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地球の片隅の物語
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ルポ・エッセイ
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少年たちの反乱

『地球の片隅の物語』
[著]曽野綾子 [発行]PHP研究所


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(初出:『Voice』一九九五年十二月号)



 昭和一桁台に生まれた人たちは、久しぶりに忘れていた名前を思い出す事件だった。その頃、イヴォンヌ姉妹といえば、驚異の五つ子姉妹として有名だったのである。


 彼女たちは一九三四年五月二十八日、カナダのオンタリオ州のゴルベーユに、父・オリバと母・エリジールの間に生まれた。当時の医学では、五つ子が全員健康で育つことは考えられなかったので、彼女たちが数日以上を生きた最初の五つ子になった。現在までにエミリーとマリーの二人が死亡し、アネット、セシール、イヴォンヌの三人が六十一歳で生き残ってモントリオール地区で暮らしている。


 一九九五年九月二十七日付のシンガポールの『ザ・ストレイツ・タイムズ』紙によると、イヴォンヌは遂に結婚しなかった。アネットとセシールは離婚して、今は旧姓を使っているという。


 彼女たちの育ち方は、実はかなり悲惨なものだったとニュースは報じている。彼女たちはオンタリオ州政府によって親たちから引き離され、その監視と保護の元に置かれていたというのだ。三百万人が北オンタリオにある「五つ子ランド」を訪れて、こちら側からだけ見えるワンウェイ・カーテンの向こうで遊ぶ赤ん坊たちを眺めた。父親のディオンヌ氏は、子供たちの親権を取り戻す裁判を起こしたが、その解決には九年がかかった。


 彼女たちが十歳を超え、一九四〇年代になって家族の元に帰ってから、或る日ドライヴに出た時に悲劇が起こった、と彼女たちは最近になってカナダのテレビと新しい本の中で語った。彼女たちの父親が彼女たちに性的な(いた)(ずら)をした、というのである。もっとも彼女たちの姉や兄たちは、父がそのような振る舞いをしたことはない、と語っている。当のディオンヌ氏は一九七九年に亡くなった。


 しかし子供たちが、戦前のサーカスの見せ物のような扱いを受け、それによって一家の暮らしもめちゃめちゃになったことは本当なのだろう。

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