『楽しくなければ成果は出ない』
[著]田中マイミ
[発行]すばる舎
◆マインドセットを変える3つの視点
この章では、自分の働き方を「仕事が楽しいモード」に変える方法をご紹介していきます。
このマインドセットに変えるための大事な視点があります。それは次の3つです。
・仕事そのものを楽しめているか
・仕事を楽しむための工夫をしているか
・周りの人やお客様を驚かそう、楽しませよう、喜ばせようと考えているか
一番いいのは、「仕事そのものが大好き」であること。
「楽しくてしょうがないこと」を仕事にできている人は、当然その仕事のことを考えている時間、労力がほかの人とはまったく違うものになります。本気で取り組み、誰よりも頭を使うことができます。結果として、他人とは比べ物にならないくらいの成果につながります。
もちろん、好きなことを仕事にできていない人もたくさんいるでしょう。
そういう人がやるべきは、「仕事の面白さを見つけようとすること」です。
やりがいを感じない仕事を、何も考えずただただ続けたり、つまらないと思いながら仕事をしたりしても、ほとんどが成果も出ず、働いている本人はもちろん、雇っている側としても、どちらにとっても何も良いことはありません。
それどころか、やっている本人は、成果も出ず、周りに迷惑をかけたり、怒られたりしているうちに自信を失ってしまう可能性もあるでしょう。
そうなる前にやるべきことが、「楽しさを見つけるマインドセット」です。
仕事が楽しいと感じている人は、何も自分の趣味や興味を仕事にしているわけではありません。今の仕事をする中に小さな喜びや面白さ、楽しさを見つけて、それを膨らませていった人なのです。
◆どんな仕事でも、人を楽しくさせることを考える
そして、仕事をする中で、「周りの人やお客様を楽しませよう、驚かせよう、喜ばせようとしているか」も大事です。
私はこの考え方を「エンターテイメント精神」や「アミューズメント精神」と呼んでいます。
私が働いていたドン・キホーテはこの精神に満ちあふれていました。
たった1店舗から数年で数百店舗に成長した理由は、徹底的にこのマインドセットで商売をしてきたからだと思っています。
映画や音楽などあらゆるエンターテイメントが人を魅了するのは、それを通じて驚きや楽しさ、喜びが与えられるからです。
「でも自分の仕事はそういったものを提供できない……」と思う人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
ビジネスで圧倒的な成果を出している人、会社員として成長する人は、周りの人やお客様に対して、驚いてもらおう、喜んでもらおうという意識が必ずあります。そして何より、そのための努力を本人が楽しんでいるのです。
これも私が1万人のマネジメントをしてきて気づいたことです。
◆「仕事が楽しい」と、「職場環境が楽しい」はまったく違う
こういう話をすると「私、今の仕事がすごく楽しいんです」という人がいますが、詳しく話を聞いてみると、実際は「職場の人間関係が良好だから、楽しい」という人が少なくありません。
もちろん、仕事をする上で、職場の人間関係が楽しいというのは非常に大事です。
自分ひとりで完結する仕事なんて基本的にありません。必ず人と人との関係性が生まれます。上司や同僚の場合、実際に顔を突き合わせて過ごすことも多いし、お互い協力したり、助けたり、助けてもらったりするものですから、人間関係が悪い状態だと、パフォーマンスが上がるどころか、その職場に行くことさえ嫌になるでしょう。それでは成果を出すどころではありません。
人間関係が良好で職場が楽しいというのも非常に大事ですが、ここで言っている「仕事が楽しい」は、本当に仕事をこなしていくことそのものを楽しめているかです。それを見極めたほうがいいでしょう。
なぜなら、人間関係が変わってしまえば、その仕事が楽しいものではなくなってしまう可能性があるからです。
同僚や後輩、上司とのコミュニケーションが楽しいというのも悪いことではありませんが、自分がやっている仕事が楽しいという状態にもなっていると最強です。
仕事そのものと職場の両方が楽しい状態であれば、仕事は遊びに変わります。
改めて見直してもらいたいのは、自分が今やっている仕事が本当に好きかどうか、楽しめているかどうかです。
仮に好きではなくても、自分が貢献できる仕事、自分ならうまくこなせる仕事というのも、楽しいものです。それでいいのです。
すべての人が「自分の好きなことだけで生きていく」なんてできるわけではありません。
でも、「自分ができることはこれなんだ」と決めた以上、それをやっていて楽しい、評価される、うまくできる、は「仕事が楽しい」を感じる大事な要素なのです。