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BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは
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人文・科学
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02 ストレスを分解して考える

『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』
[著]青砥瑞人 [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


読了目安時間:5分
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 図18の右の女の子を見て、下の犬の脳は絶賛ストレス反応中である。一方、上の犬は脳の中はストレス反応が大きくない状態だ。女の子が意味深なことを言っている。



「私がストレスの原因? んふふ……」


 このイラストから、ストレスの原因がどこにあるのか考えてみてほしい。


 女の子が言うように「ストレスの原因がこの女の子」だとする。その場合、この女の子が現れると犬はストレス反応を示す因果関係が成り立つはずだ。しかしそうであれば、上の犬もストレスを感じていなければおかしい。したがって、女の子は「ストレスの原因」ではない。



 この女の子のような刺激のことを「間接的なストレスの原因」と呼ぶ。


 一般的に、ストレスの原因は外界の情報や言葉の圧力など「人のせい」にされることが多い。しかし、ストレスを深く捉えるためには、「間接的な原因」と「直接的な原因」に分けて考える必要がある。




  ストレッサー・ストレスメディエータ・ストレスを分ける



 間接的なストレスの原因となる刺激のことを「ストレッサー」と呼ぶ。


 このストレッサーは二つに分類される。一つは外部からの刺激がストレスの間接的な原因となる「外刺激由来のストレッサー」である。


 もう一つは「内刺激由来のストレッサー」だ。これはたとえば我々が嫌な体験をしてストレス反応を示したのち、そのことを思い返すことで再度ストレスを感じる場合だ。言わば、自分自身で思い返すことなどがストレスの原因になっている状態を指す。



 一方、直接的な原因はどのようなものになるのか。


 ストレッサーが我々に作用すると、それに伴った反応が身体内、脳内で駆けめぐる。このストレッサーによって導かれる脳内、身体内での変化を総称して、「ストレスメディエータ」という。メディエータは「仲介者」を意味し、まさにストレスの媒介というわけだ。


 そして、その脳内、身体内の変化であるストレスメディエータが発露した状態を認識した状態が、ストレスである。ストレス反応している状態と、その状態を認識する反応は、異なる脳の仕組みを使う。



 ここでモチベーション、モチベータ、モチベーションメディエータの関係を思い出してほしい。モチベータにあたる部分がストレッサー、それにより引き起こされるモチベーションメディエータにあたる部分がストレスメディエータ、それらを認識した状態となるモチベーションにあたる部分がストレスとなる。




  ストレスの持つ三つの大切な役割



 ストレスにはどのような意味や役割があるかを考えてみよう。一つ目は、受け取った情報がどのような種類のものであるかを伝える役割である。


 いきなり怪しい殺人鬼がナイフを持って現れたときに、ストレスをまったく感じることなく、のんきに「どうしたんですか」と近寄っていくと殺される可能性が高まる。危険なものが出てきたら、ストレス反応によってそれが危険な存在と気づけないと、生存確率が低くなる。したがって、ストレス反応は人間にとって重要だ。それがどのような刺激なのか、その情報をきちんと伝える役割がストレスにはある。



 二つ目は、記憶力を高める役割だ。


 入ってきた情報に対してストレス反応することは、学習し、脳の中に記憶化させる役割もある*1。なぜ記憶化するのか。それは推測するためだ。ある刺激を受けて、その情報が脳に書き込まれ、記憶として保存する意義は、次に似たような情報が来たときに、推測機能によって、より反応速度を高めるためなのだ。


 その意味では、ストレス反応が起こると記憶定着効率が高まり、すなわち学習効果を高めているのだ。ぼーっとした状態で勉強しても頭に入ってこない。一定のプレッシャーやストレスがかかった状態のほうが、記憶定着効率が高いことはあなたも体験しているはずだ。



 三つ目の役割として「直感力」にも影響する。脳の中で「何かおかしい」「やばいぞ」と感じるのは、感覚的、情動的な知らせである。このとき、言語的に「こういうふうにおかしい」「こういうふうにやばい」と教えてくれるわけではない。何となく、感覚的に脳が知らせてくれる違和感であり、モヤモヤとしたものである。しかし、その感覚によって「やめておこう」と思うように、直感を基準として瞬時に判断することが可能となる。


 もちろん、ストレス反応は直感力を手助けする一要素にすぎない。しかし記憶痕跡化され、推測が立てられると、一度は学習していることなので、次にどのように反応をしたらいいかの反応速度も高められる。



 なぜこのようなストレスの機構が備わったのだろうか。


 日本はいまでこそ安全な環境に置かれているが、太古の昔は一歩外に出ればクマなどの猛獣が跋扈する危険な環境だった。猛獣に襲われたときのストレス反応によって、学習と推測機能が身につき生存確率を高めてきた。


 脳の構造自体は、昔といまでたいして変わらない。その意味で、ストレスは生物が生存確率を高めるために発達した機能と言えるだろう。こういった仕組みがある点を見ると、ストレスも役に立つものだと思えるのではないだろうか。



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