『中国人とは何者か 日本人は永遠に理解できない?』
[著]小笠原茂
[発行]PHP研究所
対外侵略をくりひろげてきた清帝国
最近の中国、つまり中華人民共和国はことあるごとに日本に対して「歴史認識」の誤りを指摘し、「歴史認識」を正せと言い募る。しかし「歴史認識」はそれぞれの国の歴史の見方であり、一方的に中国の言い分のみが正しいとは限らない。
たとえば東アジアの近現代史は、西欧日露の帝国主義によって清国、つまり中国の領土が蚕食されたことに始まる、というのが中国側の主張である。その典型的な例は「阿片戦争」で、中国はイギリスの帝国主義に破れ、香港を割譲した。この阿片戦争(一八四〇~四二)をもって近現代史の嚆矢とするというのが、中国側の「歴史認識」なのである。つまり被害者としての中国が最初に来るのである。
しかし、阿片戦争はもっと複眼的に見るべきではないか。また阿片戦争以前の清は、逆に隣国に対する侵略者であり、帝国主義そのものではなかったか。