●楽観主義(オプティミズム)
●悲観主義(ペシミズム)
●ダンディズム
●日和見主義(オポチュニズム)
●スピリチュアリズム
●オカルティズム
ポジティヴ・シンキングとは?
しばらく前に、経営書でポジティヴ・シンキング(positive thinking)という言葉が流行ったことがあった。たとえ、つらいことがあってもクヨクヨ悩まない。よい経験をしたと前向きに考えようという内容だったと思う。
“Positive Psychology”の主唱者である心理学者M・セリグマンは、前向きに考える人は簡単に物事を諦めないから、自己の能力を十分に発揮して成功すると言う。さらには、免疫システムも健全に働くので、いつまでも若々しいとか。よいことばかりをひたすら並べ立てる主張は、まさにポジティヴ・シンキングの見本だろう。
しかし、ポジティヴに-ism をつけて positivism としても、必ずしも「前向き主義」にはならない。Positivism は実証主義と訳されることが多い。主張・命題をデータや実験・観察でいちいち確かめていこうという態度のこと。芸術運動ならリアリズム(realism)に近い態度だ。ポジティヴ・シンキングに対応するのはオプティミズム/楽観主義(optimism)。ちなみに、反対の negativeに-ism をつけると negativism。しかし、これもどちらかといえば、ペシミズム/悲観主義(pessimism)のほうがよく使われる。
ポジティヴ・シンキングの解釈は不公平である
楽観主義・悲観主義の違いは、起こった物事そのものではなく、それに対する解釈の仕方、あるいは物語の仕方の違いである。セリグマンによると、その違いの軸は、永久的か一時的か、包括的か特定的か、自責的か他責的かの三つであるという。
たとえば、リストラで失業したとしよう。「俺はいつもこんなふうに仕事でしくじってしまう」と思い、自宅にこもりきりになるのは永久的な解釈。「いまは不況だから、しばらくバイトでしのごう」と考えるのは一時的な解釈。もちろん後者のようにとらえたほうが状況の変化が期待できる。「俺には能力がないんだ」と思うのは包括的解釈。「この仕事は自分向きではないんだ」と思うのは特定的な解釈。「能力がない人間」と決めつけたら絶望だ。「結局自分が悪いんだ」は自責的な解釈。「あの上司は嫌な奴だった」は他責的な解釈。