読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-2
kiji
0
0
1295022
0
「トビタテ! 世界へ」(リテル)
2
0
0
0
0
0
0
ミステリ小説
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第5章 これから海外へ飛び立つ君たちへ

『「トビタテ! 世界へ」(リテル)』
[著]船橋力 [発行]PHP研究所


読了目安時間:36分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 私が若い人に向けた講演や研修の場で、必ず発信するメッセージが「大人を信用するな」です。「信用するな」という言葉は、敢えて誇張していますが、真意は「素直に聞く姿勢は大事だが、鵜呑みにするな。自分で考えろ」ということです。


 変化の激しい時代、もはや将来を予測することはできません。ダボス会議で世界中の英知、情報をもった方々でさえ、トランプ政権の発足や英国のEU離脱について「起こるわけがない」と口をそろえました。そして、見事に外しました。


 なのに、一部の「大人」は、過去の体験で未来のことを語りたがり、限られた常識や古い価値観に縛られ、それが当たり前かのように人に押し付けてきます。


 大人とは具体的には親・先生・マスコミを指しています。最も子どもたちが影響を受けるからです。特に厄介なのは、親と先生です。子どもの幸せを願わない親はいませんから、良かれと思って、そして最大限の愛情をもって一生懸命、誠心誠意助言をしてきます。しかし、この先の20年で過去200年くらいの変化が起きると言われるこれからの時代に、過去の経験から未来をアドバイスすることは危険です。


 マスコミも厄介です。日本においてはテレビや新聞などのメディアで海外の情報をとりあげる比率は限りなく低く、全体の1割未満ではないでしょうか。こうした情報をベースに、物事の判断をするのは危険です。日本は「情報鎖国」なのだという前提の下、自ら情報を収集し、世界の状況をアップデートしていくこと。定期的に海外に行き、自ら見聞きし、肌で感じることが求められると思います。だからこそ、留学を勧めているのです。


 これからの人生はほぼ決断です。変化する社会では、答えは自分自身でつくる必要があります。自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の頭で考え、誰が何と言おうと、最後は自分で決めなくてはいけません。


 一般社団法人リディラバ代表理事の安部敏樹さんは、留学の事後研修に登壇する際に毎回

「人生の期待値のレバーを他人に渡すな」


 と学生に語り掛けています。心の底から自分のことを正しく評価してくれるのは自分だけだと彼は言います。親でも先生でもありません。


 私が言いたいことは単純です。要するに、現状に麻痺せず、周りに染まるな、流されるなということ。自分で決めたことでないと、どこかで行き詰まってしまいます。


 自分に学びと成長を与えるための最適な手段であり、また環境に染まらないための近道は、「越境」を体験することです。枠から離れることで自分を客観的に見つめ直すことができます。また、それまでには得られなかった刺激を受けることが可能になります。


 居心地のいい場所(コンフォートゾーン)から離れ、アウェイに身を置くと、自分がどれだけ井の中の蛙であったかがわかります。問題意識が芽生え、その後の生き方に影響を与えてくれるはずです。


 一番わかりやすい越境体験は海外を体験することですが、それだけが越境ではありません。違う体験、違う場所、違う人、違う専門性、違う価値観に触れることもそう。例えば、ボランティアや地域貢献など、普段したことのないことにトライしたり、異なるコミュニティの人と関わりをもったりするのも、越境体験の一つです。そうすることで、

・未知の体験により刺激され、興味が広がる。新たな能力や得意が開発される。

・トライしたことが自信につながり、新しいことへの抵抗が少なくなる。

・適度なストレスを受け、その耐性を養う。

・様々な人と出会うことで、他者とのかかわり方を知る。

・実際にやってみることで、自分の好き嫌いがはっきりする。

・自分の何気ない得意分野がいかに特異で価値があるかを知る


 などの、効果があるはずです。


 私自身、ダボス会議への参加やYGLメンバーとの交流、トビタテの立ち上げなど、常に現状に満足せず外に飛び出すようにしてきたのは、あえて刺激を受けるため。外に出て、知らない世界を見ること以上に、自分を客観視し、成長を促すいい機会はありません。



 熊本大学医学部の藤崎智礼さんは、アメリカで医師として活躍するため、イギリスのリーズ大学で基礎医学や心理学、語学を学びました。


 臨床研修の場では、現地の模擬患者から

「あなたはアジア人だから、私を診てほしくない」


 と露骨に差別発言をされたそうです。それに対して、彼は堂々とした態度で、こう答えたと言います。

「私はアジア人ですが、医師免許をもち、実力は折り紙付き。今日は診させていただき、それでもまだ嫌なら、他の医師を紹介するので良いですか」


 その言葉に、相手はうなずいたそうです。藤崎さんはその体験を通じて、

「自分は、理不尽な出来事も乗り越えられると自信がつきました。この留学がなければ、今の私や将来の私もありません」


 と、留学成果報告会で述べていました。



 秋田大学大学院理工学研究科の柳谷昂希さんは、東のシリコンバレーと呼ばれるインドのプネ市で、人工知能のベンチャー企業にエンジニアとしてインターン留学しました。インドでの生活は波乱万丈で、滞在中、突然、高額紙幣が廃止になり、クレジットカードも使えず無一文での極貧生活が続いたそうです。


 3カ月で5回の強制引っ越しや、シャワーの爆発、窓ガラスの破損による出血性ショックで死の一歩手前だったと言われたほどの逆境をバネに、精神的にたくましくなり、それが留学生活を有意義にするためのウェブアプリの開発につながったと話していました。



 日本大学商学部の桐本滉平さんは、輪島塗ブランドの7代目の息子。東日本大震災を機に家業を継ぐことを決意し、海外の販路開拓やマーケティングを学ぼうと、パリの日系企業のギャラリーにインターン生として1年間留学しました。


 当初、日本の商品を現地の日本人と販売していましたが、スタッフがいなくなったことで急遽、マネジメントを任されることになりました。そこで「メイド・イン・ジャパン」にこだわらず、フランス人が日本人と一緒にモノづくりをする「メイド・ウィズ・ジャパン」という発想に切り替えたと言います。


 入念なヒアリングをもとに現地デザイナー兼職人とともに木と漆の眼鏡フレームの開発に取り組んだ結果、ギャラリーの月間最高売上を達成。日本の老舗百貨店でも売り場をもつことができたそうです。

「この経験によって、夢を見失わないことの大切さに気付き、悩む暇があれば突き進もうという自信を得ることができました」


 と話していました。



 津田塾大学の立原南美さんは、あるストリートチルドレンとの出会いから、

「途上国のマイノリティが、貧困から経済的に自立できる機会を創出したい」

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:15202文字/本文:17931文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次