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(2021/11/26 追記)

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腎臓病が進行したら、私は腹膜透析を勧めます
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くらし
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第1部 これだけ知っていればOK! 腎臓病と透析の基礎知識

『腎臓病が進行したら、私は腹膜透析を勧めます』
[著]古賀祥嗣 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:48分
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腎臓が悪くなるとどんな症状が出るのでしょうか。

どんな検査と結果で病気と診断されるのでしょうか。

そして、慢性腎臓病(CKD)の治療には、

どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、腎臓の働きや腎臓病の基礎知識、

治療法について解説します。


腎臓ってどんな臓器なの?



 腎臓病そして透析を正しく理解するために、まずは腎臓の働きについて、少しお話ししておきましょう。


 腎臓は、腰より少し上の背中側、背骨をはさんで左右に一つずつある一対の臓器で、大きさは大人の握りこぶしぐらい、重さは一つ150gほど、ソラマメに似た形をしています。脳や心臓、また消化管や肝臓などに比べると、普段はあまり目立たない地味な存在ですが、実はこの腎臓、想像以上に働き者なのです。


 では、どんな働きがあるのでしょうか。大きくは、次の5つを挙げることができます。



1 尿をつくる



 腎臓の最も重要な働きは、「尿をつくる」こと。つまり、血液中にたまった老廃物を()()し、尿として体の外へ排出することです。


 それぞれの腎臓には、大動脈から枝分かれした腎動脈を通じて体中の血液が流れ込み、徐々に細くなる動脈を通って、最も細い動脈に入り、「糸球体」という場所へ運ばれます。


 この糸球体は直径0・1~0・2㎜ほどの毛細血管の塊で、1個の腎臓に約100万個、両方で約200万個あるとされています。糸球体はふるいのような構造をしており、血液がここを通ると老廃物が濾過され、きれいになった血液が腎臓から出て行きます。


 糸球体で濾過された尿(原尿といいます)は、健康な成人では1日に約140~150Lにもなりますが、実際の尿の排泄量は1・5L程度、原尿の約1%です。では、あとの99%はどこへ行くのかというと、尿細管と呼ばれる場所で再吸収されます。


 原尿の中には、老廃物だけでなく、アミノ酸やブドウ糖などの栄養素や電解質など、排泄されてはいけない有用な物質も含まれています。尿細管は、原尿に含まれる物質の中から、こうした必要なものを選別して再吸収するのです。



2 体内環境を一定のバランスに保つ



 腎臓は、体調や気候によって、排出する水分量を調節します。


 また、体液には、ナトリウム、カリウム、リン、カルシウム、重炭酸イオンといった電解質が決まった割合で含まれていますが、この体内の環境を常に一定に保つように調整しています。


3 血圧をコントロールする



 体内の塩分が足りないと、腎臓はレニンという酵素を出し、血中のアンジオテンシンや副腎のアルドステロンというホルモンを活性化して血管を収縮させ、塩分の吸収を促進させます。


 反対に体内の塩分が多いと、レニンの分泌を抑制し、汗や尿として塩分を体外に排出させます。血圧は、この体内の水分・塩分調節システムによって調整されます。


4 赤血球をつくるホルモンを分泌する



 腎臓は、造血幹細胞に働いて赤血球の数を調整するエリスロポエチン(EPO)という造血ホルモンをつくります。そのため腎臓の機能が低下し、EPOの分泌が不足すると赤血球が減少し、貧血が起こります(腎性貧血)。


5 ビタミンDを活性化する



 ビタミンDは、体内で活性化ビタミンDに変化することによって、はじめて機能します。


 このビタミンDを活性化させるのも腎臓の役割の一つです。



 いかがですか。腎臓は私たちの生命活動において、きわめて重要な役割を果たしていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。


腎臓病かどうか、何を診て診断するの?



 腎臓の機能が低下してくると、こうした腎臓の働きに支障が起きてきます。


 それが腎臓病です。


 腎臓病の検査方法には、尿検査、血液検査、画像診断、腎生検があり、尿検査と血液検査を同時に行うことにより、もっと詳しい病態を知ることができます。


 そして、さらに詳細な診断を必要とする際には、画像診断と腎生検を行うことになります。


尿検査



 尿の中にタンパク質(尿タンパク)や血液(尿潜血)が漏れ出ていないかを検査します。蓄尿検査(24時間尿を溜めて検査する方法)では、1日の尿タンパクの量をはじめ、1日に摂ったタンパク質の量や、塩分、カリウム、リンなどの量も確認できます。


血液検査



 ・血中尿素窒素(BUN)


 血液中に含まれる窒素量を調べます。尿素窒素は、タンパク質が利用された後にできる老廃物で、普通は腎臓で濾過され尿の中に排泄されますが、腎臓の機能が低下すると濾過しきれずに血液中に溜まってしまい、血中尿素窒素値が高くなります。3040㎎/dL以上では腎不全の可能性が高くなります。


 ・血清クレアチニン(Cr)


 クレアチニンは筋肉に含まれるタンパク質の老廃物で、本来は尿素窒素と同様、腎臓で濾過され尿の中に排泄されますが、腎機能が低下すると血液中に溜まります。患者さんの状態によって違いますが、8・0㎎/dL以上になると透析導入が検討されます。


 ・クレアチニンクリアランス(CCr)


 糸球体で濾過される血液の量を調べる検査で、これによってクレアチニンがどのくらい腎臓で排泄されているかがわかります。


 ・推算糸球体濾過量(eGFR)


 腎臓にどのくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示します。


 前出のクレアチニンクリアランスは蓄尿が必要で、簡単にはできない検査ですが、eGFRは血清クレアチニン値、年齢、性別から推算するもので、腎臓の機能を表す値としてもっとも多く使用されています。15未満で透析導入の準備が必要になり、療法選択外来の受診を勧められます。


画像診断



 超音波検査やCT検査などで、腎臓の形や大きさに異常がないか、また合併症の有無を調べます。


腎生検



 正確な診断と適切な治療法を決定するため、腎臓の組織の一部を切り取り、顕微鏡で調べます。


 腎臓病には、腎臓に生じた炎症によって引き起こされる「腎炎(糸球体腎炎、尿細管間質腎炎など)」と、糖尿病などの全身の病気により糸球体に障害を起こすものがあり、腎臓それ自体に何らかの異常が生じて発症する「原発性(一次性)」と、腎臓以外の病気が原因となって起こる「続発性(二次性)」があります。また、病気の発生と進展の速さによって「急性」と「慢性」に分けられ、近年では「急性腎障害(AKI)」、「慢性腎臓病(CKD)」という言葉が広く用いられています。




腎臓病になるとどうなるの?


急性腎障害



 AKIは、以前は急性腎不全と呼ばれていたものです。


 数時間から数日の間に腎機能が急速に低下して、腎臓での老廃物の排泄不全が起こり、血液中に急激にタンパク質分解産物である尿素窒素(BUN)やクレアチニンが増加し、さらに体内の水分量や電解質(体液)を調節することができなくなった状態をいいます。


 尿量減少(減少しない場合も)、浮腫、食欲低下、全身倦怠感などの症状が認められ、原因には脱水や出血による腎臓への血流低下(腎前性)、腎臓の炎症や薬剤等による尿細管細胞の障害等による腎機能低下(腎性)、尿路系の閉塞によるもの(腎後性)があります。可逆性の疾患で、原疾患や合併症の状況によって異なりますが、適切な治療を行うことによって、回復する可能性があります。


慢性腎臓病



 一方、慢性腎臓病(CKD)は一つの病気を表す病名ではなく、腎臓の障害あるいは腎機能低下が慢性的に続く病気の総称です。血液検査や尿検査によって、腎機能の低下や尿タンパクなどが3か月以上にわたって確認されると、診断されます。


 具体的には、


 ①腎障害がある


 ・タンパク尿や血尿がある


 ・画像診断や血液検査、病理所見で、腎障害が明らかな状態


 ②腎機能が低下している


 ・血清クレアチニン(血液中の老廃物の一種)の値をもとに推算した糸球体濾過量(eGFR)が、「15mL/分/1・73㎡未満」


 以上①②のいずれか、または両方が3か月以上続いた状態がCKDです。



 CKDの危険因子は、


 ・高血圧(重要)


 ・糖尿病(極めて重要)


 ・脂質異常症


 ・肥満


 ・喫煙


 ・多量の飲酒


 ・運動不足


 ・ストレス


 などで、生活習慣がその発症に大きく関与しているといわれています。


 また、以前から、透析患者さんが心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患で死亡するリスクが高いことがわかっていましたが、近年、腎機能が少し低下しているだけでも、心血管疾患の大きな危険因子になることが明らかになってきました。これは、CKDの危険因子と心血管疾患の原因となる危険因子が共通しているからだと考えられます。



腎臓が働かなくなると起こる

尿毒症って何?



 慢性腎臓病(CKD)では、腎臓の機能を5段階のステージ(病期)に分けて、そのステージに応じた診療計画を立てていきます。


 腎臓の機能がどの程度低下しているかは、腎臓が1分当たりどのくらいの量の血液を濾過し、尿をつくれるかで推測することができます。

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