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なんとなく、日本人 世界に通用する強さの秘密
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人文・科学
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終章 思考の本質はひとつではない

『なんとなく、日本人 世界に通用する強さの秘密』
[著]小笠原泰 [発行]PHP研究所


読了目安時間:16分
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「日本人であること」を見つめ直そう


 不可逆なグローバル化の不安が根強い。「なんとなく、日本人」でいられる感覚的な日本人の境界が曖昧化・不明確化していることのあらわれである。日本的な自己構造と思考メカニズムの客観的認識なくして、この不安は解消しない。グローバル環境では、いままでのように外の世界との交渉に無関心であることは許されない。少なくとも、ソトとウチ(日本人という境界)との接点を意識し、現在の境界を明確化する必要がある。


 いままでの感覚的な国際人多幸症(日本人を否定すると国際人になれる)と外国人恐怖症(日本人はもっとも国際化していない)では、問題は解決されない。能動性が必要になる。このソトとウチの境界によるネットワークの使い分けを意識的に行なえれば、日本組織のスピードは上がる。しかし、そのためには、まずウチのメカニズムを認識する必要がある。日本的自己と思考メカニズムを理解できれば、ソトに対する能動的な対応ができる。つまり、相手との間で能動的に文脈を設定し、自己のインプレッション・マネジメントが主体的に行なえるのである。


 たとえば、フランスの「フランス語を話せば他者を拒まず」、アメリカの「自分のやり方はどこでも正しい」、あるいは、イギリスの「まずルールを明確化する」のように、国際的につき合う場合のスタンスを、日本も見つける必要がある。はたして、日本的なスタンスとは何か。国際社会に積極的にコミット(参画)していくのに必要な、能動的文脈マネジメントと、柔軟な自己、組織のインプレッション・マネジメントとを、グローバル環境下で行なっていくためには、日本的な行動態度の客観的認識も欠かせない。


 戦後六十年を経て、安定的な社会役割構造が壊れつつある現状を深く憂え、日本人を日本人たらしめている高度文脈依存社会を再構築するために、何ができるかを真剣に考えるべきときである。そもそも、グローバル化には、ボーダーレス化とローカル化の二つの流れがあり、前者のみを強調するのは間違いなのである。ローカル化の観点で、明確な日本的軸足を理解することがいま必要とされている。つまり、日本的とは何かを真剣に考えることのアクセルを踏むべきときである。もはや、ブレーキを踏むときではない。アクセルとブレーキの両方を踏むのがよいというような、バランスという名の無意味な慎重論は無駄である。


 外国人や保守派が尊ぶ過去のノスタルジックな日本は、本来の日本の強さを意味しない。日本の強さとは、内向きな役割の精緻化と「絶え間のない外部の新規性の取り込みとその無化のプロセス」なのである。ここを間違えると、日本は、保守派の思惑とは異なり、結果として「変わりたくないのに変わってしまう」であろう。あるいは、軽薄な改革派の無責任発言の結果、日本は破壊されて、再生が大きく遅れるか再生不能に陥るであろう。

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