわせれば、あ~ら不思議。「真矢みき」もどきが一丁できあがる。

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