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歴史探偵 昭和史をゆく
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第三話 つくられた栄光──国際連盟脱退

『歴史探偵 昭和史をゆく』
[著]半藤一利 [発行]PHP研究所


読了目安時間:13分
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1、新聞が大いにやったこと



 昭和史を学んでいて実に不思議でならないことはいくつもある。昭和六年九月の満洲事変から昭和八年三月の国際連盟脱退までの一年半の間に、ペンをそろえて、むしろ率先して陸軍に歩調を合わせていった日本の新聞のことは、その最たるものの一つにあげられる。津田塾大学の掛川トミ子氏の言葉を借りれば、「……その職分であるべき言論を放棄した日本の新聞は、脱退劇の主役を演じた松岡洋右を国民的英雄と讃え、一九三三年三月二七日に連盟脱退を宣告した詔勅が渙発されるや、『朝日』『日日』両紙ともに、連盟脱退を肯定し、脱退の是非については問題にしようとはしなかった」(『マス・メディアの統制と対米論調』)のである。


 それは、陸軍の謀略によって発火した満洲事変を「厳粛無比の事実」として、日本の新聞が正当化した瞬間にはじまった、といえる。


 たとえば満洲事変がはじまった直後の『朝日新聞』の社説は「事件はきわめて簡単明瞭である」といい、こう論じた。

暴戻なる支那側軍隊の一部が、満鉄線路のぶっ壊しをやったから、日本軍が敢然として起ち、自衛権を発動させたというまでである。……従ってその非とその責任が支那側にあることは、少しも疑う余地はないのである」(九月二十日付)


 以後、その論法を修正しないばかりか、マスコミは、既成事実を積み重ねながら、それをみずから補強していった。そして柳条湖事変が日本陸軍の謀略によるのではないかという疑問があったにもかかわらず、調査しようともせず、聖戦意識で声高に世論を引っぱった。


 ここにはそのことについてくわしく書くことはしないが、結果としての国際連盟脱退に関していえば、新聞はすでに前年の昭和七年(一九三二)十二月十九日付の共同宣言(全国百三十二社連名)で、自分で自分の口を封じていることを特に指摘しておきたい。

東洋平和の保全を自己の崇高なる使命と信じ、且つそこに最大の利害を有する日本が、国民を挙げて満洲国を支援するの決意をなしたことは、まこと理の当然といわねばならない。……国際連盟の諸国中には、今尚満洲の現実に関する研究を欠き、従って東洋平和の随一の方途を認識しないものがある。……苟くも満洲国の厳然たる存在を危うくするが如き解決案は、たとい如何なる事情、如何なる背景に於て提起さるるを問わず、断じて受諾すべきものに非ざることを、日本言論機関の名に於て茲に明確に声明するものである」

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