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熱き心 寛斎の熱血語10カ条
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ルポ・エッセイ
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プロローグ 「熱き心」のルーツ

『熱き心 寛斎の熱血語10カ条』
[著]山本寛斎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:15分
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「自分だけの表現」を見つけた瞬間



 一九九三年六月、モスクワ「赤の広場」。


 赤の広場の象徴、聖ワシリー寺院を背景に、メラメラと(たい)(まつ)の炎が燃え上がった。津軽三味線の(おごそ)かな音色、魂を揺さぶる和太鼓の響き。そこへ勇壮な騎馬武者たちが次から次へと登場する。


 山本寛斎スーパーショー「ハロー! ロシア」はこうして始まった。


 光、音、映像、騎馬武者、女性だけの炎太鼓、そしてファッション……。それは、人間の五感のすべてに訴えかける、今まで誰も見たことのないショーだった。


 集まった市民は一二万人。“人間讃歌”をテーマとした燃え立つ情熱が、白夜のモスクワを熱狂させた。当時の大統領エリツィン氏も、広場の塔の上からこの様子を興奮気味に眺めていたという。




 翌日の現地の新聞は、「赤の広場」にこれほどの人が集まったのは、旧ソ連が第二次世界大戦でヒトラーのドイツに勝利した勝戦記念日以来だと大々的に伝えた。しかも、外国人にこの広場を使わせたのも初めてのことだという。それを成し遂げたのが、日本からやって来たひとりの男である、と。


 この瞬間、私は大きな夢を一つ実現した。


 映画でもあり、演劇でもあり、コンサートでもあり、ファッションショーでもある。そのすべてのジャンルを超えた「どデカい」ショー。国籍も、肌の色も、言語も、年齢も性別も関係ない。人間として感じ合えるものを共有したい。これまで誰もやったことのない、山本寛斎だからこそできる何か「スーパー」なことをしたかった。


 四十八歳。自分で言うのもおこがましいが、当時、私はすでに“ファッション・デザイナー山本寛斎”として世界に少しは名が知られていた。


 けれど、有名であろうが、肩書きがあろうが、自分の中では何かが違っていた。今いる場所になんともいえない居心地の悪さを感じていた。


 いい歳をして「私は何者か?」という問いに、答えを見いだせない状態だったのだ。


 ずっと大声で叫びたかった。「我、ここにあり!」と。思えば、その年齢まで、私は壮大な自分探しの旅を続けていたのだと思う。


 だが、やっと私は見いだしたのだ。私はファッション・デザイナーではあるが、そこにとどまらない“自分だけの表現”をしたい人間だったのだと。一二万人のモスクワっ子が熱狂する中、私は初めてこの世界に生まれてきたような感激を味わっていた。やっと「自分」になれた気がした。


 これが私の現在のライフワークともいえる、人間讃歌をテーマにした「スーパーショー」の始まりである。


ファッション・デザイナーになる夢



 私がずっと続けてきた自分探し。それは、「夢を追う」と同義語だった。

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