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飲食業界 成功する店 失敗する店
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第2章 メニューで決まる成功と失敗

『飲食業界 成功する店 失敗する店』
[著]重野和稔 [発行]すばる舎


読了目安時間:34分
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【成功】〈こだわりの手打ち〉をやめたら売り上げアップ(つくば・そば居酒屋)


▼「本格十割そば」が嫌われて



 代官山の直営店は盛大にこけましたが、依頼される店のプロデュースは順調(舞台裏は後述します)でした。新しい店が次から次へと現れる時代ですから、早い時点でお店をしっかり世間に認知させたい。オープン3か月という短期間で黒字化して、クライアントに喜ばれたい。


 それらを実現するため、コンセプトや事業計画を練り、地域に唯一の業態で長く愛される店舗づくりを徹底しました。これが当たり成功が続くと、またまた直営店を出したくなります。飲食店好きの(ごう)と申しましょうか。


 そこで2007年、「今度こそは」との思いで、つくばに直営店をオープンしました。東京からわざわざ職人を招聘しての、十割手打ちそば店です。


 都心の立地ではないため、「この値段で十割手打ちそばが食べられるなんて東京では考えられない」という、非常にリーズナブルでお得なそば店なのですが、アンケート調査をすると、どうも地元の人たちの評判は悪い。


 それでも1年間、こだわりの十割手打ちそばを提供していましたが客足は伸びません。店の売却を念頭に置き、飲食業界の知り合いに声をかけるべきか……。しかし思いとど

まり、アルバイトだけで回せるようにして人件費を抑え、手打ちはやめて駅の立ち食いそば同様、麺とスープを業者から仕入れて簡単なオペレーションにしました。


 その際、どんなそばがいいか、地元のお客様にお願いしていろいろ試食していただいたところ、のど越しつるつるのうどんに近いそばが好まれたのです


 しかも、そば粉、香りにこだわった手打ちの十割そばよりも評判が良いのは、業者から仕入れた二八そばでもなく、五割そば……。そして出汁は伝統的な江戸の濃い味の出汁よりも、マイルドで甘い出汁が好まれました。


 私が良かれと思って選んだ本格手打ち十割そばは、お客様が求めているものと違っていたのです。そうとわかれば早速、行動です。


 製麺所に依頼して、新しいそばをつくりました。五割でも香り高いそば粉を使用し、業者から仕入れた出汁にお店で昆布と鰹節でまろやかな旨味を加え、つるっとした触感の、のど越しの良いおそばができました。すると徐々に地域で「おいしい」と評判になり、黒字化していきました。


 地方には地方の好みの味があること、凝ったものが必ずしもお客様の好みではないということですね。この経験から、その土地の味の傾向を調べ、その地域に合った愛されるお店づくりを心掛けるようになりました


▼一騎当千! 優秀な学生アルバイトが店を救う



 一時は売りに出すべきかと迷った、がらりつくば店ですが、黒字化の理由はそばのリニューアルだけではありません。


 つくばといえば筑波大ですが、学生アルバイトさんたちが一度教えただけで完ぺきにオペレーションを覚えてくれました。


 しかもオペレーションを覚えた学生さんは、それ以外のことを教えなくても状況を判断し、自主的に動いてくれるのです。


 そのおかげで、当初は数人の社員を東京から派遣していたのですが、社員は店長1人だけで、あとはバイトさんに任せられるようになり、人件費をかなり削減することができました。今では一番利益率の良い直営店になっています。


【成功】2年で業態変更し、PRで集客する驚異のお店(大阪・大型居酒屋)


▼流行に合わせて早替わりの繁盛店



 流行りのキーワード(メニュー)を店名に入れ、ネット検索による団体客の予約に力を入れて成功したお店もあります。


 たとえば、熟成肉が流行れば「熟成肉の○○(店名)」、パンケーキが流行ると「パンケーキの〇〇(店名)」など主要メニューを変更し、さまざまな名前で店舗展開に成功したのです。


 戦略として1店舗当たり何十万円という、通常の飲食店ではありえない広告費を使ってグルメサイトに広告を掲載しました。それで検索上位を獲得して予約されやすいようにし、客単価も飲み放題で3000円以下にするなど、20代の団体客をターゲットにしたのです。


 そして、2年経って流行が(すた)ると、次に流行し始めているキーワードを店名につけ、数百万ほどかけてメニューや看板などをつくり直します。つまり、別の店としてオープンするということを繰り返すのです。


 似たような方法として、流行っている業態のフランチャイズに積極的に加盟し、流行のサイクルが短い飲食業界の中で成長している企業もあります。


 これらは、資金力がある事業主だからこそできる出店方法でしょう。


▼看板次第で客足が変わる?


「看板をつくり直す」といいましたが、外看板を変えるだけでお客様が増えるケースは、実際にあります。


 これは個人店の方がやりがちなのですが、なんの店だかよくわからない看板を見たことはないでしょうか。たとえば、「海鮮居酒屋しげとみ」という場合、こじゃれた感じを出したいために「居酒屋」を書かない、もしくはデザイン性の高い書体で、小さく「しげとみ」とだけ書く店などです。


 しかし、これでは看板を見てもどんな店かわかりません。高級業態の隠れ家なら別ですが、敷居の低い「居酒屋」「海鮮居酒屋」でしたら、遠くから見てもどんな店かわかり、業態に合ったデザインや書体でアピールしたほうがいいでしょう。


 一般的に、中が見えない店もお客様は敷居が高いと感じ、敬遠します。仮に外にメニューや黒板があったとしても、店内の雰囲気がわからないと二の足を踏むのです。


 そんなときは看板に店内写真を掲載し、どんな店か短い説明を入れるなどちょっとした工夫で、売り上げが1015%上がるケースはけっこうあります。


 神戸で失敗したつくね店の看板は180センチ×120センチとけっこう大きいものでしたが、「ガラリ」という大きなロゴの脇に小さく「神戸」と書いてあるだけでした。


 これでは当然、お客様はなんの店か判断できません。商業施設自体がゴーストタウン化していたこともありますが、「なんだかわからない店なので入りにくい」という心理的な抵抗感もあり、客足が遠のいたのでしょう。


 神戸店の場合、店名よりも「30種のつくね」や「かすうどん」をメインに打ち出したほうがよかったと、今では思っています。

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