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韓国問題の新常識
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政治・社会
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11 進まない非核化と「トランプ劇場」

『韓国問題の新常識』
[編]Voice編集部 [発行]PHP研究所


読了目安時間:16分
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古川勝久


始まってすらいない交渉の本番


 米朝が協議してきた議題は、対北朝鮮制裁の緩和や非核化、平和体制の構築、両国関係の改善、朝鮮半島の平和体制など、広範囲に及ぶ。これらの課題はいずれも複雑で、もとより一度の首脳会談で解決できるわけではない。米朝がいかなる合意に達しても、その実現には時間がかかるうえ、履行過程で両国は必ず対立するだろう。これまでの米朝交渉でも、合意後にその履行過程で深刻な対立が生じ、最終的に決裂に至ってしまった前例がままある。


 たとえば、日本、米国、北朝鮮、韓国、中国、ロシアの代表からなる六者会合では、二〇〇五年九月十九日の共同声明で、「朝鮮半島の検証可能な非核化」という目標で合意し、その後、二〇〇八年七月の会合では、「(ニヨン)(ビヨン)の核施設の無能力化並びに経済及びエネルギー支援に関する今後の日程を作成」するまでに至った。しかし、その後、非核化の検証プロセスや、北朝鮮に対する見返りの重油供給の遅れなど、合意事項の履行の過程で手続きや順番をめぐって参加国が対立し、六者会合は破綻してしまった。私たちはこれまでの失敗から(しん)()に学ぶべきである。


 トランプ政権はすべての前米政権の実績を無視して、ゼロから北朝鮮交渉を始めた結果、二〇一八年六月のシンガポール会議では薄っぺらな合意しか形成できず、その後、前政権が歩んでいた(わだち)を見出し、再び同じ道を歩み始めたかと思いきや、二〇一九年二月二十七日~二十八日にベトナムで開催された米朝首脳会談はあっさり決裂し、その後、米朝関係はほとんど進展していない。当時、トランプ政権の対北朝鮮交渉チームには、以前の交渉経験者が不在だったため、仕方がない展開ではあった。


 二〇一八年まで米政府で対北朝鮮交渉に当たっていた元高官は(けい)(しよう)を鳴らす。

「合意の履行のための工程表の作成なんて簡単だ。すでにこれまでの政権がいろいろ作ってきた。本当の問題は、私たちが北朝鮮に何を譲る覚悟があるか、だ。北朝鮮は交渉期間を引き延ばして、そのあいだにできるだけ譲歩を得ようとするだろう。たとえば、寧辺の核施設の無力化をめぐる実務交渉だけでも、米側からいろいろと譲歩を引き出しながら、二年ほど引き延ばそうとするかもしれない。そうなった場合、私たちはどのように対応するのか」


 今後、いかなる合意に至ったとしても、その履行をめぐって、長く険しい交渉が続くことを想定すべきだろう。


 非核化のプロセス自体、容易ではない。もし万が一、首尾よく核弾頭の解体まで着手できたと仮定しても、北朝鮮には膨大な核・ミサイル計画のインフラが存在する。欧州の政府高官によると、米政府は、北朝鮮国内で核・ミサイル計画に関わる人員数を約一五万人と見積もっているという。これだけの人口の転職先をあてがわなければならないとすれば、それだけでも大変なコストと時間がかかるだろう。

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