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「Parasite 究極の家族のカタチ」10体の生物とつながっていたアクイロニファーのおはなし

『化石ドラマチック』
[著]土屋健 [監修]芝原暁彦 [画]ツク之助 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:3分
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思わずぞっとする、その姿



 イギリスのヘレフォードシャーにある約4億2500万年前(古生代シルル紀)の地層から“ちょっとホラーな化石”が、発見されています。


 その化石は、からだの長さが1センチメートルほどの節足動物のもので、名前を「アクイロニファー(Aquilonifer)」といいます。


 からだのあちこちから細い糸のようなものがのび、その糸の先に1〜1・5ミリメートルほどの小さな節足動物がつながっていました。それも1個体だけではなく、合計10個体も。


 この小さな動物は、いったい何者でしょう?



 アクイロニファーは、たくさんの節で分かれた細長い胴体をもっていました。頭部の先端には数センチメートルもの長さの“触手”が2本のびていました。からだの下にはたくさんの足があり、そして尾部の先端から数センチメートルの長さの1本の細いトゲがのびています。


 アクイロニファーはなぜ、小さな節足動物とつながっていたのでしょうか?


 まず、考えられるのは、このアクイロニファーが「寄生」されていた可能性です。小さな節足動物は糸を通じてアクイロニファーの栄養を抜き出していたのではないか、というわけです。


 想像してみてください。自分のからだの10分の1ほどの動物からのびる細い糸が自分の肌に突き刺さり、そこから栄養が抜き取られているという状況を。しかも、相手は1体ではなく、10体もいるのです。ちょっとぞっとする光景ではないでしょうか?



寄生? いいえ、子連れ散歩です



 2016年にアクイロニファーの化石を報告した、イェール大学(アメリカ)のデレック・E・G・ブリッグスさんたちは、この“寄生説”を否定しています。


 アクイロニファーには、2本の長い“触手”があります。この触手を使えば、細い糸を簡単に切ることができたはず。それをしていないということは、一方的に寄生されるだけの関係ではなかったのではないか、と考えました。


 先ほど「想像してみてください」と書きました。確かに、そんな状況であれば、多くの人が一も二もなく、その糸を切断することでしょう。


 では、この糸と、その先にいる小さな節足動物は何なのか?


 ブリッグスさんたちは、小さな節足動物がアクイロニファー自身の幼体(子ども)である可能性に触れています。


 つまり、親と子が小さな糸でつながることで、親は子の位置がはっきりとわかり、守ることができる。この化石は、そんな育児のようすが保存されたものではないか、というわけです。


 こうした細い糸が残っている化石は極めて(まれ)です。


 細い糸は多くの場合でやわらかく、化石になりにくく、そして仮に硬くつくられていたとしても、壊れやすいからです。


 アクイロニファーの糸が化石として残っていたのは、化石がみつかったヘレフォードシャーの特殊な環境が関係しています。


 ヘレフォードシャーには火山灰の地層がたまっており、その地層の中にある岩の塊から、さまざまな化石が発見されています。


 アクイロニファーの化石もそうした岩の中にありました。


 実は、この岩の塊の中からは、アクイロニファー本体はみつかっていません。しかし、型をとるように、そのからだの痕跡がしっかりと残っていました。


 この痕跡をコンピューターで解析することで、アクイロニファーとそのまわりにいた小さな節足動物、そして、その両者をつなぐ小さな糸までも復元することができたのです。


 約4億2500万年前、ヘレフォードシャーで“子連れ散歩”をしていたアクイロニファーは、突如として積もった大量の火山灰に埋もれました。




 その結果、細い糸の痕跡までも残されることになったのでした。



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