読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-2
kiji
0
0
1296917
0
本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。(大和出版) “患者の気持ちがわからない”お医者さんに当たらないために
2
0
0
0
0
0
0
雑学
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
4章 自分を守るために必要な病の知識(免疫・アレルギー・がん)

『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。(大和出版) “患者の気持ちがわからない”お医者さんに当たらないために』
[著]大塚篤司 [発行]PHP研究所


読了目安時間:35分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


病気の「原因」とはなんなのか?


 自分が患者になると気がつくのですが、原因がわからない症状というのはとても怖いものです。ぼくはアレルギーとがんを専門としています。どちらも免疫が関係する病気です。


 ここからはすこし専門的な話をしたいと思います。いま実際、がんやアレルギーで困っている方やがんやアレルギーをしっかり勉強したい方以外は、後述まで読み飛ばしてしまって構いません。


 いずれにせよ、肩肘張らずに読んでいただけたらと思います。


 さて、まずは体の免疫について簡単に説明したいと思います。


 人間の体は外から侵入してくる敵に防御するシステム(免疫)を持っています。



 免疫という言葉は聞いたことがある人は多いはずです。では、「免疫とはなんですか?」と聞かれて正しく答えられる人はどれくらいいるでしょうか?

「免疫力をあげる」という言葉に飛びついてしまった経験がある人は多いのではないでしょうか?


 免疫というのはとても複雑です。免疫力と一言で説明できるほど単純ではありません。



 免疫はネットワークです。

「免疫力をあげる」というフレーズは、病院の説明でも使われますが、トンデモ医療でもよく使われます。強調しておきたいのは、患者さんが難しい内容を簡単に理解するために使う「免疫力をあげる」は必要ですが、商業的に利用されている場合は「あやしい」と思ってください。


 免疫はネットワークであるため、なにかひとつの細胞を指していうわけではありません。


 ネットワークなので、登場人物が増えれば増えるほど組み合わせがややこしくなり複雑になります。


 ぼくは免疫を専門に研究をしているので、免疫のプレイヤーの中でも数が少ない少数派の細胞まで扱います。免疫を正確に説明するには、すべての登場人物(細胞)を説明しないといけないのですが、それだけで一冊の本になってしまうのでここでは代表的な選手とその役割だけ解説したいと思います。


 まず、人の体には免疫がなぜあるかというと、冒頭でも書いたように敵の侵入を防ぐためです。


 敵とは、ばい菌(細菌)、ウイルス、寄生虫などを指します。


 ここでは皮膚からウイルスが侵入した場合を例に説明しましょう。


 ウイルスが皮膚についた場合、それだけでは感染を起こしません。つまり、ウイルスが体の中に入ってくることはありません。皮膚には角層(垢となる部分)と表皮と呼ばれる構造があり、敵の侵入と体の中からの水分の蒸発を防いでいます。


 ウイルスが皮膚を通過して侵入できるチャンスがあるのは、皮膚に傷がある場合です。傷があれば、角層や表皮といった物理的なバリアを突破できます。こうして物理的なバリアを突破すれば、ウイルスは体の中で増殖できます。


 最初の関門を突破されてもいいように、皮膚にはいくつかの免疫細胞が待ち構えています。


 大きなシステムとしては2つ存在します。敵であればなんでも攻撃できるシステム(()(ぜん)(めん)(えき))と、敵の特徴を覚えて集中的に攻撃するシステム((かく)(とく)(めん)(えき))です。


 自然免疫は、ウイルスが皮膚から侵入してきたらすぐに攻撃できる長所があります。しかし、どんな敵にでも対応できる普遍性を持っているため、攻撃の総力が弱まります。


 一方、獲得免疫は敵の特徴を覚えるのに時間がかかります。そのかわり、攻撃の総力は強い。


 ウイルスが皮膚のバリアを突破した場合、まずは自然免疫が戦うことになります。ウイルスは皮膚から侵入後、人間の細胞の中に住みつきます。ウイルスが住みついた細胞を感染細胞といいます。この感染細胞を攻撃するのが自然免疫を担当するNK細胞です。


 ここでウイルス感染細胞をすべて退治できればいいのですが、自然免疫は総力が弱いため、突破されることがあります。そうなると獲得免疫の出番です。


 獲得免疫では多くの細胞が働きます。その1つが(じゅ)(じょう)(さい)(ぼう)です。樹状細胞は関所の見張り役であり、また免疫の司令塔です。皮膚の物理的なバリアや自然免疫による関門を突破したウイルスと感染細胞の特徴を覚えます。それと同時に、味方がたくさん待ち構えているリンパ節へと走っていきます。


 すこし説明が難しくなってきたので、ここまでの流れをたとえ話を使って説明したいと思います。


 戦国時代の戦いの様子をイメージするとわかりやすいかもしれません。


 敵の大群がこちらの城に迫ってきている状況。これは、外の世界にウイルスがたくさんいて人間の体に侵入しようとしている状況に近いです。


 見張り役の樹状細胞が、敵(ウイルス)がこちらの陣地内に侵入したことをいち早く見つけます。


 もちろん、我ら城主も敵の攻撃がくることは想定済みです。


 こちらの陣地の最前線には、怪しい侵入者を無差別に攻撃できる弓部隊を配置してあります。


 それがNK細胞を始めとした自然免疫です。


 弓部隊がいち早く、ウイルスなどの侵入者を攻撃します。


 うまくいけば敵はここで壊滅しますが、敵の数が多かったり強靭な場合、第一関門の自然免疫は突破されてしまいます。


 このままでは敵が我が城を乗っ取ってしまう。


 そこで、見張り役の樹状細胞は、味方の兵のたまり場であるリンパ節へと、敵の情報を持ち抱えて走るわけです。


 リンパ節では、味方の免疫細胞であるリンパ球が多数待機しています。感染細胞の特徴を覚えた樹状細胞は、リンパ節で待機しているリンパ球たちに「これが敵の一部だ」と情報提供を行います。


 リンパ球は、樹状細胞から教えてもらった敵の一部を記憶して、戦場へと向かいます。このとき、敵の一部を記憶したリンパ球は体の中で増殖します。味方の大群は、ウイルスが侵入した最前線の皮膚へと向かい、そこで一斉に攻撃を開始します。


 激しい戦いは、皮膚の炎症となって私たちが完治することになるのです。


 このように、樹状細胞が敵を覚えリンパ球に情報を伝え、そしてリンパ球が大群となって攻撃に向かう。


 これが一般的な免疫応答です。


がんの場合


 がんはもともと体の中にあった正常の細胞が悪性化したものです。周りの細胞を気にすることなく増殖をして、持ち場を離れて別の臓器に転移します。そしてそこでまた増殖を繰り返します。


 いずれ正常の細胞をがん細胞が覆い尽くし、肝臓なら肝臓の機能が維持できなくなってしまうわけです。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:14495文字/本文:17093文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次