『2週間で感動的に元気になる! 医者の「色着きごはん」』
[著]刑部恒男
[発行]すばる舎
果物は皮ごと食べるのがベスト。皮に栄養が集中しているケースが多い
◆皮ごと食べるときは農薬などをよく落として食べよう
ここまでいろいろな色の食品と食事法を見てきましたが、今回が最後。「黒・紫」です。ブルーベリー、ブドウなどの紫色の果物や、紫イモ、紫キャベツ、ナスなどの紫色の野菜には、抗酸化作用が強いポリフェノールの紫色素「アントシアニン」がたくさん含まれています。
色の濃い皮に多く含まれているので、皮付きで食べるのが理想的です。
【太田さん】ブドウも最近は皮が薄くて、皮ごと食べられるものが多くなってきましたね。
【刑部先生】焼き芋も、皮のほうがおいしいでしょ。
【太田さん】そう、あの焦げたあたりが……。
ただし、よく洗って食べること。土や農薬などをしっかり落としてから食べて下さい。
◆肥満、糖尿病、心臓病、老化の予防になる
紫色素のアントシアニンは内臓脂肪の蓄積を抑え、肝臓の脂肪代謝酵素を活性化して、肥満、糖尿病、メタボを予防します*54。
【刑部先生】マウスの実験で、ブルーベリーのアントシアニンを餌の中に加えたところ、60%が脂肪の高脂肪食でも体脂肪蓄積がしっかり抑制されたと報告されています。
【太田さん】ということは、肥満やメタボにもいい……。
【刑部先生】そうです。頑張って食べましょう。
さらに、血液中の血小板が固まるのを防ぎ、血液の流れを良くし、心血管機能、腎機能、冷え性、免疫力を改善します*55。
【太田さん】おお、血液サラサラ、というわけですね。
【刑部先生】そう。言うことないでしょ。
また、抗酸化作用が強力なので、美肌効果、老化予防、感染予防効果があります。
◆紫キャベツは「アントシアニン」と「キャベジン」が含まれる
紫キャベツは、栄養成分がたくさん含まれ、とくにアントシアニンとキャベジンが豊富に含まれています。
アントシアニンとβ-カロテン(通常のキャベツの2倍量)が疲れ目や生活習慣病に効果があります。さらにキャベジンが、胃炎や胃潰瘍の改善、脂肪肝の改善効果で、食べ過ぎや飲み過ぎに有効です。
ビタミンCが肌を守り、ビタミンKには血液サラサラ効果と骨を守る効果があります。
食物繊維が豊富なので腸内環境を整えます。
◆紫色の食品はわずか1個だけで健康効果がある
アントシアニンとビタミンCは熱に弱く水溶性なので、水洗いは千切り前にし、生で食べると効果的です。鮮やかな紫色でサラダなどの料理では目を楽しませてくれます。
千切りにした上にミニトマトやブルーベリーなどを乗せて、好みのドレッシングをかけるだけのシンプル調理が栄養学的にお薦めです。
アントシアニンの健康効果を求めるには1日に60mgが必要ですが、実際に摂取している1日の平均量はわずか12mg程度です。これでは足りません。
1日の目標摂取量60gをそれぞれの食品に換算すると、紫イモ12分の1本(16g)、紫キャベツ5分の2枚(18g)、ブルーベリー15粒(15g)、ブドウ3分の1房(50g)、ナス5分の3本(70g)です。どの紫色食品でも1個とれば充分なわけです。
日々の食べ物で紫色は意外と忘れがちです。1日に1個の紫色食品を食べましょう。
●アントシアニンの多い食品(1日に60mg必要)
紫イモ 12分の1本
紫キャベツ 5分の2枚
ブルーベリー 15粒
ブドウ 3分の1房
ナス 5分の3本
食品内のアントシアニンの量は、品種や収穫時期によって大きく異なり、日本の正確なデータはないので、米国のデータを示します。数値は、食品100g中に含まれるアントシアニンの量です。
Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2006 , 54, 4069-4075より作成*56