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世の中がわかる「○○主義」の基礎知識
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生き方・教養
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Chapter7 いったいどうすれば、私は個性的になれるのか?

『世の中がわかる「○○主義」の基礎知識』
[著]吉岡友治 [発行]PHP研究所


読了目安時間:15分
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古典主義

ロマン主義

野獣主義(フォービスム)

立体主義(キュビスム)

未来主義

超現実主義

新古典主義

抽象表現主義

ミニマリズム……


「個性を育てる」とはどういうことか?


 近年、教育現場では、個性という言葉が大流行だ。「個性を伸ばす教育」「あなたの子供の個性を伸ばす」など。しかし個性とはどのようにして(かん)(よう)されるのだろう? 教師が個性を教える、これは語義矛盾だ。画一的に教えられないものだからこそ「個性」のはずである。あるいは、情報を持つ者がそれを次世代に伝えることが教育だとするなら、教師こそ個性という情報を持っていなくてはならない。しかし、全国に何十万人もいる教師が、すべて個性を持っているか? 自分を含めて、どうもありそうにないことである。


 個性とは簡単にいえば、他人と違う性質ということだろうが、そのような違いがなぜ重視されねばならないのか? 考えるとよく分からない。だいたい、つい最近まで、個性など教育では何の意味もなかった。たとえば、明治時代の小学生は次のような作文を書いていた。



 頃シモ霜月ノ中頃ナリキ。空ウルハシクハレワタレバ紅葉ノ錦ヲナガメンモノトコソヨケレト二タリ三タリノ友垣ヲソソノカシ向ノ山ニ遊バント打連レ立チテ家ヲ出テ又シバシニシテ此所ニツキヌレバ昨日マデ緑シタタラン計リナル木々ノ梢モ何日シカ霜ニアコガレテ物凄キマデニナリヌルヲ独リ楓ノミハ紅ト深ク染メテ……

(『明治秀才千人文集』小学校四年、明治二十七年刊)



 内容は十一月に友達と向かいの山に登ったというだけだが、言葉遣いはまるで古文そのまま。もちろん、いまの小学生がこういう「達意」の文章を書けないのは、国語力が落ちたせいではない。昔の小学生は個性・独創性などにかかわらず、ただ「型」に従って「素直」に書いているせいである。決まりきったことをやらせると器用にこなす子供はいつの時代にもいる。「微積分ができる小学生」とか「バイオリンが上手に弾ける小学生」と同じだ。現在の我々がこういう作文を奇異に感じるのは、文章が個性の発揮であると思い込んでいるからである。実際、八十歳前後の人に聞くと、図画の時間ですらお手本があって、教師が生徒にそのまま写させていたらしい。個性もへったくれもなかったのである。


個性重視は比較的最近のイデオロギーである


古典主義の思想


 こういうように、何か過去にお手本があって、それに従ってつくれば、美しいもの・よいものができあがるという思想を古典主義(classicism)という。当然のことながら、情報を持つ者がそれを次世代に伝えるという教育の理念は、むしろ古典主義と()()みがよい。

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