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歴史探偵 昭和史をゆく
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第十四話 九段坂の上の雲──二百六十万の死者

『歴史探偵 昭和史をゆく』
[著]半藤一利 [発行]PHP研究所


読了目安時間:10分
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1、名誉の戦死はありえない



 姓がややめずらしいためか、名刺を交換する初対面のほとんどの人に、

どちらのご出身ですか」


 と聞かれることに慣れっこになっている。そのたびにいささか胸をはって答える。

延暦二十年、坂上田村麻呂の東国征伐の折に従った武士に半藤宗正という人がありまして、帰途越後を通ったとき、田村麻呂がもっていた千手観音の木像を安置し、宗正ら数人をその地に留めて、これを守護せしめて去る、という記事が『新潟県中魚沼郡誌』(大正八年刊)にあります。つまり出身は越後、田村麻呂の家来の末裔らしいのですね」


 要らざる私事の誇大公開で恐縮なことである。つまりは、ありそうであまりない姓のおかげで、ある厖大な人名録のなかから拾いだすのにまことに便利であることをいいたかっただけであり、他意はない。その名簿というのは「靖国神社祭神十二万八千余柱の英霊」の姓名・出身地などを記した全五巻五千余ページの書物。わたくしはこの大冊を最近古本屋でみつけて購入した。


 書名は『靖国神社忠魂史』という。陸軍大臣官房・海軍大臣官房が監修、靖国神社が編纂したもので昭和八年九月から十年九月まで二年がかりで発行され、非売品となっている。A4判、革背、三方金箔の、一冊が平均千ページの豪華本、布製の表紙に桜の花びらが舞っている。編纂委員の代表は靖国神社宮司の賀茂百樹と知らない人だが、委員の陸海軍人のなかには知る名がみえる。沖縄戦で死んだ牛島満、ガダルカナル戦で話題となった川口清健、海軍では田結穣(第一南遣艦隊長官、中将)、小島秀雄(ドイツ大使館付武官、少将)、岩村清一(艦政本部長、少将)と太平洋戦史でおなじみの人たちが名をつらねる。


 秋の夜長には恰好の大冊で、さまざまな感想を抱きながら読みふけった。

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