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50歳からの幸せな独立戦略 会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える!
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生き方・教養
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第3章 あなたが目指すのは、どの独立スタイル?──FA独立の7つのパターン

『50歳からの幸せな独立戦略 会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える!』
[著]前川孝雄 [発行]PHP研究所


読了目安時間:55分
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 ミドルの第二の職業人生の選択肢のうち、最もおすすめなのは、経験が活かせてリスクの少ないFA独立です。本章では、より具体的にイメージしていただくために、FA独立の代表的な7つのパターンについてさらに詳しく説明していきましょう。



【1】今の会社で正社員から業務委託に切り替える




「社員が個人事業主として独立すること」を支援する企業も出てきた


 まず紹介しておきたいのが、「今の会社で同じ仕事を続けつつ、契約形態を正社員から業務委託に変更する」というパターンです。自分で新たな事業を起こすことにまだハードルの高さを感じている人であっても、比較的スムーズに「独立」を実現できる方法です。


「そんなことができるのか?」と思った人も多いと思います。もちろん会社の制度次第という面はあるのですが、業界・職種によっては、キャリアを重ねたミドルがいったん退職し、業務委託で働き続けることが可能な会社はすでにあります。


 序章でも触れたように、高年齢者雇用安定法が改正され、「高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」が、2021年の4月から企業の努力義務に加わります。国もサラリーマンの雇用延長のみではなく、この業務委託による独立を支援するように政策転換しているのです。


 例えば、私が在籍していたリクルートでは、メディアの編集制作スタッフなどが「正社員→業務委託」というキャリアを選択するのは珍しいことではありません。編集者やライター、クリエイティブディレクター、ITエンジニアなどスペシャリスト系の職種には親和性が高い選択肢です。ただ、今後は専門職以外にも広がっていく可能性があります。



 注目すべきなのが、正社員から業務委託へ契約形態を変更する制度を戦略的に導入し、話題になっているタニタの事例です。


 同社は2017年に、希望する社員が個人事業主として独立することを支援する制度を導入しました。この制度のポイントは、独立後もそれまで担当していた会社の仕事を引き続き業務委託で請け負う点。同じ仕事を続けながらも、個人事業主ですから、労働時間は自分でコントロールでき、自分の裁量で他社の仕事を請け負うこともできます。契約期間は3年で、契約は毎年結び直されます。2019年度時点で26人がこの制度を利用し、独立しているとのことです。

「体のいい人件費削減策なのでは?」と感じた読者もいるかもしれませんが、タニタの狙いは違います。むしろ、社員のやる気を喚起し、主体的・自律的に働いてもらうための施策。まさに本書が提唱するFA独立の考え方に一致するものです。

「会社にいるのに仕事がない」雇用保蔵者が400万人もいる


 このような独立支援制度は会社・個人の双方にメリットがあるため、今後、業種を問わず、多くの企業に広がっていくのではないかと私は見ています。



 まず会社にとってのメリットは、雇用保蔵者(企業に雇われ、給料はもらっているが、それに見合うほどの仕事がない人)を削減できることです。現在の日本では、企業が正社員を解雇することは非常に難しいのですが、個人事業主としての契約であれば、1年単位で(あるいはタニタのように複数年単位で)契約を結ぶことで、仕事がない人員を雇用し続けるリスクを回避できることになります。


 終身雇用が当たり前と考えている人にとってはドライで厳しい環境に思えるかもしれませんが、雇用保蔵者を大量に抱えることは企業の経営を圧迫します。


 リクルートワークス研究所の調査・研究によれば、2015年時点の雇用保蔵者は401万人に上ります。実に就業者の1516人に1人は「会社にいるのに仕事がない」ということ。しかも、悲観シナリオでは2025年には497万人まで膨れ上がると予測しています。


 一方、就業者数は2015年から557万人減少し、5717万人になるとしており、なんと1112人に1人は雇用保蔵者になるかもしれないのです。これはとんでもない数字で、とても健全なことだとは言えません。そんなバカげたことが起こるはずがない、自分は雇用保蔵者にはならないだろう、と思う人もいるかもしれませんね。


 しかし実際にはその厳しい予測は2025年を待つことなく、もう現実化しています。引き金はコロナ禍。2020年4月の休業者が597万人にまで激増したのです。これは過去に類を見ない大惨事です。仕事がないと休ませられている休業者は、雇用保蔵者の一部顕在化だとも考えられます。


 その後減ってきてはいるものの、7月時点でも220万人が休業しているのです。ミドルにとって「飼い殺し」のような雇用保蔵は自己尊厳がひどく傷つけられるでしょうし、当然ながら会社にとってもデメリットが大きいのです。

日本企業は雇用を守る代わりに、
社員の働きがいと企業の変革を犠牲にしてきた


 独立支援制度の会社にとってのもう一つのメリットは、年功序列によって右肩上がりに上昇してしまったミドル社員の給与を業務内容に応じた適正な報酬に見直せることです。


 これも、従来の日本型の年功序列をベースにした給与制度に慣れ親しんできた人にとっては一見ひどい話に思えるかもしれません。しかし、現在の給与は年功序列で若いころに抑えられてきたぶんを後払いで上乗せされたものであり、現在の仕事の成果に対する時価ではありません。早期退職や定年退職をしたら退職金なども含めていったん精算は済んでおり、独立したら時価で報酬をもらうようになるわけです。


 しかも、あなたもなんとなく感じているかもしれませんが、年功序列と言いながら、「ひと世代ふた世代上の先輩が50歳前後の管理職だった当時と比べて、現在の自分の給与はそれほど増えていない」ということはありませんか。


 残念ながら、その感覚は正しい。1998年に544万円だった世帯年収の中央値は、2017年に423万円まで激減しています。しかも税や社会保険料も増加しているため、手取り金額はさらに減っています。平成の30年間の間に私たちはどんどん貧しくなったのです。昨年までアジアをはじめ世界中から観光客がたくさん訪れていたのは、日本の観光資源が素晴らしいからのみならず、「安く旅行できる」からだったのです。



 なぜこうした事態に陥ったのでしょうか。それは終身雇用、年功序列といった日本型雇用、そこで増えてきた雇用保蔵者の問題と無関係ではありません。それどころか根本原因だと私は考えています。


 日本は解雇規制が厳しいため、企業は正社員の雇用を守らなくてはいけません。どうやって雇用を守ってきたかといえば、給与の伸びと新規採用をできるだけ抑えて、個々人の意向や適性を鑑みずに配置転換して守ってきたのです。


 配置転換された人の中には、実質的な仕事がない雇用保蔵者も多数含まれていたはずです。つまり、社会や顧客の変化に対応しきれなくなったスキルを持つ社員を、本人が向いていない仕事に無理につかせて凌いできた場合も多いのです。


 その結果、働く個々人は“やらされ感”いっぱいで苦手な仕事に面従腹背で励み、企業としては事業構造を変革させることも生産性を上げることもできずにきてしまったといえます。その場その場は凌げても、長期的には働く人たちのモチベーションを下げ、企業の低迷、失われた平成の30年を生み出したわけです。この間、日本企業も経済も世界的に影響力を失ってきたことは今さら説明するまでもありませんよね。そのうえ、各種調査で、日本は世界的に仕事満足度が最下位を争うという不名誉な事態にも陥っているのです。

自分と家族の未来のために、「会社に依存しない働き方」を実現する


 こう考えていくと、「業務内容やパフォーマンスに見合わない高い給料をもらい続ける権利が保証されないと納得できない」というのは、本来おかしな話です。


 その意味で、企業が給与に関して「明朗会計」を推し進めるのは、経営の健全化のために必定ですし、社会が発展するためにも私は間違ったことだとは考えていません。


 そして、制度を活用した社員が会社に依存しない働き方を実践することで、組織が活性化されるというのが会社にとっての最大のメリットでしょう。いま盛んに言われる「ジョブ型雇用」というものの正体がこれです。キャリアの浅い若者に適用するのは酷ですが、ミドルは受けて立つべきでしょう。


 変化は待ったなしでもあります。コロナ禍で経営危機が深刻化し、、雇用を守るどころか、会社そのものがもたなくなっているところが急増しているのです。



 何より、プライドがボロボロになってまで雇用保蔵者として会社にしがみつき、最悪の場合は会社と一蓮托生でコロナ破綻していく道は、あなたにとって幸せなのでしょうか。


 勇気を出して気持ちを切り替えて、自分の持ち味を活かし、目まぐるしく変わり続ける時代の変化にしっかり目を向けて、新しいスキルを学び追加していくことで、職業人生のこれからを生き延びていくこと、さらには働きがいある仕事をつかむために独立を目指すことが、自分と家族のためなのではないでしょうか。



 繰り返しますが、例として示したタニタは、雇用保蔵者対策、人件費削減策として、この独立支援制度を導入したわけではありません。しかし、大々的に導入できれば、結果として組織活性化を図りつつ、昭和型組織が抱える先述の問題解消にもつながる仕組みであることは確か。だからこそ、関心を示す企業は少なくないはずです。



 一方、個人にとってのメリットは、組織内の上下関係に縛られず、個人事業主として、請け負う仕事も労働時間も自分で決められることです。


 また、収入面のメリットもあります。タニタの場合は、基本報酬として社員として受け取っていた給与・賞与に、会社が負担していた社会保険料、通勤交通費、福利厚生費などを加えた額が支払われます。つまり、手取りは社員時代より増えるということです。また、他社の業務を請け負うこともできるので、自分の頑張り次第で収入をさらに増やすことも可能です。


 社会保険料や税金は自分で払うことになりますが、個人事業主なので業務にかかった費用を経費として計上もできますから、サラリーマン時代より節税することもできます。

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