『それはデートでもトキメキでもセックスでもない 「ないこと」にされてきた「顔見知りによる強姦」の実態』
[著]ロビン・ワーショウ
[訳]山本真麻
[発行]イースト・プレス
「両親には話せませんでした。(中略)警察にも話しませんでした。(中略)
知り合いを一人刑務所送りにしたとなると、友人からも縁を切られると思いました」
友人にレイプされた高校生、メリッサ
大学こそが顔見知りによるレイプがはびこる環境と思われがちだが、高校や中学に通う少女も顔見知りの少年によるレイプ被害に遭っている。精神的に不安定な、大人と子どもの中間地点に立っているティーンエイジャーは、性的暴行を回避する備えを持っていない。
メリッサが高校2年生になったばかりの9月初旬、付き合っていたデイヴィッドから、他の女の子とデートしたいと告げられた。16歳だったメリッサは思いとどまるよう懇願した。ティーンエイジャーの初恋ならではの熱烈さで、メリッサは彼のことが好きだった。1年以上付き合い、性的な関係も持っていた。
土曜日の夜に他の女の子とデートする予定だとデイヴィッドから聞かされた後、メリッサにデイヴィッドの親友ブライアンから電話がかかった。
ブライアンは、私を裏切ったデイヴィッドに「仕返し」をしたいかと尋ねました。そしてデイヴィッドと相手の女の子、ブライアン、私でダブルデートをしようと提案しました。うまくいくと保証する、デイヴィッドが私をこんな目に遭わせるところを見たくない、そうブライアンは言いました。私は賛成しました。
4人で映画を観た後、車で地元のビーチへ向かった。デイヴィッドと新しいデート相手は海辺を散歩しに行った。ブライアンはメリッサに、岩に座って2人の帰りを待つことを提案した。
私たちは大きな丸い岩に座り、とりとめのない話をしました。数分後、ブライアンが立ち上がって私の方を向き、ズボンのバックルを外しはじめました。何してるの、と私が言うと、ブライアンは「デイヴィッドに本当に仕返ししてやろうよ」と言いました。
私は「それは嫌」と言いましたが、ブライアンが本気だとは思っていませんでした。ブライアンはズボンを脱ぐのをやめず、私のベルトに手を伸ばしたところで、やっと私は彼が本気だと知りました。
やめてと言って離れようとしました。ブライアンが私の腕をつかんで背後で固定したので、私は岩の方を向いて身体を前に折り曲げるような状態になりました。ブライアンは片手で私の手を押さえ、もう片方の手で私のズボンを脱がせました。私は助けを求めてデイヴィッドの名前を叫びながら、ブライアンにやめるよう懇願しました。
ブライアンはやめなかった。そしてすぐに射精した。メリッサはズボンを上げて車に戻った。デイヴィッドとデート相手が戻り、4人は車で帰路についた。メリッサは何も話さなかった。
次の日、デイヴィッドがメリッサの家を訪ねた。
デイヴィッドは、ブライアンが私と「ヤった」と自慢していたと言いました。そしてどうして私が「ヤらせた」のかを知りたがりました。私はブライアンに許可などしていないこと、助けてほしくてデイヴィッドを大声で呼んだこと、ブライアンが岩にどのように私を押さえつけたかを話しました。
デイヴィッドは叫び声は聞こえなかったと言いました。それから、私が別の人ともセックスをしたのだから、もう前のような関係ではいられないと言いました。
両親には話せませんでした。デイヴィッドとセックスをしていたことがバレてしまいますし、両親はレイプされたことよりも私が処女ではないことの方を問題と捉えると思ったからです。同じ理由から警察にも話しませんでした。私が知り合いを一人刑務所送りにしたとなると、友人からも縁を切られると思いました。私自身が起きたことを信じられないのに、他の誰が私の話を信じるでしょう。
隠されたレイプ:ティーンエイジャーの現実
ティーンエイジャーの間で起きる顔見知りによるレイプは、時折メディアで話題に上る。