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各種がん治療での オリジナル遺伝子治療(KKロングセラーズ)
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第四章 免疫療法とのコラボレーションで効果を高める

『各種がん治療での オリジナル遺伝子治療(KKロングセラーズ)』
[著]吉田治 [発行]PHP研究所


読了目安時間:36分
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免疫力は健康に暮らすための鍵



 この章では「免疫療法」のお話をします。免疫療法というと、今はかなり沈静化した感じですが、少し前にはオプジーボ(一般名ニボルマブ)という免疫チェックポイント阻害薬が大変な話題になりました。この薬があれば、がんは治ってしまうんだというくらいの勢いで報道されました。

“夢の特効薬”として騒がれるような薬や治療法はこれまでもたくさんあって、だいたいが尻すぼみになってしまっています。果たしてオプジーボは本物の夢の特効薬なのか、私も注目しましたが、残念ながらこれを使えばすべてのがんが良くなるというようなものではありませんでした。


 しかし、これはオプジーボの責任ではありません。だいたい、がんという病気はある一つの方法で対処しようとしてもうまくいきません。それが私の持論ですが、オプジーボとて、これさえあればというものではないのは、当然と言えば当然のことでもあります。


 私は遺伝子治療に力を入れてがん治療を行っています。遺伝子治療がとても優秀な治療法であることは間違いありません。そのことは自信をもって言えます。しかし、これだけですべてのがんを治してしまえるとは思っていません。


 患者様の状況に応じて、手術や抗がん剤、放射線治療といった標準治療と併用した方がより効果が出ます。一つの治療法で何とかしようというのではなく、多方面からアプローチしていくことががん治療にとっては重要なことです。


 そういう面では、オプジーボも単独では効果に限界があるものの、標準治療や遺伝子治療と組み合わせていくことで、その存在意義がより高まるのかもしれません。


 がん治療は、いろいろな治療法の特徴をしっかりと把握した上で、それぞれの長所を生かしながら、上手に組み合わせていくのが大切です。


 私の場合は、標準治療と遺伝子治療、免疫療法のコラボレーションで効果を高めるように工夫をしています。オプジーボを使うかどうかはともかく、「免疫療法」は私にとってはとても重要な武器のひとつです。



 免疫というのは自己(自分自身)と非自己(自分以外)を見分けて、非自己と認識すればそれを排除しようとする生体に備わった力を言います。


 たとえばウイルスや病原菌が侵入するとします。空気中にはいくらでもウイルスや病原菌があります。体が無防備だったら、病気の原因となるウイルスや細菌は食べ物や呼吸を通していくらでも体の中に侵入してきますから、だれもが病気になってしまいます。


 しかし、冬場、家族みんながインフルエンザで熱を出して苦しんでいても、自分だけは平気だという人がいるかと思います。学校で学級閉鎖になっても感染しない子がいて「ラッキー!」と外で遊び回っていたりします。インフルエンザになる人とならない人、何が違うのか。免疫力の強さが関係しているのは間違いありません。


 免疫力がしっかりと機能して、相手を敵と認識して抗体を持っていれば、インフルエンザウイルスが侵入しても、ウイルスは非自己ですから、免疫力はこれを認識して攻撃を仕掛け、排除してしまいます。


 ウイルスはまわりの人と同じように体内に侵入するのですが、それが広がる前にやっつけてしまうことができるので発病しないのです。


 感染症に対してはワクチンがとても有効です。ある病原菌に対するワクチンを打てば、その細菌に対する抗体ができて、免疫力がつきますので、発病することがなくなるという仕組みです。


 インフルエンザの場合は、いろいろなタイプがあるので、ワクチンを打ったからといって絶対に大丈夫ということにはなりません。免疫力が低下しているときに感染をすると、ウイルスの増殖が抑えられなくなって、高熱や下痢、嘔吐などきつい症状が出て寝込まないといけないことになってしまいますので、予防はするに越したことはありません。


 特に、免疫力が低下している高齢者がインフルエンザになると、命にかかわることもありますので注意してください。


 もちろん、予防はワクチンだけではありません。食事や睡眠がアンバランスだったりすると免疫力は下がってしまいますので、規則正しい生活をすることも心がけてください。免疫力は健康に過ごすための重要な鍵です。人体に備わった最高の防御システムです。これをがん治療に生かさない手はありません。


免疫を働かそうとしても思うように働かないのは理由がある



 人体では、一日に約五百~五千個のがん細胞のような異形細胞ができると言われています。化学物質や放射線、紫外線などで遺伝子に傷がついたり、細胞分裂の際の遺伝子のミスコピーによって、正常細胞が異形化してがん化してしまうのです。がん化する細胞の数に違いはありますが、だれの体内でも起こっていることです。


 そのままにしておけば、すぐに体中にがんが広がってしまいます。そうならないのは、がん抑制遺伝子と免疫力の働きによるものです。


 遺伝子が異常になれば、まずはがん抑制遺伝子が働きます。修復できるものは修復します。修復できないものはアポトーシスに導きます。


 がん抑制遺伝子の網の目を通り抜けたがん細胞は、今度は免疫によって排除されます。この二重のバリアをくぐり抜けたがん細胞が、さらなる免疫力の監視と攻撃をかわしながら細胞分裂を繰り返してがんとなるのです。


 私のようながんを治療する医者にとってがんは敵です。いつもどうやったらがんをやっつけることができるか考えています。がんをやっつけるには、がんのことをとことん知らないといけません。


 がんというのは、知れば知るほど、生存本能が強くて、私たちが排除しようと手を打てば、それから逃れようとさまざまな策を弄してきます。


 抗がん剤のところでお話ししましたが、抗がん剤が入り込むとすぐにそれを排出してしまうポンプのようなシステムを作動させたり、抗がん剤に対する耐性をもつことで生き残りを図ります。生き残ったがん細胞は抗がん剤に対してより強い性質をもちますから、治療はしにくくなり難治性のがんとなります。


 遺伝子レベルでも、がん細胞はアポトーシスを誘導するp53遺伝子を働けなくするMDM2という酵素を多量に作り出しています。遺伝子治療でp53遺伝子を投与しても多量のMDM2があれば、がん細胞はアポトーシスしません。「p53が働けばがんは消せる」と、こちら側は意気込んだのですが、がん細胞はその対策をきちんと練っていたわけです。


 このp53の機能低下によるアポトーシスの阻害は、標準治療の抗がん剤や放射線の効果も低下させます。

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