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MARVEL 逆転から世界No.1となった映画会社の知られざる秘密
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エンタメ
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CHAPTER5 アイアンマンにすべてを賭ける

『MARVEL 逆転から世界No.1となった映画会社の知られざる秘密』
[著]チャーリー・ウェッツェル [著] ステファニー・ウェッツェル [訳]上杉隼人 [発行]すばる舎


読了目安時間:28分
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“Let's face it: this isn't the worst thing

you've ever caught me doing.”

――TONY STARK

(Iron Man, 2008)


 


 

素直に言う。

きみが見たなかでいちばん悪くはない。

――トニー・スターク

(『アイアンマン』[2008])


背水の陣は敷かれた


 


 マーベル・スタジオの幹部たちが最初に出すべき答えは、どのスーパーヒーローの映画を第1作にするかということだった。


 マーベルのプロデューサーたちは強い立場にいた。


 大きな映画を作るにあたり、ひとつのスタジオがほとんど資金を出す。これはそのスタジオに支配権と決定権が与えられたことを意味する。だが、マーベルは資金の事前調達もしていたので、契約に提示された予算とガイドラインに沿っていれば、担保として挙げたどのキャラクターの映画も自由に作ることができる。


 ケヴィン・ファイギは言う。

「僕もマーベルもすでにこれまでほかの映画にかなり関わってきたけど、常にパートナーとしてであって、決定権はなかった。資金を使って制作したのはほかの制作会社で、彼らが映画を支配した。自分たちで映画を作るとなると、全部責任を負わなければならないから大変なプレッシャーだけど、とっても気分はよかった。失敗するにしたって、やりたいことは全部できたわけだからね」


 デイビッド・マイゼルは4回チャンスがあると見ていたかもしれないが、マーベルは絶対に最初の映画を成功させなければならなかった。マーベルのマーベルによる最初のスーパーヒーロー映画が失敗すれば、次作はない。マーベルは自分たちのヒーローをまともな映画にできないのかとコミック・ファンに見限られてしまうだろう。


 アヴィ・アラッドもデイビッド・マイゼルもケヴィン・ファイギも絶対に失敗するわけにはいかなかった


 アラッドとマイゼルはことあるごとに対立した。


 どのキャラクターを使うか? 制作費にどれだけ充てるか? いつまでに映画を完成させるか?


 マイゼルは当時マーベル・スタジオの副会長職に昇進していたが、アラッドを飛ばして、アイザック・パルムッターと直接話した。これによって、アラッドとマーベル・スタジオの社長に就任したファイギのカリフォルニア・チームと、マイゼルとパルムッターのニューヨーク・チームのあいだに、軋轢(あつれき)が生じた。


 アラッドはマーベルの最初の映画のヒーローはキャプテン・アメリカがいいと考えた。例の担保リストに記されたメジャー・ヒーローはキャプテン・アメリカだけだ。だが、ほかにも選択肢を考えておきたかった。


 最初の映画であればアベンジャーズを結集したものがいいと思う者もいたが、会社は最初からそう考えていなかった。ファイギも認めている。

「この時点ではアベンジャーズが結集する映画は考えていなかった。現実的ではなかったよ。もっとも僕らがしていることのほとんどは現実的でないけどね」


 アラッドはアイアンマンの権利を取り戻そうとした。


 アイアンマンの映画化権はニュー・ラインが持っていたが、メリルリンチとの資金問題が解決した数か月後に消滅した。ある情報によるとアラッドとマイゼルがニュー・ラインの契約更新を拒んだということだが、別の情報ではニュー・ラインがアイアンマンに興味を失い、権利を放棄したという。


 いずれにしろ、アイアンマンはマーベルに戻ってきた。


 マーベルはハルクも取り戻そうとした。


 ハルクの権利はユニバーサル・スタジオに握られていた。誰からハルクのライセンスが戻されたかについてアラッドとマイゼルの意見は一致しないが、どうやらこういうことのようだ。


 ユニバーサルの社長兼CEOがまたハルクの映画を作る気はないかとたずねられたところ、「ノー」と答えたのだ。マーベルは将来ハルクの映画を制作する際にはユニバーサル・スタジオに配給を任せようとしたが、ユニバーサルはもはやハルクの権利をすべてマーベルに戻すことにしたのだ。自分たちはもうハルクの映画を作らないのだから、映画配給で利益を得られると思わなかったのだ。


 


子供たちが選んだヒーロー


 


 ここでアベンジャーズのオリジナル・メンバー全員が再集結し、ほかにもキャラクター数名が加わった。マーベル・スタジオは映画を2本作ることを決めたが、最初の1本をどのヒーローの映画にするか決断しなければならない。


 マーベルが歩んできたストーリーを知らない人たちは、映画第1作のヒーローの選考方法を聞かされると、あるいは驚くかもしれない。だが、マーベルがはるか昔から映画を関連商品の売上(昔はコミックであり、最近はアクション・フィギュアだ)に結びつけてきたことを考えれば、十分に理解できる。


 子供たちを集めて、どのキャラクターの玩具がいちばん好きか、アンケートを取ったのだ。ヒーローたちのイラストを見せて、彼らの能力や使う武器を知らせて、どのヒーローのグッズで遊びたいかたずねたわけだ。


 結果は、アイアンマンで遊びたいという答えが圧倒的に多かった。


 アイアンマンはあり得なかった。


 この鋼鉄のヒーローは長く不遇な歴史を歩んできたし、映画になることもなかったからだ。

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