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じつは面白かった『平家物語』
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文芸
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第二章 反乱期のあらすじ

『じつは面白かった『平家物語』』
[監修]小林賢章 [発行]PHP研究所


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(いつく)(しま)()(こう)」〜「(ながの)(せん)()

打倒平家軍が動く


不遇の皇子・(もち)(ひと)(おう)の登場


 明けて一一八〇年正月、鳥羽殿に幽閉されている後白河院は誰の参賀も許されず、寂しく過ごしていました。二月、まだ若い高倉天皇が、(たいらの)(きよ)(もり)の娘・(とく)()との間に生まれたたった三歳の皇太子に譲位します。天皇の(がい)(せき)として権威を振るいたい平清盛の差し金でした。そうして四月に安徳天皇の即位の儀式が行なわれました。


 そうしたある日、後白河院がいる鳥羽殿でイタチが騒ぐので占ってもらったところ、この三日間に吉事と凶事があるといいます。吉事は、清盛の三男・(たいらの)(むね)(もり)の口添えで後白河院がようやく許され、御所に戻れることでした。いっぽう凶事は、後白河院の三男にあたる(もち)(ひと)(おう)の謀反であったことがのちにわかります。


 後白河院にはふたりの妻がいました。ひとりが平家一門の(けん)(しゅん)(もん)(いん)(しげ)()で、このたび譲位した高倉天皇の母にあたります。もうひとりの妻・(しげ)()との子供が以仁王です。以仁王は建春門院・滋子にうとまれ、長く不遇な立場にありました。そんな以仁王に目をつけたのが、平家政権下でひとり生き延びていた(みなもとの)(より)(まさ)という人物。頼政は、以仁王が皇位を継ぎ、父である後白河院を助けるべきだということと、大勢の源氏を集められるということを語って謀反をもちかけます。迷った以仁王は占い師に人相を見てもらうと、「位につくべき相」といわれたため謀反を決断し、平家討伐の(りょう)()を諸国の源氏に送ります。この令旨が届いたことから、のちに(みなもとの)(よし)(なか)(みなもとの)(より)(とも)が挙兵することになります。


 ところがこの謀反計画は早々と平家にバレてしまいます。以仁王は髪をほどき、着物を重ね着し、(いち)()(がさ)をかぶるという女装をして御所を抜け出し、近江(おうみの)(くに)現在の滋賀県)の(おん)(じょう)()に逃げこみます。

謀反のきっかけは(むね)(もり)の横柄な態度


 そもそも、頼政が以仁王に謀反をもちかけたのは、頼政の長男の(みなもとの)(なか)(つな)が宗盛に侮辱されたことがきっかけでした。仲綱が大事にしている名馬を、宗盛は無理矢理自分のものにしたうえ、馬に仲綱の名前を焼き印して「仲綱に(むち)をあてよ」とバカにしたのです。この横暴な振る舞いが頼政の怒りに火をつけました。


 さて、園城寺の以仁王のもとには源氏の軍勢が次々と集結します。そのなかに平家の味方のふりをして、まんまと平家の馬に乗って駆けつけた(きおう)という者もいました。競は園城寺に着くとその馬に、宗盛の焼き印を入れて平家に戻しました。頼政の家来だった競は、主人の恨みを晴らしたのです。宗盛は怒り心頭です。


 園城寺は、比叡山延暦寺や奈良の興福寺などの寺院に、この謀反に同調するよう呼びかける書状を送りました。しかし、延暦寺は末寺の園城寺から対等に呼びかけてきた書状が気に入らないうえ、清盛からの贈り物が届いたので謀反には同調しないことにしました。いっぽう、奈良の興福寺からは以前から平家への不満がくすぶっていたので、すぐに兵を差し向けるという返信が来ました。


 園城寺では、延暦寺の応援が得られない今、興福寺の加勢を待っていると不利になるので、平家に夜襲をかけようという相談がされていました。それに反対したのは(しん)(かい)という僧です。じつはこの真海は平家方のスパイだったのです。この真海による引き延ばし作戦でとうとう夜が明けてしまいました。

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