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世界のトップ企業50はAIをどのように活用しているか?
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ビジネス
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41 BMW

『世界のトップ企業50はAIをどのように活用しているか?』
[著]バーナード・マー [著] マット・ワード [発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン


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Part 5 製造業、自動車、航空宇宙、インダストリー4.0企業



┌ お金持ちから庶民まで、個人輸送の未来形はまちがいなく自動運転車になる



 ドイツの自動車メーカーBMWは、BMW、ミニ、ロールスロイスの3ブランドを展開し、年間の製造・販売台数は世界で250万台にのぼる。


 いち早く新技術を取り入れることで知られ、非常に高度な機能を備えた自動車を生み出すBMWは、自動運転車の実用化を目指す競争では競合会社のダイムラーと並んでトップをひた走っている。



 また、15カ国にある30以上の組み立て工場は、広範囲にわたるロジスティクス業務を担い、ダイムラーをはじめとする長年のライバル企業はもとより、テスラなどの新興のチャレンジャー企業との競争でも、優位性と収益性を維持する要となっている。



 ○ 自動運転には60億マイルの試験走行が必要?



 自動車製造は、研究開発と製造販売に毎年数十億ユーロ規模の予算が投じられるなど、巨額のコストがかかる労働集約型産業だ。


 だからこそ数百億ユーロの収益をあげることができるわけだが、製造プロセスは複雑なうえに技術の変化が激しく、どこかの段階でひとたびミスが起きれば、ひどく大きな損失が出るおそれがある。自動車が市場に出まわってから不具合が見つかるような場合はなおさらだ。



 しかも、世界では毎年10万人を超える人々が交通事故で命を落としている。


 いたずらに人命が失われるのを防ぐ対策として、自動運転車の開発が進められているが、そのためにはまず、自動運転車に車の操作方法を習熟させ、ほかの車(人間が運転するにせよ機械が運転するにせよ)とのインタラクションを理解させなければならない。



 AIに投資しているほとんどの企業と同様に、BMWがAIを導入する目的はおもに次のふたつだ。


 ひとつは、事業プロセス全体で自動化を図って業務を合理化し、効率を高め、新たな機会を発見すること。もうひとつは、AIを組み込んで、顧客にとってさらに魅力的な製品とサービスを生みだすことである。



 2016年にBMWはIBMと提携し、4台のi8(アイエイト)を「ワトソン」に接続した。ワトソンは、IBMのクラウドサービス「ブルーミックス」を通じて提供されるコグニティブ・コンピューティング・プラットフォームだ。ドライバーの行動を適切に把握し、システムを個人の好みに合わせて調整する方法を自動車に学習させるのが狙いだ。


 集まったデータはすべてクラウドにアップロードされ、システムはそれをもとにユーザ行動に関する広大なデータベースを構築し、機械学習アルゴリズムを使ってドライバーのニーズや好みを予測することができる。



 試用段階を経て、このシステムはドイツでBMWの「コネクテッド・ドライブ」アプリのユーザに導入された。


 このシステムを使って、たとえば、自動車の故障をより迅速かつ正確に判断することが可能になる。また、保険会社とのデータ共有に同意すれば、ドライバーは保険料の割引を受けることもできる。



 BMWはインテルとも提携している。インテルはコンピュータビジョンのスペシャリスト企業モービルアイを買収したばかりだ。コンピュータビジョンは自動車の「目」となって車載カメラの画像データを分析し、周囲の状況に対応できるようにする。自動運転を可能にするためには不可欠の技術である。



 撮影された画像は機械学習によって分類され、それをもとにして自動運転車は、ほかの車両や道路に飛び出してくる歩行者などにどう反応すべきかを、1000分の1秒で決定することができる。ビデオフィードの一連の画像を解析して、事故を引き起こす物体が何かのみならず、物体までの距離、どの方向に動いているか、どれくらいの速度で移動しているか、までも判断ができる。



 人間の脳は、進化の過程で学習を積み重ねて、こうしたあれこれを無意識に処理できるようになった。ある程度までなら、人間はこうした判断を下すのがとても得意なのだ。


 しかしながら、わずか100年あまりのあいだに、馬車しかなかった時代から時速100キロの自動車が走る時代へと技術は進歩した。このスピードに、生物の自然な進化は追いつけていない。ゆえに、交通事故で多くの人の命が犠牲になっているのだ。


 コンピュータが動かす車なら、そうした不幸な出来事が起こる可能性はぐんと低くなるだろう。



 ただし問題はある。自動運転システムを開発するためには、路上で遭遇しうるあらゆる状況に対応できるよう車を訓練しなければならない。そのためには膨大な量のデータが必要なのだ。BMWアイベンチャーズのサム・ファンによれば、自動運転システムを十分に訓練するためには約60億マイル走行する必要があるという。



 60億マイルとは途方もない距離だ。しかし、訓練走行は必ずしも「現実の世界」で実施しなければならないとは限らない。BMWはそこにソリューションを見出した。


 そこでBMWは、1億ユーロを投資してドイツのミュンヘンに世界最先端の運転シミュレーション・センターの建設を決めた。BMWが「実験室が道路になる」と表現するこの新しい施設によって、自動運転車の訓練に必要なデータを、より迅速に、より低コストで、より安全に集めることが可能になるはずだ。



 ○ ロールスに搭載される「AIお抱え運転手」



 日常生活の一部になるのはまだ数年先のことだろうが、BMWは研究の成果として、AIによる運転支援車や自律走行車(訳注:欧州のガイドラインは、ドライバーが同乗して監視するシステムを「自動運転」、完全に無人の自動運転を「自律運転」と定義している)のコンセプト・モデルをいくつか明らかにしている。



 なかでも大金持ちの興味を惹きそうなのが、AI「エレノア」により制御されるコンセプト・カー「ロールスロイス103EX」だ。エレノアの名は、ロールスの有名な先端部分のオーナメント「スピリット・オブ・エクスタシー」のモチーフとなった女優にちなんでつけられた。


 ブランドイメージ同様、エレノアはほかのコネクテッド・カーに使われているようなたんなるAIアシスタントではなく、「AIお抱え運転手」と呼ぶのがふさわしい。LEDプロジェクターで「レッドカーペット」を映し、乗り降りに上品なスタイルを演出できる機能まであるくらいだ。



 エレノアは一部の人たちのお楽しみとして、おそらく多くの人々にとって手が届きやすいのは、カーシェアリングがますます生活に浸透してくる未来に向けて設計された、ロールスロイス・ミニの「ヴィジョンネクスト100」だろう。ヴィジョンネクスト100のAI技術は、さまざまな車両を運転してきた多数のドライバーを認識して、それぞれの好みに合わせるようになっている。乗り終えた自動車はサービスハブまで自律走行し、そこで清掃されて次のユーザに提供される。


 また、同時に発表されたミニの自動運転コンセプト・カーは、スマートフォンなどのコネクテッド・デバイスと同じように、消費者の生活にシームレスにかかわる製品となることを目指している。



 AIは製造業務でも活用されている。


 設計、生産、ロジスティクス、販売、保守の各部門からデータが集められ、BMWはテラデータ(訳注:本社を米国にもつ国際的なコンピュータ企業)と協力して業務上の意思決定を自動化している。そのシステムによって、部品がいつ製造され、いつ車両に取りつけられたかにはじまり、車がいつ販売されたかにいたるまで、どの段階でも追跡管理することが可能になった。


 これはロジスティクスの効率向上と、必要なとき必要な場所に必要なすべての部品を確保するのに役立っている。生産ラインは予知保全を実行したうえで稼働しているので、摩耗した機械部品は故障する前に交換され、さらなる効率アップにつながっている。


ラーニングポイント



○ すべての大手自動車メーカーは、自動運転車を個人輸送の未来形ととらえている。


○ AIを導入し、道路環境を予測し、突発的な事態に対応できるようになれば、未来の自動運転車はより安全でより効率的になるだろう。突発的な出来事への対応に、AIは優れた力を発揮する。


○ 自動運転車が一般的になる前に、AIバーチャルアシスタントの手動運転車への導入が大幅に進み、車の操作やインタラクションの方法が変わる可能性がある。技術の進歩の「過程」もまた、AIによって埋められるのだ。




出典


BMW, Driving Simulation Centre: https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0284380EN/bmw-group-builds-new-driving-simulation-centre-in-munich


BMW investing in AI - Interview with Sam Huang of BMW iVentures: https://www.cognilytica.com/2017/11/15/ai-today-podcast-011-bmw-investing-ai-interview-sam-huang-bmw-iventures/


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