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それはデートでもトキメキでもセックスでもない 「ないこと」にされてきた「顔見知りによる強姦」の実態
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ルポ・エッセイ
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4.女性が「たやすい」ターゲットである理由

『それはデートでもトキメキでもセックスでもない 「ないこと」にされてきた「顔見知りによる強姦」の実態』
[著]ロビン・ワーショウ [訳]山本真麻 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:31分
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「レイプみたいと感じたものの、レイプと認識してはいませんでした」

大学1年生のときにレイプされたキャロル



 全国の社会科学者による山のような研究論文が、性的暴行が女性にとってはよくあることという事実を証明している。どのくらいよくあるのだろうか。


〈『Ms.』誌の調査結果〉

回答した女子大学生3187人のうち

15・3%がレイプされたことがある

11・8%がレイプ未遂の被害を経験している

11・2%が性行為を強要されたことがある

14・5%が自分の意思に反して性的な接触を受けたことがある


『Ms.』誌の調査への参加者は全国各地域と文化にまたがり、キャンパスから無作為に抽出された授業に出席していた学生(あとがき参照)だ。アンケート調査は臨床心理士により実施された。回答した女性のうち、性被害に一度も遭ったことがないのはわずか45・6%だった。


 ここで重要なことを記しておきたい。『Ms.』誌の調査の目的は顔見知りによるレイプの頻度の測定だったが、全71ページにわたるアンケート中で暴行や被害について触れる際に、「レイプ」という単語は一度も使わなかった。理由は単純で、顔見知りによるレイプを経験した女性の多くと男性のほとんどが、その事件をレイプと呼ばないからだ。「これまでにレイプされたことがありますか?」や「誰かをレイプしたことがありますか?」という質問では、「はい」という回答数を大幅に、それも不正に減らしてしまうだろう。代わりに、法による最も一般的な定義に当てはまる行為を具体的な言葉で表現し、得られた回答を分類した。


 被害者となった女性はどんな人物だろうか。全体として、性格や家庭環境などの特性を見ても被害者とならなかった女性と何ら変わりない。しかしレイプ被害者は、家庭で身体的な暴力を受けていたり、一定期間母親と離れて暮らしていたり、家出をしたことがあったりする傾向はやや強かった。レイプされたことのある女性のうち41%が被害当時に処女だった。


 レイプはどのようにして起きるのだろう。ほぼすべて(95%)の事件で、加害者は1人のみだった。被害者のほとんど(84%)は加害者男性と知り合いで、事件の半数以上はデート中に起きていた。腰以上の部分のペッティングまでの性的な行為は過去に同意のうえで行ったことがあるというケースが多かった。とはいえ、レイプ被害に遭った女性のほとんどが、相手男性に「かなり明確に」性交を望まない意思を伝えたと答えた。


 レイプのほとんどはキャンパスの外で発生し、どちらかの家や車の中で起きる傾向が強かった。女性の回答によると、加害者の73%がドラッグまたは酒類を摂取しており、被害者の55%が同様の摂取により酔った状態だった。男性が主に行使した暴力は中程度と評価され、被害者の腕をねじったり、被害者を押さえつけたりするものが多かった。加害者に叩かれたという回答は被害者女性の9%、凶器で脅されたという回答は5%にとどまった。被害者のほとんど(84%)が男性を説得しようと試み、多く(70%)が何らかの身体的な抵抗をした。


 それでもこの女性たちはレイプされた。それも全国統計によるレイプの平均発生率、居住者10万人あたり37・5件という数値をはるかに上回る頻度だ。ただしこの全国統計には、『Ms.』誌の調査があぶり出したレイプ事件のほんの一部しか含まれていない。被害を正式に届け出る女性はほんの一握りであるためだ。


〈『Ms.』誌の調査結果〉

・レイプ被害者の42%が暴行について誰にも話さなかった。

・わずか5%が警察に届け出を出した。

・わずか5%がレイプ相談センターに助けを求めた。


『Ms.』誌の調査により、次の3つの特徴が、女性が我が身に降りかかった出来事をレイプと認識しない、または公的機関に届け出ない理由となっていることがわかった。


・デート相手との間でレイプが起きた場合

・被害者と加害者との間で過去に同意のうえでの性的な行為があった場合

・暴力の程度がかなり低い場合



 本書執筆のために実施したさまざまな年代や境遇の女性へのインタビューから、出来事をレイプと呼ばなかったり、暴行について沈黙を保ったりする別の理由も明らかとなった。知り合いの男性をトラブルに巻き込みたくなかったというものや、レイプの周辺事実(男性と2人でバーを抜け出したこと、ドラッグを使用したことなど)を恥ずかしいと感じており、出来事について自分が責められると思っているか、単に相手の男性の社会的地位が非常に高いため自分の話を信じてもらえないと思っていることも挙げられた。


 顔見知りによるレイプが隠された巨大な事件でありつづけるのも無理はない。


「たやすい」ターゲットとなる理由とは?



 デート相手や顔見知りの男性からレイプされた女性を、社会学者や心理学者がしばしば「たやすい」被害者と呼ぶ。レイプ犯にとって「たやすい」という意味だ。そのような女性は、レイプを届け出たり本気で抵抗したりしなさそうに見える点で、理想的なターゲット候補となる。


 数多くの研究者が、レイプ被害者となる女性とならない女性がいる理由を理論化しようとしてきた。『Ms.』誌の調査を実施したメアリー・コスは、顔見知りによるレイプに結びつく予測要素が女性にあるかを探求した。被害者から収集した情報を次の3つのブロックに分けた。①家庭内暴力などの経験、子ども時代の性体験、初めての性交時の年齢。②レイプを擁護する思い込みなどのような社会心理学的な特性。③アルコールやドラッグなどその他の不確定要素。


 この3つを、広く信じられているレイプ被害の通説と比較すると、次の考察が導き出された。


・通説#1─被害促進─男性関係の「悪い」評判があったり、女性の受動性など性別でステレオタイプ化された振る舞いをしたりなど、個人が持つ特性から、レイプ被害への遭いやすさを推し量れるとする主張。

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