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[新装改訂版]スポーツの経済学 スポーツはポストモダン産業の旗手となれる
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序章 現代社会におけるスポーツの経済的役割

『[新装改訂版]スポーツの経済学 スポーツはポストモダン産業の旗手となれる』
[著]小林至 [発行]PHP研究所


読了目安時間:22分
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 本書の初版が発行されたのは2015年、東京2020オリンピック・パラリンピックの招致が決定してから2年ほど経過したタイミングでした。当時、分かっていたことは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを挟んで、2019年にはラグビーワールドカップ、2021年にはワールドマスターズゲームが開催されることでした。このような世界的な大規模スポーツイベントが同一国で3年連続して開催されることは、世界でも例のないことです。早稲田大学の間野義之教授が「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と名付けたこの3年間は、日本全体がスポーツに関与することや、世界中の人々が日本を訪れることなど、「みるスポーツ」つまりスポーツ興行が社会に大きく貢献できることを実証するための千載一遇の好機と考えられています。


 実際、日本以外の先進国では、みるスポーツはグローバル化した世界市場の攻略の旗手として、あるいは空洞化する地方経済の起爆剤として、産業として大きく成長してきました。20世紀は、モノとカネを追い求めた大量消費、大量破棄の物質の時代でした。一方、21世紀は、20世紀型社会のままでは地球がもたないことの認識が深まるなか、物質は必要最低限に抑えつつ、精神の充実を図る時代への変化が求められています。こうした時代背景を踏まえ、スポーツ産業は、「ポストモダン産業」として大いに注目を集め、地域の健全な娯楽として定着するにつれ、ビジネス化が進み、そのなかで注目度の高いスポーツ・イベントはグローバル化の進展とともに、産業として指数学的な成長を遂げているという次第です。


 指数学的成長を遂げたスポーツ・イベントの例を1つ挙げてみますと、テニスの4大メジャー大会のなかでも、最も格式の高い大会であるウィンブルドン(全英オープン)は、テニスをしない方でもお馴染みの大会だと思います。1968年にはじめてプロ選手の参加が認められ、賞金大会となった際の優勝賞金は、男子3074ドル、女子1153ドルでした。これが、2019年には男女とも298万ドルですから、50年でほぼ1000倍(女子は2500倍以上)になったことになります。



社会を映す鏡としてのスポーツ


 ここでもう1つ着目しておきたいのは、テニスは男女の賞金が同じであることです。プロテニスの世界では、早くから男女平等の実現への動きがありましたが、平等の実現への大きな転機となったのが、1973年に、当時女子世界ランク1位のビリー・ジーン・キングが、男子テニス元世界ランク1位、当時55歳のボビー・リグスとの対決“battle of the sexes”でした。リグスの挑発を受けて実現したこの試合は、全米に生中継され、大きな注目を集めるなかでキングがセットカウント2-1でリグスを破り、その勢いに乗じるカタチで、キングを中心に女子テニス選手の統括団体WTA(女子テニス協会)が創設されました。


 WTAは、4大トーナメントなどにおける賞金額を男子と同等にすることを求め、全米オープンが即座に応じました。その後、全豪が2001年、全仏が2006年、そして最も保守的といわれているウィンブルドンも2007年、男女の賞金をまったく同じにしています。これは、スポーツの世界では画期的なことで、たとえば、同じ個人競技のゴルフの全英オープンは、男女とも同じ主催者(R&A)のもとで行われますが、優勝賞金は男子193万5000ドルに対して、女子67万5000ドルですから約1/3、サッカーのFIFAワールドカップの優勝賞金は、男子(2018年大会、フランスが優勝)が3800万ドルであったのに対して、女子(2019年大会、アメリカが優勝)は400万ドルと約1/10に留まっています。



 女子サッカーアメリカ代表は、2019年3月に、男子代表と同等の待遇を求めて、米国サッカー連盟(USSF)を相手に訴訟を起こしました。アメリカの女子代表チームは、ワールドカップで4度優勝、オリンピックでは4つの金メダルを獲得するなど、世界のトップの座にあり、男子代表(ワールドカップベスト8が最高、2018年大会は本選出場ならず)よりも高い認知度があります。

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