読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1298436
0
それはデートでもトキメキでもセックスでもない 「ないこと」にされてきた「顔見知りによる強姦」の実態
2
0
0
0
0
0
0
ルポ・エッセイ
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
あとがき

『それはデートでもトキメキでもセックスでもない 「ないこと」にされてきた「顔見知りによる強姦」の実態』
[著]ロビン・ワーショウ [訳]山本真麻 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:34分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ

キャンパスにおける性的暴行を調査した『Ms.』誌プロジェクトの研究手法

メアリー・P・コス博士



 本書で言及した研究は、アメリカ国立精神衛生研究所のCenter for Antisocial and Violent Behavior(反社会的行為・暴力行為センター)から資金提供を受けた、『Ms.』誌の性的暴行に関するキャンパスプロジェクトとして知られるものである。学術調査として計画、実施され、1985年にデータ収集を完了した。


この研究に取り組んだ理由



 1976年に研究者の道を歩み出したとき、私は「隠されたレイプ」を研究対象に選んだ。当時は「デートレイプ」という言葉は存在しなかったうえ、レイプやレイプまがいの行為が「普通の」人々の間で起こることを示す説得力のある証拠もなかった。しかしながら多くの司法当局は、隠されたレイプ、とりわけ親密な相手からのレイプが、主要な犯罪のなかでも最も過少に報告されていると確信していた。親しい相手からのレイプ、被害者が犯罪に遭ったと認識していないレイプ、些細な行為だろうが心に大きな傷を残す性的暴行は、公式な犯罪統計には適切に反映されなかった。私が研究対象に大学生を選んだ理由は、「そこにいたから」だ。結果的には大学生を選んだことはある意味幸運だった。大学生は最もレイプ被害のリスクが高い年代と偶然一致したからだ。


 1978年、私はオハイオ州のケント州立大学の学生4000人を対象に性的加害と性被害に関する学術調査を行うために、連邦政府からの最初の補助金を得た。このプロジェクトは1982年に完成し(Koss and Oros, 1982; Koss, 1985参照)、『Ms.』誌の大学生のデートレイプに関する記事で紹介された。全国誌の記事でこの問題を取り扱うのは初めてだった。デートレイプは存在し、深刻な問題であると『Ms.』誌は確信していたのだ。しかしオハイオ州以外の州でも同様のデータが得られることを確認するためには、全国的な調査が必要だった。『Ms.』誌の編集部がこのテーマに興味を抱き、大学キャンパスとの付き合いがあることと変革を望む姿勢から、共同研究を提案してくれた。1983年の丸一年近くを費やして、私たちはニューヨーク市の『Ms.』誌オフィスで全国調査の計画を立てた。この計画とアンケート回答校の精査を目的に、アメリカ国立精神衛生研究所の専門家チームが現場視察を行った。専門家チームが重視したのは、アンケートを科学的な方法で行い、政治的または感情的なものにしないこと。そして、回答者は『Ms.』誌と繋がりのある学校(リベラルな学校や優秀な東海岸の学校が多かった)の生徒に限らずに、各地の全生徒から無作為標本をとることだった。


 この2点を確実に達成するため、私たちは分業体制をとった。オハイオ州コロンバスの民間企業Clark/Jones, Inc.と契約し、多様性を有する高等教育環境と在籍者から公正に標本を選べるよう、大学選定の計画を練ってもらった。『Ms.』誌の人事部が、大学との連絡、データ収集の許可を得るための説得、データ収集担当のためのキャンパス内での打ち合わせ手配など、管理業務をすべて引き受けてくれた。私はアンケートの設問内容、情報収集の際の手順、結果の解析と解釈などの学術的判断を担当した。この計画に基づき、全国調査実施のために資金26万7500ドル(訳注:当時のレートで約6350万円)を受理した。大金のように思えるが、完成までに3年を要し、技術訓練を受けた職員22名でアメリカ全土を対象に32の地域、6159人の参加者から71ページ分のデータを得た研究と考えれば、格安である。


アプローチ方法



 キャンパス内の性的暴行を調査する『Ms.』誌プロジェクトの目的は次のとおりとした。(1)レイプとレイプに至る前段階までの性的加害と性被害が、現代の大学生の間でどの程度発生しているかを理解する。(2)実際に発生した事件の詳細情報を収集する。(3)性的加害行為を犯す男性像を描き出す。(4)被害に遭った女性について調査する。(5)性被害を原因として精神上の問題が発生している場合、それを測定する。本プロジェクトの結果をまとめた論文5編を専門誌にて発表し、今も研究を継続している。


初期の決定項目



 本プロジェクトでは、女性を被害者、男性を加害者として扱った。これには複数の理由がある。FBIは「レイプとは女性への性行為」と定めており、レイプ罪の被害者を女性に限定している。届け出が出されたレイプ事件のほぼ100%において、被害者は女性だ。州法に用いられるレイプの定義の多くは、性別を限定しない。たとえばオハイオ州の定義は「レイプとは攻撃者による被害者への挿入行為」(オハイオ州改訂法、1980年)と始まる。ただ、この中立的な表現は、あくまで男性による別の男性への肛門への挿入行為もレイプ事件として起訴可能とするために導入されたものだ。この中立的な定義に従えば、女性が男性をレイプすることも可能ではあるが、これは女性が集団で男性を強引に押さえつけ、にんじんなどで肛門に挿入行為をするなどという状況となる。レイプと言われてこれを思いつく人はそういないだろう。それよりは、女性が男性に「私とセックスしないと、あなたが性的不能だと言いふらす」と脅す行為の方が、まだレイプと捉えられやすいかもしれない。加害者の性別に関係なく、倫理に叶っているとは言えない行為だ。しかしこれだけではまだレイプとみなされないのは、力や身体的危害を匂わせた脅迫を伴っておらず、攻撃者による被害者への挿入行為を含まないからだ。それを含むとなると、被害者が攻撃者に挿入行為をすることになってしまう。


 別の決定項目として、アンケートの調査対象とする学生の選定があった。全国の高等教育機関の学生を母集団として、科学的に無作為の標本を多様性に富む形で得るのが理想だった。男性、女性、専門学校、コミュニティカレッジ、アイビーリーグの大学、州立大学などだ。つまり、アメリカの中等後教育機関すべてを調査候補に入れ、学生一人ひとりにアンケート調査を行うことになる。性に関する調査研究にメールで回答してくれる人はおそらく少ない。教室に出向いて直接調査を実施する方が、高い回答提出率を得られるだろう。回答中に取り乱す学生がいたときに対応する専門スタッフを用意することもできる。そして最後に、大学教員が私たちをひいきしたり(または無視したり)、調査結果を偏らせたりするのを防ぐために、サンプル抽出は各教育機関のさまざまな学科から行う必要があった。このような条件から、段階的に調査対象を絞ることとした。初めの段階が大学の選定、次がその大学内の授業の選定となった。


大学の選定方法



 アメリカ合衆国教育省(公民権局)は全国3269校の高等教育機関の在籍者特性のデータを保持している。1980年(当時の最新)のデータを、オハイオ州コロンバスのコンサルタント会社Clark/Jones, Inc.宛てに磁気テープの形で提供してもらった。これを使用して、大学を次の6通りの観点からグループ分けした。


①SMSA(標準大都市統計地域)の内か外か。大学の所在地により、人口100万人以上の都市および周辺地域、人口100万人未満の都市および周辺地域、農村地域の3つに分類した。

②少数派の学生の割合が全国の割合よりも高いか、低いか。

③管理機関は宗教機関ではない民間機関か、民間宗教機関か、または公共機関か。

④総合大学か、その他の4年制大学か、または2年制の教育機関か。

⑤アメリカ合衆国教育省が区分けした10地区のどこに所在するか。

⑥在籍者総数。生徒の人数は1000〜2499名か、2500〜9999名か、または1万名以上か。



 この基準に沿って、全国の学校を地区別の小グループに分類した。つまり1つの小グループには、所在地、少数派比率、管理機関、教育レベル、規模が似通った教育機関のみが含まれる。研究への協力を依頼する学校を、この小グループごとに「無作為に」選出した。小グループひとつひとつを、抽選番号の書かれた紙が入った壺だと考えてほしい。「無作為に」選出するとは、目隠しをして壺ひとつひとつから紙を取り出すようなものだ。各小グループから選出する学校数は、全国の在籍者総数のうち同じ種類の学校に所属する生徒数の割合を基に決める。選出された学校が協力を断った場合は、同じ小グループから再選定する。このような科学的な選抜手法と直接交渉を組み合わせ、代役は同種のグループ内からのみとするルールの範囲内で、最終的な参加校を決定した。


 ただし、合理性と費用の制約の理由から、標本抽出ルールにいくつかの例外を設けた。まず、軍の士官学校は除いた。回答内容によっては、生徒を軍の規則と対立する状況に陥らせるかもしれないと懸念したためだ。また過去の経験からして、性的な内容と受け取られる研究の許可を軍職員から得るのは、非常に難しいか不可能であると判断した。2つ目に、在籍者数が1000人未満の学校は除外した。国内におよそ1000校存在するが、ほんの少量のアンケート回収のために現地へ足を運ぶほど経費に余裕はなかった。3つ目に、アラスカ州、ハワイ州、プエルトリコに位置する学校も予算の問題で除外した。最後に、大学院生は本プロジェクトで中心となる調査対象ではないため、大学院も除外した。


完成までに3年を要した理由



 選定した学校から調査実施の許可を得るために、『Ms.』誌のスタッフはその学校の管理部門の責任者、たいていの場合は学生課の主事を見つけ出すところから始めた。はじめに電話で連絡をとり、その後にメールで詳しい情報を送った。たいていの責任者は、個人の責任で調査への参加を決めたくないようだった。必ずと言っていいほど、本プロジェクトへの参加依頼は学校委員会の会議にかけられた。いい返事をもらうために、主要な宗教組織の教育長や、性暴力の分野で取り組みを行っている女性聖職者からの支援の書状を送った。さらに『Ms.』誌のスタッフがキャンパスを訪問し、可能なときには同誌の顧問委員会のメンバーもじきじきに出向いた。キャンパスで女性学のプログラムがある際には、責任者が支援を行った。そして学校の管理部門から許可をもらってやっと、署名入りの「入校許可証」用紙を受け取ることができた。


 その次に各学校の被験者検討委員会宛てに資料を送付した。被験者を必要とする学術研究は、被験者が自由意志で参加するかどうか、不要な苦痛や害から被験者を守るために考えられる予防措置をすべて講じたかなどを徹底的に審査してやっと開始できるのだ。ほぼすべての学校が本プロジェクトを議論の対象と見なし、徹底的な審議の必要性を感じていた。委員会内の反対意見をすべて納得させるまでに、複数回会議を重ねた学校が多かった。いくつかの学校にはきっぱりと断られた。過去に大学生を研究対象としたときの資料をどれほど提示してもその意思は固く、アンケートに回答する学生が精神的に傷つくのではないかという思いこみが理由だった。このような問題に加え、大学のカレンダーを見るとわかる休暇の多さにより、いくつかの機関からは最終的な返事を得るまでにおよそ1年半を要した。


 依頼した合計93校のうち、32校が参加を承諾してくれた。そのうち19校が最初に選定した学校で、残り13校は二次候補60校の中から何とか承諾を得られた。匿名性を保証するため、参加教育機関の名称を挙げることはできない。ただ地域ごとの参加校の数は次のとおりだった。ニューイングランド2校、中東部5校、五大湖周辺7校、平野部3校、南東部4校、ロッキー山地1校、西部3校。結果的には管理部門が「寛容な」学校のみが標本となったという偏りがあるのではないかと指摘されるかもしれないが、心配には及ばなかった。国内で最も寛容だと称されるいくつかの学校が調査参加を断った一方で、疑いなく保守的だと思われていながら協力してくれた学校もあった。参加を断った61校の管理部門が述べた不参加の理由は、次のとおりだった(括弧内はその理由が使われた回数)。宗教的な理由(11)、匿名性への懸念(3)、結果をセンセーショナルに扱われることへの懸念(3)、参加した生徒が傷つくことへの懸念(10)、調査テーマに興味なし(13)、授業内での研究を許可していない(6)、独自に別の調査を行っている(3)、理由不明(13)。最終決定された標本校は、国内の中等後教育機関のサンプルとして可能なかぎり科学的に抽出された、時間と予算の制限に適い、調査に必要な条件を揃える学校だと言える。


授業の選定



 各参加校から時間割の提供を受けた。調査対象として訪問する授業を無作為に選出し、スケジュールを調整できなかった場合や拒否された場合に備えて代替案も用意した。授業の選定における制限は、30人未満の授業と大講堂での授業を除外するという点のみとした。これは調査員がキャンパスで時間を有効に使うため、そしてひとりで対応しきれない状況を避けるためである。実際には、中規模の学校では1校あたり7授業、主要な大学では12授業を訪問した。対象授業の教員に電話で連絡を取り、前もってアンケート調査の情報をメールで渡した。また、指定の日時の授業内で調査を行う許可を求め、生徒には本プロジェクトについて何も説明しないこと、調査実施時には教室から退室することを依頼した。理由は、こちらから派遣するデータ収集員から全参加者に同じ説明をするため、そして、教員が教室内にいると必ず調査に参加しなければならないと生徒が感じかねないためだ。


アンケートの配布方法



 本プロジェクトのメンバーである臨床心理士7人(男性2人、女性5人)のうち1人が、会場に定めた教室にてアンケートを実施した。この7人は、1984年11月から1985年3月にかけてアンケート実施のために全国を回った。データ回収担当者は必ず事前に訓練を受け、発生しうる問題や回答中に取り乱す生徒への対応について学んだ。アンケートを生徒に配布する際には、指示があるまで中身を見ないよう指示をした。また、用意された台本を暗記して、全参加者に同様の指示を出せるようにした。


 アンケートの最初のページには、参加者が必ず自由意志で参加し、回答することのリスクとメリットを確実に理解するために必要な情報がすべて記載された。たとえば、無理に回答する必要はないこと、設問を飛ばしても構わないこと、露骨な表現があり一部の回答者に不快感を与えかねないこと、設問のテーマは強要されたものも含む個人的な性体験であることについて、全参加者が一読した(もしくはデータ回収担当者が口頭で伝えた)。匿名性を確保するため、アンケートへの記名は不要とした。収集した回答には学校を特定可能なコードを記入せずに、グループごとの箱に保管した。


 アンケートへの参加を希望しない生徒は、自分の席に着いたまま別の作業をしているよう指示された。回答したくない生徒が立ち上がって教室を去る際にきまりの悪い思いをするかもしれないと考え、この対策がとられた。実際には、選出された授業をとるほぼ全生徒がアンケートへの参加を希望した。拒否した者は91人(1・5%)であり、参加率98・5%を実現できた。


 生徒全員が回答記入を終えたところで、データ回収担当者が調査の目的を説明し、質問を受け付けた。また、実験チームに個人的な相談がある場合の連絡先と、参加者からの質問に答えて支援を行うことを承諾してくれた地方機関の電話番号が書かれた紙を、生徒に配布した。各キャンパスの大学相談センターにはプロジェクトについて通知のうえ、必要であれば性的暴行の専門家の一覧を送付したり、授業に観察員を送ったりできることを伝えた。参加者に問題が起きたケースは非常に少なく、個人的な質問をしに訪れた生徒もほんのわずかだった。


参加した生徒


『Ms.』誌の性的暴行に関するキャンパスプロジェクトは6159件の回答を得ることができ、そのうち3187件が女性、2972件が男性からだった。女性の参加者の特性は次のとおりだった。平均年齢21・4歳。85%が独身、11%が既婚、4%が離婚済み。白人86%、黒人7%、ヒスパニック系3%、アジア系3%、ネイティブ・アメリカン1%。カトリック教徒39%、プロテスタント教徒38%、ユダヤ教徒4%、該当する選択肢なし/信仰なし20%。また、男性の参加者の特性は次のとおりだった。平均年齢21・0歳。87%が独身、9%が既婚、1%が離婚済み。白人86%、黒人6%、ヒスパニック系3%、アジア系4%、ネイティブ・アメリカン1%。カトリック教徒40%、プロテスタント教徒34%、ユダヤ教徒5%、該当する選択肢なし/信仰なし22%。なお、男女全体での代表的な世帯収入は2万5000〜3万5000ドル(当時のレートで約600万〜830万円)だった。


 これをアメリカの全学生の典型と言えるだろうか。教育機関の所在地、所属地区、生徒の民族性、生徒の家庭の世帯収入の4つの特性に着目した。標本抽出計画が基づいている仮定と、一部の学校の参加辞退により、標本は完全な典型とは言えない。しかしながら、制約の範囲内で、実際の高等教育の在籍者特性に近いものにできたと言える(Koss, Gidycz & Wisniewski, 1987参照)。アメリカ全体の在籍者データを見てもそうであるように、参加者の大多数が1824歳の中流階級家庭の白人となった。


 教育機関の所属地区は、アメリカ全体の統計との大きな不一致が認められる唯一の変数だった。標本を見ると、北東部と南西部の参加者の割合が不釣り合いに多く、西部の参加者が不釣り合いに少ない。これは、地域によっては参加協力を得ることがあまりにも困難だったためである。たとえば西部では12の教育機関に依頼をして、『Ms.』誌のスタッフによる直接訪問、カリフォルニア州立大学組織のアファーマティブ・アクション責任者による働きかけ、聖職者の著名メンバーから複数の私立学校への電話、主任調査官から対象となる学校の女性学の教員への電話、カリフォルニア州の主要2大学での特別再審議などの働きかけを行った。この尽力もむなしく、データ収集に承諾したのはわずか3校だった。プロジェクト全体の成功を脅かさぬよう、西海岸の学校の完全な典型を得られないままデータ収集を続ける決断を下した。一部地域の不釣り合いは多くの理由からそれほど重大ではなく、西部の標本が十分な量でなかったとしても、参加者個々の標本は民族性と世帯収入の点で全国の在籍者に対する典型として有効である。重み係数が生じたものの、重み付けしたデータと重み付けなしのデータを比較しても、その重み付けの効果は少ないことを確認した(Koss, Gidycz & Wisniewski, 1987参照)。


参加者はアンケートで真実を語ったか



 一部の学者は、性行動に関する記述回答の真実性を疑問視している。「夢のような体験の回想」を楽しむために自身の性体験を大げさに語る人はいるかもしれない。自分で間違っていたと認識する行動を否定する人もいるかもしれない。このように、真実を一部の人は大げさに、一部の人は控えめに語る懸念はある。他人の性生活の客観的な情報を得る手段はあまり思い浮かばない。アンケートに代わる情報収集案にはインタビューがあるが、この方法も回答者の正直さに依存してしまう。実際に高校生と大学生の性行動に関する研究でインタビュー形式を用いた際に、深刻な問題が生じたことがある。よくあるのは学生がインタビューを拒否する問題であり、また承諾したところで性行動について話したがらない問題もある。仮に正直で正確なアンケート回答を集められるならば、性の話題においてはインタビューよりもアンケートが適していると言えるだろう。


 私は、性行動に関するアンケート回答の真実性を検証する研究をいくつか実施してきた。性的加害と性被害に関するある研究で、強要と暴力を伴う性行動に関する設問10個を尋ねたのち、一週間後に再度機会を設けてもう一度尋ねた。回答はどれも一回目とすべて一致していた。別の研究では、同様の設問をケント州立大学の複数の授業の生徒に尋ねた。その1〜4か月後、同じ設問を同性の調査員による個別インタビューの形で尋ねた。研究対象となったレイプ被害者68人のうち、回答を変えたのは2人のみ(設問を誤解していたことに気付いた可能性もある)だった(Koss & Gidycz, 1985参照)。3つ目の研究では、男性のインタビュー担当者のもとに、全国の人口構成と類似した人口統計的特性に基づき男子生徒15人を集めた。15人はまず性体験に関するアンケートに回答し、その後インタビューに応じた。インタビューは参加者の過去の性生活について14歳未満と以降に分けて尋ねるものだった。意図は、参加者の口頭回答と記述回答の一致を見ることだ。結果として、14人(93%)の14歳以降の性体験についての口頭回答と記述回答が一致した。不一致だった1人は、記述回答で認めた行為を後のインタビューでは否定した。また、14歳未満の性体験に関しても同じ一致率(93%)が得られた。不一致だった1人は前述の回答者とは別の回答者で、記述では14歳以前に性交渉を行ったと記したが、インタビューでは完全に挿入を行ったわけではないと話した。調査対象の正直さは平均で95%を記録し、完全な一致が見られなかった理由としてアンケート回答の時間制約が挙げられた(Risin & Koss, 1987)。ここから、アンケート調査における正確さと真実性は、同じ設問を対面で尋ねた場合の正確性と著しく異なるものではないと考えることができる。


設問の選定方法


『Ms.』誌プロジェクトの5つの目的達成のためには、多岐にわたる大量の設問の精査が必要だった。性的加害の多さを明らかにするための設問、事件の具体的な事実を得るための設問、そして「なぜ」その事件が起きたかを理解するための設問があった。「なぜ」の設問作成の指針には、左に紹介する3種類の要素を検討した。


 アンケート作成者は、最も知る必要のあることを尋ねる設問を採用するものだ。たいていのアンケートには時間制限を設けるため、作成者は設問数を絞る必要があり、結果として良い設問を除外せざるをえないこともある。中立的なアンケートの作成は単純に不可能だ。ある設問を重要とみなすかどうかは、ある人々がなぜその行動を取るかに対する研究者の仮説に由来する傾向がある。


性的加害の要因:レイプ加害者に関する研究は近年まで、焦点のばらけたいくつもの推論の影響を受けてきた。たとえば、一部の研究者はレイプは何かしらの精神疾患が要因であると述べ、別の研究者はレイプ加害者は女性に敵意を抱いていると言い、また別の研究者はレイプ加害者は他人が抵抗する様や苦しむ様を見て性的快感を得る異常な性的興奮状態にあると主張する、といった具合だ。この雑多な情報源をまとめる試みが論文に見られはじめている(Malamuth, 1986参照; Koss & Dinero近日発表)。


 レイプの統合的モデルは、Finkelhor(1979)の児童虐待の要因に関する考察に刺激を受けている。Finkelhorは男性が性暴力を犯す前段階として次の要素が必要だとした。(1)レイプは加害者の善悪の価値観を侵害しない。(2)女性が「ノー」と言い、反抗や拒否の姿勢を見せているにもかかわらず性的興奮が起きる。(3)必要としていた性欲のはけ口を奪われたと加害者に感じさせる妨害物が存在する。(4)通常は抑制していた振る舞いが飲酒時などに解放された結果何かが起きる。(5)私的な環境下で被害者の抵抗を制圧する。この5つの性的加害の通説を基に、私たちは男性向けの設問を検討した。


レイプの危険因子:レイプ被害に遭いやすい女性の特性(Amir, 1971; Selkin, 1978; Myers, Templer, & Brown, 1984など)や、女性の拒否能力の効果を弱める特性(Russell, 1984など)が存在する可能性について、数々の研究者が多かれ少なかれ言及している。このような研究、それも特に前者は、科学的根拠に乏しいうえ、被害者側を責める従来の風潮をさらに強める危険性をはらむことに無神経であると、非難を集めている(Wieder, 1985など)。時間を多く割いてこの考え方に反論したいところだが、一番の反撃は実証してみせることだろう。


 レイプ被害に遭う可能性を高めうる危険因子に関しては、レイプ被害者について書かれた論文に見られる3つのポイントを指針に、設問を作った。1つ目は心理的な脆弱性(Meyers, Templer, & Brown, 1984など)と呼ばれるもので、レイプ被害者が持つ消極性などの特定の性格的特性により、レイプ被害者が自覚してまたは無自覚で、標的に選ばれる可能性を高めたり、効果的に拒否する可能性を下げたりすることがあるとした。伝統的な女性らしさの概念に必要以上に応える女性や、レイプに関する俗説を受け入れる女性が、圧倒的に被害に遭いやすい(Weis & Borges, 1973など)。このような女性は男性に対して受け身の行動を取り、男性に支配的で力強くあることを期待し、行為がレイプの方向へ向かっていると気付くのが遅いと予想できる。2つ目は心理的外傷の脆弱性と呼ばれ、過去にレイプ被害に遭った経験を持つ女性は再度レイプ被害に遭うリスクが高まるとするものだ。そして3つ目が危険な状況と呼ばれる特定の環境で、これもレイプの発生しやすさを高めるとみなされている。これらの考え方がレイプの危険因子に関する設問選定の参考となった。


レイプが残す影響:レイプ被害者への後遺症に関する発表済みの研究では、不安/恐怖、憂鬱、社会適応、性的機能の4種類の外傷後症状について調査をした(詳細はHolmes & St. Lawrence, 1983; Ellis, 1983参照)。性的な行為の性質などの犯行の特徴、武器の使用の有無、被害者と加害者の関係性など、数々の要素がレイプ被害の後遺症を強めたり弱めたりする。友人や家族の支えと支援の量や、レイプ発生前の被害者の精神衛生状態も、レイプ後に残る影響の深刻さを左右する。そのため、各症状とそこからの回復に関する設問と一般的な心理検査を今回のアンケート調査に含めた。


アンケート調査の内容



 アンケートは「男女関係に関する全国調査」と題された。中立的な表現を用い、「性行為」という単語を避けることで、参加者が説明を受ける前に内容を早まって判断しないよう配慮した。アンケートは全71ページとなり、8つのセクションにわたり合計300以上の設問が記載された。だが、全員が全セクションに回答するわけではない。性的加害や性被害を一切経験したことのない回答者は、該当セクションを飛ばすことができる。アンケートの具体的な内容は次のとおりだ。


セクションA:年齢、民族グループ、世帯収入、信仰など参加者の人口統計的特性に関する設問を掲載した。


セクションB:参加者の育ち、現在の価値観と習慣に関する設問を掲載した。具体的には、幼児期の家庭の安定性、両親の厳格さ、家庭内暴力、非行への関与、自殺未遂や精神療法的治療で測る精神障害歴、飲酒の習慣とドラッグ常用癖、ポルノ雑誌を含む愛読雑誌、女性についての性的な内容の議論、性に関する価値観、性交渉をする相手の数、性関係のさまざまな形に対する現在の満足度、参加者が人間関係の質をどう感じているかなど。


セクションC:大学生を対象とする調査研究で過去に用いたことのある、Sexual Experiences Survey(性体験に関するアンケート)10問を掲載した(Koss & Oros, 1982; Koss & Gidycz, 1985; Koss, Gidycz, & Wisniewski, 1987参照)。加害者が被害者の同意を得ることなく、強要や身体的危害の脅迫、または実際の暴力を用いて行われた、さまざまな度合いの性的加害と性被害について問う。


セクションD:各参加者が報告した最も深刻な性的加害・被害を掘り下げる設問を掲載した。2件以上に関与した場合は、最もよく覚えているものについて回答するよう指示をした。具体的な内容は、加害者の人数、被害者と加害者の関係、親しさの程度、事前の親交、暴行が起きた場所、飲酒やドラッグ使用の有無、暴行時の周囲の社会的状況、当時抱いた感情、男性が使用した力の種類、女性が示した抵抗の種類、事件後に何をして誰に話したか、話した相手の反応、話した相手が事件を何と呼んだか、もう一度起こりうると思うか、など。


セクションE:男女別に異なる心理測定尺度に関する設問を掲載した。男性向けの設問は、心理測定尺度を性的加害の予測に応用することが主な目的である。したがって、男性参加者に対しMMPIの精神病質的逸脱尺度28項目を実施した(Graham, 1977 P.247)。加えて、男性参加者にHostility Toward Woman Scale(女性に対する敵意の尺度)30項目への回答も依頼した(Check, 1984; Check & Malamuth, 1983)。


 女性向けの心理検査は、性被害の影響度を調べることを主な目的とした。憂鬱とレイプ関連の不安が性被害の二大後遺症であるためだ(Ellis, 1983)。女性参加者にはベックうつ病質問票(Beck, Ward, Mendelson, Mock, & Erbaugh, 1961)と特性不安検査(Spielberger, Gorsuch, & Luschene, 1970)への回答を依頼した。ベックうつ病質問票は、うつ病の症状や心境に関する21項目から成る。特性不安検査は20項目から成り、不安に繋がる症状の程度の相対的な個人差を見る。


セクションF:14歳になる前に性的虐待を受けた経験についての設問を掲載した。Finkelhor(1979)の大学生を対象とした調査の設問に少し変更を加えた。「14歳になる前に次のうちいずれかを経験しましたか?」「他人の性器をその人の依頼に応じて触ったりなでたりしましたか?」などが代表的な質問で、残りは子ども時代の性体験についてより詳細に尋ねるものだ。2件以上の経験を持つ場合は、最も深刻なものについて回答するよう指示をした。具体的な質問内容は、被害当時の年齢、加害者の年齢、被害者と加害者の関係、行われた性行為の回数、被害者が行為に加わった理由、誰に話したか、話した相手の反応、当時抱いた感情、被害を受けたとどの程度感じていたか、など。


セクションG:Butt(1980)が開発した、性暴力の可能性を高めうる思い込みの程度を測定する36項目を掲載した。性暴力の発生に繋がる思い込みや、誘惑されたとして行為を正当化する考えなど、レイプに関する誤った思考を指す。


セクションH:2つの標準的な心理測定尺度を掲載した。1つ目はExtended Personal Attributes Scale(拡張個人属性尺度)(Spence, Helmreich, & Holahan, 1979)。伝統的な男性らしさ、女性らしさの概念にどの程度従って行動するかが、男性がレイプを犯し、女性が被害に遭う理由の理解に重要であることは、本あとがきの序盤ですでに述べている。


 2つ目は葛藤戦術尺度(Strauss, 1979)。怒りを表現し、口論を解決するためにとることのできるさまざまな戦術を表す設問が含まれる。たとえば、言語行動(穏やかに話し合う、叫ぶ、侮辱する)、撤退、非接触の身体攻撃、身体攻撃など。


アンケートのスコア計算方法



 統計解析は確率に基づいている。たとえば、5段階で示した性的攻撃性を持つ男性の飲酒癖を比較し、攻撃性のない男性10人は一日平均1杯、攻撃性を持つ男性10人は一日平均2杯飲んでいたとしよう。この差は重要だろうか? 重要と思えるかもしれないが、ここで測るべきは、この差が対象とした20人の間で偶然出たものである可能性だ。差がもし偶然ならば、メンバーを変えずにもう一度同じ質問をしたとしても同じ結果は出ないだろう。私は基本的には、100回中6回以上が単なる偶然である場合の差異は重要とみなさないことにしている。各回答者のスコアがグループ平均値とどの程度異なるかと、回答者の総数とを考慮に含めた偶然の確率の計算により、尤度を決定する。


 ここで、300を超える設問の解析が問題となる。これほど大量の設問があると、統計的な有意性を得ながらも実は単なる偶然である差が15個程度は発生するだろう。理想としては、できるかぎり分割せずにまとめたデータで比較を行うよう注意する。分割すればするほど、単なる偶然を本当に重要なものと誤ってみなすリスクは大きくなる。


 大規模なアンケートにおける別の問題は、差の真の規模である。6000人以上の回答を解析すると、単純に人数があまりに多く、その一人ひとりがほんの少しずつ異なるがために、統計的有意性を得る比較対象も出てくる。これを統合すると統計的有意性を得る差となるのだが、実質的な重要性はほぼない。こうした理由から、統計的有意性を得た差が本当に重要で真の差と言えるかを判断するために、「効果の大きさ」の計算を用いている。私はCohen(1977)の検定力についての著書で説明されている計算手順と、ωをカイ二乗、fを分散分析とする効果の大きさの解釈指針に従った。


管理可能な特性数を得る



 統計的な差に対立する偶然の差を可能なかぎり減らすために、解析する特性数を制限した。特性数を管理可能な数まで減らすことを、専門用語では「データの縮約」と言う。記述的な目的を除き、私は総計した変数である男性16、女性13を使用した。この変数は手順を踏んで作られたもので、本章の範疇からは逸れるが、私の論文で説明している(Koss & Dinero, 1987およびKoss & Dinero近日発表)。


性的加害と性被害の程度を定める



 データ解析のほぼすべてに「要因実験」を活用した。要因とは、2つ以上の異なる特性を同時に研究することを指す。たとえば性的加害の程度が異なる男性の飲酒癖の比較が、要因実験である。性的加害と性被害の程度を、性的加害・被害なし、性的接触、性的な行為の強要、レイプ未遂、レイプの5段階に分けた。「レイプ」と「レイプ未遂」のグループには、法によって定義されるレイプまたはレイプ未遂をした男性と、被害に遭った女性が含められた。レイプの代表的な法の定義は次のとおりである。「男女間の性交または肛門性交、フェラチオ、クンニリングス(中略)、男性器の一部でも挿入すると性交または肛門性交と見なされる。(中略)次のいずれかひとつでも該当する場合(中略)相手への性的な行為の実行は許されない。(1)攻撃者が暴力や暴力を脅迫によって意図して相手に服従を強いた、(2)抵抗を阻止する目的で、ドラッグやアルコール飲料を相手に与えることで相手の判断能力や抑制力を著しく害した(中略)」(オハイオ州改訂法、1980年)。私はこの厳密で狭義のレイプの定義を採用し、法が定める必要条件に常に従うよう努めた。「レイプ」の被害者または加害者に分類された全参加者が、暴力または危害を加える脅迫、被害者の能力無効化により、同意なしの口腔性交、肛門性交、性交、物体を用いての挿入を経験していた。

「性的な行為の強要」グループには、言葉の圧力で被害者を脅したり権力濫用をしたりした後に性交を行った女性と男性が分類された。危害を加える脅迫や、直接的な身体的暴力は伴っていない。「性的接触」グループには、言葉の圧力での脅しや職権濫用、暴力行為の脅迫、または実際の暴力行為の後に、なでたりキスをしたりといった性的な接触を受けた女性と行った男性が分類された。この行為では、攻撃者には被害者に挿入する意図はない。なお、性的な行為の強要と性的接触の事件のうち、犯罪として認められたものは数少ない。10項目の性体験すべてに経験なしと回答した人は「性的加害なし」「性被害なし」に分類された。


結論を導き出すために用いた手法



 本プロジェクトの5つの目的それぞれに必要な情報を得るために、種類の異なる統計解析を実施する必要があった。


現代の大学生の間で性的加害と性被害がどの程度発生しているかを測定する:これは数学的には最も単純だ。まず、数種類の性行為について尋ねる設問の1つ以上に「はい」と答えた男女の割合を測定する。次にスコアリング規則を用いて、それぞれを性的加害または性被害の各レベルに当てはめ、その後にレベルごとの割合を測定する。この確率は、地域的な不釣り合いの大きさを見積もるために重み付けあり、なしの二通りで算出する。


 最後に、過去12か月の間にレイプまたはレイプ未遂に遭った、または行ったと報告した人数を数える。これを2で割り、6か月当たりの値にする。次に、母数を調査対象6159人から1000人に置き換えて割合を算出する。こうして、政府が発表している犯罪発生率と比較可能な加害・被害率を導き出すことができる(当然、現行標本の一般化が持つ限界は適切に認識している)。


実際の事件内容を記述する:推論統計手順を記述分析的に用いて取り組んだ。もし対象の特性が年齢など連続的なものである場合、分散分析(ANOVA)と呼ばれるものが適切な統計学的手法となる。また、黒人、白人、ヒスパニック系、アジア系、ネイティブ・アメリカンなどのように不連続なものである場合、カイ二乗(x)が適切となる。記述分析には重み付けは使用しなかった。このような分析法により、2つ以上のグループが特定の特性や対象の点で大きな差を持つかを導き出すことができる。


性的加害を予測する:判別関数分析と呼ばれる統計学的手法を用いた。男性一人ひとりの特性を、トランプの裏面に秘密の印にして記すと考えてほしい。トランプのスペード、ハートやクローバーの絵が描かれたおもて面には、それぞれの性的加害の自白を書き込む。そして、たとえば「クローバー」を性的攻撃性を持つ男性に割り当てるとしよう。判別分析では、トランプ裏面に記した男性の特性を表す秘密の印のみを見て、トランプをハートやクローバーなどのスーツごとに分類してみる。トランプの表を見ると正しく分類できたかを確認できる。ほぼすべてのトランプが秘密の印を使って正しいスーツに分けられていたなら、測定した特性は重要で強力な予測変数だと言える。逆にもしも誤りが多ければ、その特性は性的攻撃性に適した予測変数とは言えない。この分析結果はKoss & Dinero(近日発表)で説明している。


レイプに遭う危険因子を評価する:ここでも前述の判別関数分析を用いて、女子大学生が持つレイプの危険因子の結論を導き出した。分析結果はKoss & Dinero(1987)で説明している。


レイプが残す影響:見知らぬ人によるレイプの被害者と顔見知りによるレイプの被害者との比較から測定する。さらに、顔見知りによるレイプの被害者を、加害者が恋愛関係にない顔見知り、不特定のデート相手、特定のデート相手、配偶者または家族に細分する。分析結果はKoss & Dinero(1987)で説明している。


本プロジェクトが本書になった経緯



 ある全国誌に最近掲載されたデートレイプに関する記事は、元恋人からコーラの瓶で数時間内に幾度もレイプされたという事例から始まった。記者のもくろみどおり、この事例は読者を記事に惹きつけた。しかしここまで過激な暴力は頻繁にあることではないうえ、事例の中にはデートレイプに関して誤解を招くような記述もあり、全体的に不安をあおる記事となっていた。


 一人称の経験談は、普通とは言えない経験をしたたった一人からの情報という点で「科学的」ではない。その点、事例集は鮮明で効果的な伝え方である。本書の制作にあたっては、『Ms.』誌の調査結果を指針にして紹介する事例を選定したことで、個々の事件が全国調査の回答者の特性に見られる主な傾向を浮かび上がらせた。またアンケート調査結果以外にも、権威ある臨床医学者や研究者によるデータも本書には数多く引用されている。こうした資料なしには、顔見知りによるレイプという題材に対する多様な切り口からの考察を読者に伝えることは叶わなかっただろう。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:16749文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次