●官僚主義
●教条主義
●瑣末主義
●セクショナリズム
●事なかれ主義
●事大主義
●権威主義
●マンネリズム
●ご都合主義
●成果主義
●社会主義
●冒険主義
●ラジカリズム
「困った人々」と官僚主義
会社でも、役所でも、組織の中には必ず「困った人々」が存在する。たとえば、規則をタテに進行中のプロジェクトの邪魔をする教条主義者、やるべきことをやらない事なかれ主義者、くるくる意見が変わるご都合主義者、やたらと学歴をひけらかす権威主義者、上司にごますりばかりの事大主義者、新しいプロジェクトにはわけもなく張り切る冒険主義者、自分の部課のことしか考えないセクショナリスト、細かいところにばかりこだわって進行を妨げる瑣末主義者……など枚挙にいとまがない。
ただ、こういう人々を「バカな(!?)」個人的性格の持ち主として嘲笑する、という見方は必ずしも正しくない。むしろ、こういうビョーキの人々は、近現代社会に特徴的な「官僚制」あるいは「官僚主義」と対応して出てくると解釈すべきなのだ。
組織の中の「困った人々」は官僚主義から創り出された現象である
官僚主義とは何か?
官僚制(bureaucracy)・官僚主義(bureaucratism)とは、与えられた目的を遂行するために組織された、権限と責任が明確にされた専門職のシステムである。「官僚」と書いてあるからといって、役所や政府だけに限った現象ではない。もちろん、「お役所仕事」などと言われるように、官僚制の弊害は行政に特徴的に出てきてはいるのだが、企業だって組織があるかぎりは必然的に出現する。なぜなら、ある目的を大規模になしとげようと思ったら、官僚制組織が一番効率的で確実だからである。
一つのプロジェクトを実行するには、その間にたくさんの人がかかわる。そういう人たちが個々勝手に動いていたのでは仕事は進まない。一つの明確な目標を掲げて、人員を配置し、バランスと連携よく全体を動かさなくてはならない。
たとえば、ある商品を売る、という目的のためには、原料を調達する人、デザインやコンセプトを立てる人、それを設計する人、実際にモノをつくる人、製品を検査する人、倉庫に保管する人、配送の指示を出す人、運ぶ人、店に並べる人、客に売る人などたくさんの人がかかわる。そのためには、現場にかかわって実際に物事を動かす人間と、それを統率して一つの方向に向かわせる人間、そもそも何が集中すべき方向なのかアイディアを提示する人間、複数の目標の中から一つを選び出して実行させる人間などが必要になる。これらのすべてがかみ合って、はじめてある製品が売れるという結果になる。
しかも、これらの人間はそれぞれ自分の自由にできる範囲が決まっている。現場は与えられた目標の中でなるべく効率的に実行する、統率者は全体の士気を高めて仕事に集中させる環境をつくる、アイディア担当は実行可能かつ効果的アイディアを複数出し、その中からリーダーが取り組むべきものを選び出す。