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(2021/11/26 追記)

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Amazonで12年間働いた僕が学んだ未来の仕事術
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2 アマゾンの文化、空間そして人々

『Amazonで12年間働いた僕が学んだ未来の仕事術』
[著]パク・ジョンジュン [訳]藤田麗子 [発行]PHP研究所


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失敗を革新につなげるために



シアトルで起こった凄惨な火災


 現在のアマゾン本社が位置するシアトルダウンタウンのすぐ北には、レイクユニオンという美しい湖がある。ここは、映画『めぐり逢えたら』でトム・ハンクスが住んでいたボートハウスが浮かんでいる場所でもある。


 湖には多くの観光客を乗せたアヒル型の水陸両用車が頻繁に行き来しているが、これはダウンタウンと湖を1時間半ほど観光するライド・ザ・ダックというシアトル名物のツアーだ。


 パックメドを離れて新たに通勤することになったビルは、湖の南側にある公園に近かったので、よく散歩に出かけた。公園内にはMOHAIというこぢんまりした古い歴史産業博物館があり、2011年、傾きつつあったこの博物館にベゾス会長が1千万ドルを寄付して、ベゾスセンター・フォー・イノベーションという名称で最近リニューアルオープンした。


 先日子供たちを連れてこの博物館を訪れた時、興味を()かれる展示館があった。1889年のシアトル大火災に関する展示で、映像や新聞記事、火災現場から発見された物品などから、当時の(せい)(さん)な状況が伝わってきた。


 煮立った鍋から噴きこぼれたニカワが火種となり、木造建築物の多いシアトルの市街地を焼き尽くした大火災だった。当時は十分な消防システムが整っておらず、消火のために海から水を調達しようとしたが、干潮のため不可能だったという残念なエピソードがある。


 大火災展示館は、革新をテーマとした博物館の性格には合わない気がしたが、「失敗と革新は切っても切れない双子だ」というベゾス会長の名言を目にしたとたん、考えが変わった。


 シアトルはまさしく灰の上で再生した都市だった。時が過ぎ、専門家たちは皮肉にもこの火災がシアトルの輝かしい発展に大きな役割を果たしたと口をそろえる。幸い人的被害はなく、火災はネズミなどの有害動物を一斉駆除し、問題だらけだったでたらめな配管設備をすべて破壊した。


 住民たちは都市を離れるのではなく、火災を通じて得た痛恨の教訓を活かし、力を合わせて再建を迅速に進めた。自治体が先導して消防局を設立し、建材から防火壁に至るまで厳格な建築規定を作った。


 また、下水道システムを革新的に改善すべく、建物を今までより1階分高く建てるよう指示した。それまで1階だった部分を地下としてパイプを配置し、2階部分に建物の玄関を作ることにしたのだ。費用の問題で一部の人々が反発したが、自治体は土地を底上げして、道路を新たに作り直した(シアトルのパイオニア・スクエアでは、火災後の再建によって埋もれた地下都市を見学することができる)。


 都市再建後は多くの人々が集まり、シアトルはワシントン州で最も大きな都市に成長した。


 火災後に規定が強化されたことによって、百年が過ぎた今でもシアトルはアメリカで災害に強い都市の一つに数えられる。


 アマゾンでは数カ月に一度、抜き打ちで避難訓練が行われる。警報が鳴ると、社員は急いで非常階段から外に出て指定の場所に集まり、数分後にオフィスに戻る。全業務が一時的にストップするが、不平を言う人はいない。


 一度、避難訓練が行われてから数日もしないうちに再び警報が鳴ったことがある。いつものようにビルから出て待機していると、すぐに数台の消防車が到着した。訓練ではなく、本当に火災が発生したのだ。


 ところが、どこからも煙は出ていない。しばらくしてビルから消防隊員が出てきて、誰かがポップコーンを電子レンジに長くかけたせいで火災警報器が反応しただけだと笑いながら説明してくれた。幸い小さなハプニングだったが、もし大きな火災が発生していたとしても、人的被害はほとんどなかったことだろう。

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