『スピリチュァリティ・カウンセリング 人を救う真の奇跡とは?』
[著]飯田史彦
[発行]PHP研究所
(「開幕」の最後の部分から続く)
飯田:まず……何か、少しでも、ご自分で思い当たる原因はありませんか?
男性:……(首をかしげる)
飯田:どんなことでもいいですよ。
男性:う~ん……
飯田:どうしましたか?
男性:変なことでもいいですか?
飯田:もちろん、どんなことでも結構ですよ。僕は決して、馬鹿にしたりはしませんから。
男性:それがですね……実は、イライラしてしまう時に、どうも、自分の感情ではないような気がするんです……
飯田:自分の感情ではない?
男性:私は、べつに女房を悪く思いたくないし、実際、ケンカなんかしたくないんですよ。それなのに、なぜかイライラしてしまって……
飯田:誰かに、操られているような感じ……つまり、誰かが明確な意思のもとで、あなたの感情や思考や言動を操作しようとしている……そんな感じですか?
男性:……いえ、明確な意思なんか感じません……なんとなく、っていう感じです。
飯田:それでは、誰かの声が聞こえるというわけでは?
男性:ありません……声が聞こえるなんてことは、ありません。
飯田:誰かに、「死ね」とか「殺せ」とか言われることも?
男性:ありませんね、そんな声なんか聞こえません。
飯田:それでは、なんとなく、何者かの感情を感じる、と、まあ、そんな感じですか?
男性:ええ、そんな感じでしょうか……
飯田:たとえば、神様や仏様の声でもありませんか?
男性:いいえ、神や仏が、うちの女房をけなすはずがありませんし(笑)。
飯田:それはそうですね(笑)……それでは、たとえば、先立った誰かの意思だとは?
男性:それは……ご先祖様とか?
飯田:すでに他界なさっている誰かであれば、どなたでも結構ですが(笑)。
男性:ご先祖様が、うちの女房をけなす理由もありませんし……(笑)
飯田:なるほど、その通りです(笑)。あなたの表情やお言葉からは、脳の機能障害とか、どなたかの魂の影響を受けているといった症状は、見られませんね。
男性:それは良かった(笑)。
飯田:そうなると、しだいに可能性が絞られてきます。あなたが奥様に接してイライラするのは、どこか限定された場所ですか?……たとえば、ご自宅にいる時とか。
男性:自宅にいる時は、もちろんそうですが……自宅以外で接することが少ないので、はっきりとは言えませんけど、確かに出先でもイライラして、ケンカが多いですね。
飯田:買い物先とか、旅行先とか、外食の際とか?
男性:ええ、べつに自宅に限りません。
飯田:そうなると、残存思念の影響を受けている可能性も、ほとんど否定されますね。
男性:残存思念?
飯田:ええ、昔の人たちがその場所に残した、強烈な思念のことです。原因不明の心身症状には、残存思念の影響で生じているものが多いんですよ。それに、いわゆる「幽霊」という言葉で表現される現象も、現実の存在ではなく、残存思念にすぎないことがほとんどなんです。
男性:でも、私の症状については、残存思念ではないんですね?
飯田:イライラしてしまう時に、必ず持ち歩いている物体は、ありませんか?
男性:そんな物体など、思い当たりませんが……(笑)
飯田:そうですよね(笑)、あなたのお悩みの場合は、特定の物体に残された強力な思念の影響でもなさそうですし(笑)……そうなると、残る可能性は、過去生での人間関係の影響か、あるいは……