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(2021/11/26 追記)

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コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方
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経済・金融
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第1章 【現状分析編】ハイパーインフレへ一直線にひた走る日本

『コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方』
[著]藤巻健史 [発行]PHP研究所


読了目安時間:47分
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──政府の「真の狙い」に気をつけろ

■「オオカミおじいさん」の話は大げさか?


 コロナ後、日本に襲いかかるハイパーインフレ。そうした危機から自分を守るための方法を説くのが本書の目的です。


 ただし、読者の中には、「本当に日本はそんなに危険な状況なのか?」「オオカミおじいさんが大げさに言っているだけではないか?」と序章の説明だけでは納得していない人もいるかもしれません。


 そこで本章では、「異次元の量的緩和」によって、いかに日本が危機的な状況になっているのかを、改めて検証していきたいと思います。

「序章で納得できた」「早く自分の身を守る方法を知りたい」「フジマキの話はもう何度も聞いている」という方は、この章を飛ばして、第2章以降をお読みいただいても結構です。

■コロナショックにより、過去最大級の歳出を余儀なくされた日本


 まずは、日本の借金の総額、すなわち「公的債務残高」から見ていきましょう。


 2019年度末の日本の中央政府の公的債務残高は、1115兆円。一般政府(中央政府、地方政府、社会保障基金を合わせたもの)の公的債務残高の対名目GDP比では238%に達しています。つまり、GDPの2年分を全部返済に充てないと借金が完済できないという状況です。


 ここまで借金が積み上がった理由は、巨額の単年度赤字がバブル崩壊以降、30年近くにわたって続いているからです。


 2020年度の当初予算を見ると、「税収(63・5兆円)+税外収入(6・5兆円)」が70兆円だったのに対し、歳出は102・6兆円に上っています。収入よりも30兆円も多くの歳出があり、それを国債という借金で賄っているわけです。


 しかもコロナショックを受け、日本政府は過去最大級の補正予算を組みました。第一次補正予算により25・6兆円、第二次補正予算によりさらに31・9兆円、計57・5兆円の補正です。第一次補正の「国民一人当たり10万円配布」で、今年度の法人税分は使い切ってしまいます。さらには57・5兆円の補正予算合計だけで、今年度の税収分の大かたを使ってしまうのです。足りない分は国債の発行(借金)で補いますから、今年度の国債発行額は90兆円以上になりそうです。

■財政の肥大を招いているのは「社会保障費」


 単年度としてはあまりにドデカい赤字国債発行なので、人々の注目を集めていますが、実は政府は前節で見たように、平時に大変な借金を抱え込んでしまっていたのです。対GDP比で世界ダントツの赤字額です。では、なぜ平時だったのにこれほどの借金を重ねなくてはならなかったのか。歳出の内容を細かく見ていくことで、その原因が見えてきます。


 2020年度当初予算で歳出に占める割合を見てみると、最も大きいのが社会保障関係費で、全体の34・9%、35・8兆円に達しています。それに続くのが地方交付税交付金等で15・8兆円(15・4%)、以下、公共事業が6・8兆円(6・7%)、文教及び科学振興が5・5兆円(5・4%)と続いていきます。




 ちなみに、地方交付税交付金等に占める民生費(地方での社会保障費)や国債費が、過去の社会保障費を含む経費により生じた支出であることを考慮すると、社会保障費は歳出の40%に達すると言われています。


 社会保障費とは国民の医療・介護や年金、福祉などに使われる予算のことを指しますが、これは財政学上、「所得の再配分」です。つまり、この国は政府機能として巨額な所得再配分をしていると言うことができます。

■世界に誇る「国民皆保険」でも、税金が低いというミステリー


 社会保障費が多いことは、一概に悪いことではありません。ただし、通常は社会保障を充実させれば、その分、税金を高くするのが当たり前です。福祉国家として知られる北欧諸国は、税金の高い国としても知られています。


 日本には「国民皆保険」という世界に冠たるサービスがあります。健康保険のおかげで誰でも安価で医療サービスを受けることができます。ただし、その費用を負担するために、本来ならば国民はその分、高い税金を支払ってしかるべきなのです。


 ところが、世界に冠たる国民皆保険の日本の消費税は、世界で最低レベルの低率です。2019年にやっと10%になりましたが、EU諸国などと比べるとまだまだ低いのが現状です。徴税力が極めて高く、その高さが「化け物のよう」とまで言われる消費税なのですが、それを上げるのはこの国では至難の(わざ)ですから、税収全体を劇的に上げるのは大変です。


 それでは、消費税のかわりに所得税で増税を計画したとしましょう。最高税率を上げても、それだけの税金を払っている人が少ないので税収増はたかが知れています。所得税で税収を劇的に増やそうとすると、低い税率帯のところを上げるしかないのです。すなわち課税最低額(所得税が発生する収入額)をぐっと下げるしかありません。この課税最低額は他国に比べてかなり高いのですが、これを他国並みに下げるとなると、これまた政治的に大変なことになってしまうでしょう。


 これで財政を持続可能なものにしていけるのなら、我が国の政治家や財務省の能力は、まさに世界に冠たるものと言えるでしょう。ただし、残念ながらそんな妙手はなく、結局、日本政府は、その税収不足を国債発行という借金にて賄っているわけです。

■今の日本は「年収700万の家庭が、1600万使っている」?


 これはどんな世界でも同じですが、手厚いサービスを受けたかったら高いお金を払う必要があり、コストを下げたければその分サービスの質が落ちることになります。


 政府による経済運営も同様で、社会福祉などのサービスを政府が積極的に行う「大きな政府」を目指すなら、高い税負担は不可欠であり、税負担を少なくするには、そうしたサービスはできるだけ民間に任せ、政府は最低限のことしかしない「小さな政府」を目指すしかありません。


 社会福祉などのサービスが手厚いのに税金が低いなどという虫のいい話はないはずです。つまり、「大きな政府&高い税負担」か、「小さな政府&低い税負担」のどちらかなのです。


 にもかかわらず、歴代の自民党政権は、「大きな政府&低い税負担」という大衆迎合政治を行ってきました。国民受けのするコンビネーション(ばらまき&低い税金)といういいとこ取りをしてきたのです。


 そのツケが、1115兆円という天文学的な額にまで膨らんだ累積赤字なのです。


 この異常さは、身近な例でたとえると、わかりやすくなります。年収700万円の収入の家庭が今年は1600万円を支出する。差額の900万円は借金で賄うのです。


 年収700万円の家庭が900万円の借金をすると返すのは大変だと思いますが、返せないことはないでしょう。コロナ禍という非常事態ですから、やむを得ない出費だと思います。


 しかし問題はこの借金をする前に、すでに1億1150万円もの借金があったという点です。これに900万円の借金が上乗せされ、今年度末には借金が1億2000万円を超えるのです。


 支出を600万円に抑え、100万円ずつ返しても、返済完了までに120年もかかる借金額です。それも金利が今後120年、今のほぼゼロ%から上昇しないとの前提に立っての話です。家庭なら間違いなく自己破産だと思います。


 宝くじに当たったり、株で一山当てでもしない限り、返済はとうてい不可能でしょう。これが日本の現実なのです。

■財政破綻を免れるためには、最低でも「今日から消費税30%」


 いずれにしても、ここまで借金が積み上がってしまっては尋常な方法では返済できません。


 政府は、アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」によって税収を増やし、財政再建を図ろうとしています。これはつまり、700万円だった家庭の収入を増やそう、という施策です。ただし、収入を増やすのがそう簡単ではないように、税収を数十兆円単位で増やすのも至難の業です。少なくとも、安倍首相の掲げるあいまいな成長戦略では、税収を数十兆円単位で増やすことなどとうてい不可能でしょう。


 財政破綻を免れるための方法は、安倍政権発足当時も、今も、次の二つしかないと私は考えています。


 一つは、大増税をして、かつ歳出も大幅に下げることです。


 いの一番にカットしなければならない歳出は、歳出の約4割を占める医療や年金などの社会保障費です。

「社会保障のレベルを下げるのはイヤだ」と言うなら、税金を大幅に上げなければなりません。多くのエコノミストは消費税を二十数%に上げる必要があると述べていますが、私に言わせれば、それでも甘い見積もりです。

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