突然ですが、あなたの思い描く理想の家庭は、どんな家庭ですか?
この本を手に取ってくださったということは、家事でモメることが多かったり、部屋の使い方に悩まれていたりするのではないかと思います。
たくさん悩まれているということは、その悩みの分だけ、きっと「こんな家庭にしたい」というステキな家庭像を持っているのではないでしょうか。
僕が代表を務めるNPO法人tadaima!では、「10年後、20年後も『ただいま!』って帰りたくなる家庭にしよう」をビジョンに掲げています。
家族全員にとって安心できて、助け合えて、やりたいことができる場所。それが僕たちが考える理想の家庭です。
そんな家庭にするためには、大切なことがふたつあります。
「家族の“関係”をしっかり育むこと」
「“環境”を家族に最適化させること」
関係とは、家族がチームのように協力し合うこと。つまり家事シェアすることです。誰か一人が大きな負担を強いられている状態は不健全ですし、かといって家族の実力に合わないようなハイレベルなルールをつくっても「心地よい」とは言えないでしょう。家族それぞれが無理なく協力し合うために、話し合って関係性を育むことが不可欠です。
環境とは、家族一人ひとりが自発的に生活を営むことができる状態のこと。つまり、家族が自然に動いちゃうような、らくちんな部屋をつくってしまえばいいというわけです。この環境を最適化するために必要なのが、そう、「モヨウ替え」です。
そこで、NPO法人tadaima!では「家事シェア」を広める活動と、子育て家庭のためにモヨウ替えをコーディネートする活動をおこなっています。
モヨウ替えと聞くと、インテリアコーディネートやお片づけサービスを思い浮かべる方もいると思います。
tadaima!も、活動当初はお片づけのサービスをおこなっていましたが、さまざまな家庭のサポートに入るうちに、「家族の生活のなかで生まれるお悩みは、片づけだけでは解決できない」と思い、家全体の使い方を提案するようになっていきました。
モヨウ替えの目的は、家をおしゃれに飾ることでも、収納を見直したり個人の片づけスキルを高めたりすることでもありません。
一番の目的は「家族が自発的に生活できる場に整える」こと。
いまの家の状態をベースにしながらも、もっと家族の理想が叶うように、家と家族との関係をあらためてつくり上げることです。
モヨウ替えをすることで、手間を減らして楽に家事ができるようになったり、言われなくても片づけができるようになったりします。
子どもが安全で楽しく(親にイライラされることもなく!)遊べる空間を用意することもできますし、仕事や勉強に集中する場をつくることもできるようになります。
モヨウ替えは、時間(場合によってはお金も!)がかかり、暮らしに直結すること。だからこそ、家族全員が「自分ごと」として取り組みやすい作業でもあります。
つまり、「関係」と「環境」の改善を一度におこなえる、一番手軽な方法なのです。
この本を読んでくださっているあなたの家庭が、もっともっと「ただいま!」と帰りたくなるお家であるように。そう思いながら書きました。
本を読んで、ひとつでも多くの家庭に笑顔が生まれてくれたら、こんなに幸せなことはありません。