●愛国主義(ショービニズム/ジンゴイズム/ナショナリズム)
●資本主義
●グローバリズム
●愛郷心(パトリオティズム)
●アナキズム
●コスモポリタニズム
愛国主義とグローバリズム
マンガ『嫌韓流』が反韓感情を煽ってベストセラーになったかと思うと、今度は『嫌日流』が出版されて、反日感情を煽り立てているらしい。自分が日本人という当事者の一端なので多少うしろめたい感じはするものの、隣国のメディア同士が互いに罵声を浴びせて高揚感を募らせる姿はなかなか壮観だ。排外主義あるいは好戦的愛国主義(chauvinism, jingoism)の特徴をよく表しているからだ。
このような愛国主義・排外主義があちこちで噴出する背景には、もちろん資本主義の地球規模での展開、つまりグローバリズムの進行がある。世界経済が緊密に結びつき、日本製品がアジアの製品と競争して駆逐される、あるいはその逆の現象が起こる。個人がどんな信念を持とうが、その大きな流れに翻弄されるだけ。無力感に苛まれる。しかも、自国における『韓流』『日流』という隣国文化の流入が進む。
一方で、自分を心理的に支えてくれた共同体は崩壊しかかっている。日本の地域経済はほとんど破壊しつくされ、繁栄している産業はパチンコ業界ぐらい。パチンコでの借金を苦に自殺するという話もある。第一次産業に基づいた地域共同体などもはやない。都市部では若者たちが非正規労働で搾取され、会社に忠誠心も持てない。
こんな中で自信やパワーを実感したいと思ったら、「とりあえず敵をつくって連帯しよう」という選択肢しか残されていない。だから、『嫌韓流』も『嫌日流』もウケるのである。
愛国主義・排外主義の背景にはグローバリズムの進行と共同体の崩壊がある
資本主義は敗け犬を無視する
そもそも資本主義(capitalism)の基本は、材料を買って製品をつくり、それを売って利益を上げるシステムだ。自己利益をふやす以外の動機はない。こういう個人利益の総和を社会と考えて、その原理を社会にそのまま適用すれば、社会は「優勝劣敗」と「最大多数の最大幸福」という目標を追えばよいことになる。公平に競争して、その結果、幸福を感じる人が一番多い状態を実現すればいいわけだ。たとえ、つねに劣敗になる少数の不幸な人がちょっといたとしても、優勝・幸福な人がそれを上回っていれば相殺できる。これはお馴染みの功利主義だ。